健聴者の方から実際に聞かれた聴覚障害者への疑問まとめ

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聴覚障害者

聴覚障害者って、どんな人だと思いますか?

そう尋ねられると、大半の人は「耳が聞こえない人」くらいしか思いつかないと思います。

学校でも習わないし、いざ職場などで身近に聴覚障害者がいる環境になってもよく知らないので困惑するでしょう。

管理人は中途失聴者で、両耳とも重度の感音性難聴の聴覚障害者です。

今回は管理人が実際に健聴者から質問されたことや色々なところで見かけた、聴覚障害者への疑問に回答します。

疑問への回答をしることで、聴覚障害者への理解が深まるでしょう。また、よく分からないので避けがちだった聴覚障害者との距離も縮まりますよ。

目次からそれぞれの疑問へ飛べるので、興味ある物からご覧ください。

なお、ここにない疑問については、お問い合わせより送って頂ければ追記するのでお気軽にどうぞ!

聴覚障害者はみんな手話が使えるんだよね?

コミュニケーションの助けになればと手話を覚えて使ったら、なぜか聴覚障害者なのに手話が分からなかったという経験がある方もいらっしゃるかもしれません。

実は聴覚障害者といっても、全ての人が手話を使える訳ではありません!

管理人も重度の感音性難聴ですが、手話は簡単な単語が分かる程度です。なぜ使えないのかというと、家族も周りの人も誰も手話を知らないので覚えても使う機会がまったく無いため。

これは中途失聴者に多い状況でして、実際に中途失聴者で手話が使えるという人はほとんどいません。

元々は健聴者だったので、周りに聴覚障害者もいないからですね。

逆にろう者と呼ばれる、生まれつきやかなり早い段階で失聴した人々は手話が第一言語になっています。

そもそもろう者の方は、お手本の日本語が聞こえないので話せず手話ではないとコミュニケーションできません。

それにろう学校では同じ境遇の方々と手話で話すので、ろう者ならほぼ手話が使えます。

口の動きから相手の言っていることを読める?

テレビで相手の口の動きから、何と言っているのか読むことができる聴覚障害者を見たことがあります。

これについては、確かに口の動きを読める方はいるのですが、ほとんどの聴覚障害者はできません。

というのも、口の動きを読むのはかなりの練習が必要で何年も掛けて習得するものです。

実は管理人も出来れば便利だなと思い、色々と調べて練習してみたのですが習得は無理でした。

そもそもですが、口の動きを読める人でも普段からよく話す家族のみというケースが多く、初めて会う人だと難しいようです。

重度の難聴だとやっぱりいつも無音なの?

管理人は重度の難聴で、聴力は両耳とも100dBとなっています。100dBというのは、家の近くに雷が落ちてやっとかすかに聞こえるぐらいの聴力。

補聴器を付けてないと、ほぼ何も聞こえません。

じゃあ無音なのかというと、実は常に耳鳴りがずっとしている状態です。

耳鳴りで聞こえる音は状況や人によって違いますが、管理人の場合はゴーやボゥーといった音が良く聞こえています。

ちなみに、他の聴覚障害者もそうなのかと気になって調べたところ、他の方も同様に耳鳴りがしているそうです。

なお、なぜ耳鳴りがするのかは、医学的にまだ不明となっています。

聴覚障害者でも車を運転することはできるの?

以前は無理でしたが、2008年6月1日から道路交通法が改定され重めの聴覚障害があっても免許を取得できるようになりました。

想定されている聴覚障害者は、「補聴器を用いても10メートルの距離で、90dBの警音器の音が聞こえない人」です。

なお、条件があって、特定後写鏡(ワイドミラー)を取り付け、前後に聴覚障害者の標識を表示する必要があります。

やはり聞こえないと視覚で確認がメインになるので、ワイドミラーで後方や後方斜めの死角を無くし、他の車に聴覚障害者だと分かるようにします。

実際に免許を取得する場合は、教習所に通う前に自動車運転試験場で適性検査を受ける必要があります。

この適性検査は、背後で音を鳴らして聞こえるかなど。適性検査で問題なしと判定されれば書類がもらえるので、それを持って障害者教習が受けられる教習所へ申し込むことになります。

聴覚障害なら補聴器を付ければ聞こえるようになるはず?

管理人の場合は、補聴器を付ければ何かぶつかったり掃除機のモーター音など生活音は聞き取れるようになります。

ただ、会話については、感音性難聴の症状が原因で補聴器を付けてもほとんど聞き取れません。

こう言うと、ほとんどの方に「どういうこと?」と聞き返されます。

感音性難聴は、鼓膜よりも奥にある蝸牛とか聴神経に異常が出ている難聴です。

蝸牛は空気の振動を電気信号に変えて、聴神経に流す働きをしています。

感音性難聴になると蝸牛の異常が原因で、音を大きくしても脳に正確に伝わらないため「相手が何と言っているのか分からない」という症状が出ます。

普段のコミュニケーションはどうやっているの?

管理人の場合は中途失聴者のため話すことはできるので、音声認識アプリやポケトークmimiといった会話を文字にして表示してくれるデバイスを使用しています。

それから、自分の声が聞こえないためどうしても滑舌が悪いので、上手く発音できないところは筆談するという感じですね。

近年では音声認識技術がかなり上がっていて、結構な正確さで音声を文字に変換してくれます。

音声認識アプリは無料で使えますし、スマホにインストールするだけなのでぜひ使用してみてくださいね。

聴覚障害になって一番困ったことは?

管理人の場合は、「感音性難聴の会話がほぼ聞き取れなくなるが理解されない」でした。

説明しても理解されないし、聞こえないというと「補聴器付けているだろ!」と怒られる……。

特に難聴になったのが小学生~中学生の時期だったのですが、子どもに理解されるのは無理でした。

それが原因でいじめられて何度も暴力を振るわれてPTSDのような症状が出たりと、あの時期は本当に大変でした。

なお、他の聴覚障害者だと一番困ることに「情報が入って来ない」を挙げている人が結構いました。

例えば電車に乗っていて急に止まっても、アナウンスが聞こえないので何のトラブルがあったのか分かりません。

情報が入って来ないと本当に不安になりますし、確かにかなり困ることですね。

聴覚障害者って仕事はどうしているの?

一般的には障害者手帳があるなら障害者求人枠に応募できるので、何とか採用してもらうという形で働きます。

ただし、聴覚障害がある場合は指示が聞こえない可能性があるため、大型の機械を扱うとか危険性のある仕事はまず無理です。

指示や稼働音などが聞こえなかったばかりに、大怪我したり死亡事故が起きたりする可能性があるので仕方ありません。

なお、管理人の就職活動時の経験からお話させていただくと、やはり障害の程度が重いと事務だとか普通の仕事でもほぼ断られますね。

管理人が採用担当の人から言われたのは、「重度ならうちみたいな小さいところだと無理なので、サポートできる大企業の方に応募してみてください」とアドバイスされました。

ちなみに、管理人は現在「Webライター」という仕事をしています。この仕事の内容は、ブログやサイトに載せる記事の代筆です。

文章を書くのは好きですし、自宅から行えるので重度の聴覚障害でも働けるのでこの仕事が気に入っています。

聴覚障害者でも補聴器を付けるとかで電話を使える?

管理人は重度の聴覚障害で、感音性でもあるため電話は物理的に使用できません。

ただし、聴覚障害者の中には電話を使える人ももちろんいますよ!

聴覚障害は本当に個人差がかなり大きく、補聴器さえ付ければ多少聞き逃しがあるくらいで電話も問題ないというケースもあります。

ですので、電話ができるかどうかは、その聴覚障害者に聞いてみてください。

聴覚障害者でも結婚している人はいる?

法的には結婚できる年齢に達していればOKなので、聴覚障害者でも結婚している方はいます。

なお、聴覚障害者と健聴者で結婚するケースが多いと思いますが、聴覚障害者同士で結婚しているというケースもありますよ。

実際に聴覚障害者同士で結婚した方の体験談など読んだことがありますが、やはり子育てなど聞こえないのでいろいろな苦労があるようです。

例えば赤ちゃんは泣いて何かあったと知らせますが、聴覚障害者だと聞こえないので分からないといった問題などがあります。

聴覚障害って治すことはできないの?

聴覚障害には、伝音性難聴・感音性難聴・混合性難聴の3つがあります。

このうち伝音性難聴は薬や手術などで治る可能性がありますが、感音性難聴については現代医学では完治は無理です。

伝音性というのは、耳の穴から中耳(鼓膜から少しだけ奥辺りの範囲)までに異常があり音が奥まで伝わりにくくなっている難聴。

なので、薬や手術などで中耳の異常を取り除いてあげれば、聴力が回復する可能性があります。

一方、管理人も掛かっている感音性難聴は、内耳という耳の奥にある蝸牛という器官などに異常が出ている難聴になります。

蝸牛自体を再生すれば理論的には感音性も治るでしょうけど、現在の医学で蝸牛の再生はまだ無理です。

一応、人工内耳という蝸牛の代わりをする、手術で埋め込んで使う機械はあります。

ただ、使えば100%聞こえるようになる訳ではなく、聞こえなくなってから時間が経ちすぎてるとダメなどあるため誰でも使える訳ではありません。

ちなみに、混合性は伝音性と感音性の両方の症状が出ているタイプの難聴です。

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