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近年の心理療法はアクセプタンスが重要なキーワードになっている

マインドフルネス

前回マインドフルネスについて記事を書きました。

ただ、あまりに長くなり過ぎるので、なぜ浮かんできた思考や感情などを受け入れて手放すべきなのか?について説明を省きました。

疑問に思う方もいらっしゃると思うので、今回アクセプタンスというキーワードにも注目して補足します。

近年の心理療法はアクセプタンスが重要なキーワードになっている

心理療法でよく知られているものに、認知行動療法がありますね。近年、第3世代や第三の波と言われる新しい認知行動療法が誕生しているのを知っていますか?

この第3世代の認知行動療法は、実はマインドフルネスが重要な位置を占めていて、「アクセプタンス」という言葉がキーワードになっています。

例えばアメリカの臨床心理士スティーブン・C・ヘイズが生み出した、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(頭文字を取ってACTとも呼ばれる)という変わった心理療法があります。

名称にも入っているように、アクセプタンスが重要な位置を占める療法なんですよ。

アクセプタンスとは?

アクセプタンスとは、その人が置かれた心理状況に対して変化や拒絶しようとするのではなく、過程や状況を理解しようとする姿勢のこと。

つまり、マインドフルネスで行われている、価値判断せずに受け入れて手放すとほぼ同じです。

勘違いされることも多いのですが、アクセプタンスは我慢したり諦めたりすることではありません。我慢したり諦めたりすることは、変化や拒絶しようとすることと同じです。

また、もう一つ勘違いされやすいのは、辛い状況を能動的に受け入れることでもありません。例えば誰かから嫌がらせを繰り返しされている場合、受け入れて何もしないではなく、周囲の人に相談したり状況によっては警察に動いてもらうなど行動します。

アクセプタンスする対象は、例えばネガティブな思考や過去に遭った辛い記憶が浮かんでくるなど心理状況です。

アクセプタンスしないとどうなる?

なぜアクセプタンスが重要なのかというと、自分が望んでいない体験や思考や感情などを回避・排除・抑圧しようとする「体験の回避」」が有害だと判明したためです。

実は体験の回避は、人間にとって自然な行動です、

ところが、体験の回避をすると思い出したくない辛い記憶が次々と浮かんできたり、考えないようにしているネガティブな思考を何度も考えてしまいます。もしくは、抑圧して心因性の病気の原因になります。

体験の回避の有害さを理解するには、心理学者のダニエル・ウェグナーがおこなったシロクマの実験が分かりやすいのでご紹介します。

A・B・Cの3グループにシロクマの映像を見せ、A「覚えてください」B「考えても考えなくてもどちらも良いです」B「絶対に考えないでください」としました。

一定の時間が経ってからどのくらい覚えているかチェックしたところ、一番覚えていたのは何と「考えるな」と言われたCグループ!

普通なら覚えていてくださいと言われたAグループだと思いますが、実際は逆でした。

体験や思考、感情などを回避・排除・抑圧しようとする行動は、Cグループに起きたことと一緒です。

ネガティブな思考を考えたくない、辛い記憶を思い出したくないのに、体験の回避をしてしまうばかりに、余計に考えて思い出してしまう…。

例えば、不安ばかり感じて日常生活に影響が出てしまう不安障害という病気があります。この病気も体験の回避が原因で、回避すればするほど不安になることばかり考えてしまうので、不安がどんどん増して手が付けられなくなっていきます。

体験の回避をしないためには、どうしてもアクセプタンスが必要です。そのため、近年の心理療法ではアクセプタンスが重要なキーワードになっています。

感情をアクセプタンスするにはコツがある

アクセプタンスをすることで、心理的な問題を解決できることが分かりました。しかし、特に感情は受け入れが難しく、飲み込まれて感情的な行動をとってしまうこともしばしば…。

そこで、感情をアクセプタンスするコツをまとめました。なお紹介した方法は、アクセプタンス&コミットメント・セラピーという心理療法で実際に使われているものです。

基本は感じ続けて手放す

基本的なアクセプタンスのやり方は、マインドフルネスでも使われている感じ続けることです。感じ続ける際に、価値判断をしないのがポイント。

価値判断をすると思考が動いて、過去にあった似たような状況を思い出したり、ネガティブなことを考えだすので感情がより強くなってしまいます。

感じ続けていると段々と感情が落ち着いて消えていくので、そうなるまで続けてください。

どうしても飲み込まれるならラベリングを使おう

どうしても感じ続けることができず感情に飲み込まれてしまう場合は、ラベリングを使用しましょう。例えば怒りの感情が生まれたことに気づいたら、頭の中で「怒り」と言葉にします。

言葉にすることで、受け入れやすくなりますよ。

ラベル名にする言葉は簡潔でも良いですが、工夫することでもっと受け入れやすくなるという方もいます。

例えばネガティブな思考を考えだしたら、内容によって「私はずっと不幸だ物語」といった分かりやすいラベル名を付けます。

ただし、あまりに過激な名称だと思考が働いて、別の辛い記憶がよみがえってきたりするので気を付けましょう。

イメージを使う手法もある

イメージを使う手法も、よく使われています。感情を考えだしたら、それを何かモノとしてイメージ。例えば怒りだったら炎、鬱々とした感情だったら重りといった感じです。

また、特に強く感情を感じるポイントを体から探し出して、そこに向けて呼吸するたびに息が入って・出ていくというイメージ方法もあります。

ネガティブな思考や感情が生まれたら「ありがとう」と言う

既にご紹介したラベリングと同じように、言葉を使う方法です。ネガティブな思考や怒りといった感情が浮かんで来たら、それを価値判断せずに「ありがとう」と言うだけ。

そもそも、ネガティブな思考を考えだしたり、怒りといった感情が起きるのは、別にあなたの脳が嫌がらせしようとしている訳ではありません。

誰かと比べてしまうのは集団を追い出されないように、良い行動を取るためにやっていることです。(過剰に比べてしまうのが問題)怒りといった感情も、自分を守るために必要なことですよね。

結局は自分の生存のために脳がやっているだけなので、その働きについての「ありがとう」です。

まとめ

今回は近年の心理療法の中でも重要な、アクセプタンスについてまとめました。

何か辛い事があったら、できるだけ考えないようにする。何か食べたり飲んだり、音楽を聴いたりして紛らわす。抑圧に回避といった体験の回避は、誰しもやってしまうことです。でも、無意識にやっているせいで、より辛くなってしまう…。

これからは、心の問題が起こったらアクセプタンスを心がけて、問題が長引かないようにしましょう!

参考文献

ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)をはじめる セルフヘルプのためのワークブック スティーブン・C・ヘイズ他

よくわかるACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー) 明日からつかえるACT入門 ラス・ハリス

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