肉を柔らかくする方法は意外とたくさんあった!
肉料理を作っていて思うのが、「味は美味しいけどレストランやスーパーの総菜と比べると硬すぎ!」ではないでしょうか?
管理人もどうしても肉が硬くなってしまうのが不満で、どうすれば良いのか調べてみました。
ところが、肉を柔らかくする方法って、びっくりするほどたくさんあるんですね…。
そこで、分かりやすいように切り方・特殊な酵素を使用・酸性とアルカリ性・酒に漬ける・牛乳やヨーグルト・焼き方の6種類に分類しました。
それぞれ、柔らかくなる根拠だけでなくどんな時に使えば良いか?どのくらいの時間漬け込むのか?も書いたので、参考に美味しい肉料理を作ってくださいね!
切り方を工夫するだけで意外なほど柔らかく!
手軽にできるのが、切り方を工夫する方法ですね。後半に書いてある漬け込む・焼き方を変えるといった手法と組み合わせることで、より柔らかくすることもできます。
筋線維を切っておくと焼いても硬くなりにくい
肉が硬くなってしまう原因に、熱を加えられると筋線維が縮んで硬くなってしまう点があります。なら熱を加えても縮まないように、筋切りをしておきましょう。
筋は、赤身と白い脂の境界にあります。境界の部分を5箇所ほど切っておくだけで、焼いても縮みにくくなり柔らかくなります。ちなみに、筋切りは片面だけで大丈夫です。
専用の器具を使って叩いて柔らかくする
もっと柔らかくしたいなら、専用の器具を使って全体の筋を切る方法があります。包丁の背で叩いて柔らかくする方法がありますが、形状からしてあまり筋が切れない+形がキレイにならない欠点があるので、専用器具の方がおすすめです。
専用器具は、有名なものだと下記のミートハンマーとミートソフター。
上記のようにハンマー部分に小さいトゲが付いていて、これで叩くことで筋を切ることができます。実際に使用してみましたが、包丁の背と違って表面積が広いため叩きやすく◎。力も込めやすく、均一な厚さにすることができました。
ミートソフターは上記のように、細い彫刻刀のような刃が並んだ形をしています。切れ味抜群で、硬い筋も簡単に切ることができます。分解して洗浄できるタイプがほとんどなため、清潔に使えるのもポイントです。
タンパク質分解酵素の働きを使って肉を柔らかくする
タンパク質分解酵素であるプロテアーゼを使い、筋線維を分解して柔らかくする方法です。意外と種類が多いので、小見出しに分けてそれぞれ解説しますね。
パイナップルやキウイフルーツ、パパイヤ、梨といったフルーツを使う
肉を柔らかくするには、パイナップルに漬ければ良いと聞いたことがないでしょうか?その通りで、プロテアーゼが多く含まれている食品は、フルーツ類が多数です。
パイナップルにはブロメライン、パパイヤならパパイン、キウイフルーツはアクチニジンといった種類のプロテアーゼが含まれています。ただし、いずれも生の状態でないと効果を発揮しないので、加熱したものや缶詰は避けてくださいね。
それぞれ適切にカットするかすりおろし、肉を漬けて1時間ほど置きます。
確かに肉は柔らかくなるのですが、個人的には果物はそのまま食べたいのでもったいなくてあまりやっていません。
ずっと置いていて品質が悪くなり、そのまま食べるのはちょっと…というフルーツがある時にはぴったりですね。
ちなみに、果汁100%のパイナップルジュースにも酵素が含まれているので、肉を柔らかくする効果があります。
よく使われる玉ねぎもプロテアーゼが多い
管理人が肉を柔らかくするのによく使う食材は、玉ねぎが断トツで多くなっています。プロテアーゼを多く含み、すりおろし玉ねぎに30分ほど漬けておくだけと簡単です。
玉ねぎの風味が肉に付きますが、焼き肉のタレやステーキソースなどに玉ねぎが入っていることが多いように、肉と合うので気になりません。
ステーキ肉から鶏肉、薄切りの肉まで万能なため、基本的には玉ねぎがおすすめです!
キノコ類の中でもプロテアーゼ含有量が多い舞茸
初めて知った時に驚いたのですが、舞茸もプロテアーゼを多く含むので肉を柔らかくすることができます。
石づきを取ってばらばらにした状態で肉に密着させるか、ペースト状にして塗ります。漬け時間は、できれば半日から1晩がおすすめ。
2~3時間としている所もありますが、それだと硬い部分が残ります。また、以前ほぼ赤身の牛ステーキ肉を3時間だけ漬けたところ、全体がかなり硬い状態でした。
肉に舞茸の風味が付くことはほぼないので、味をつけたくない時にぴったりです。
なお、使い終わった舞茸は、キノコ入りソースとして再利用できますよ!
意外な所で塩麹や味噌にもプロテアーゼが含まれる
塩麹(しおこうじ)や味噌に肉を漬けこむと、柔らかくなることを知っている方も多いのではないでしょうか。管理人も豚肉の味噌漬け焼きを初めて作った時に、こんなに柔らかくなるのかと驚きました。
実は塩麹も味噌もプロテアーゼが含まれているので、タンパク質を分解して柔らかくしてくれる効果があります。
漬け時間は、どちらも30分から1時間。味噌は味の主張が強く洗い流すにしても手間が掛かるので、味噌漬け焼きといった特定の料理を作る際におすすめ。
塩麹はステーキから漬け焼きまで、様々な料理に使えます。ただし、塩味が付くので漬けた場合は塩は振らないで大丈夫です。
ちなみに、通常の塩麹だと塗りにくいですが、漬け込むなら画像のような液体タイプの方が使いやすいですよ。
食材がもったいないならタンパク質分解酵素の粉を掛けるのがおすすめ
肉を柔らかくするためとはいえ、食材によっては再利用できず捨てるしかないのでもったいないという声もよく聞きます。そんな時は、画像のようなタンパク質分解酵素を抽出して粉にした物がおすすめ。
画像は大塚薬品工業株式会社が販売している、食肉改良剤の「肉用ミオラ」です。肉用ミオラは、パパイヤに含まれるタンパク質分解酵素であるパパインを抽出して粉にしています。
他メーカーからも似たような商品が販売されていますが、食塩や調味料が混ぜられていないのが特徴。振りかけてもしょっぱくならず、味付けは別で細かくできるため気に入っています。
そういえばテレビでプロの料理人が焼く前に豚肉に何か粉を振りかけているシーンを見たことがありますが、あれは柔らかくするための肉用ミオラだったのかもしれません。
使い方はステーキ用や鶏肉といった厚い肉は、振りかけてから30分ほど放置。薄めの肉なら10分くらいあれば、柔らかくなりますよ!
酸性かアルカリ性の液体に漬けると保水性がアップして柔らかく
肉を酸性やアルカリ性の液体に漬け込むことで、柔らかくする方法。漬け込むと筋線維がほぐれてその隙間に水が入るため、保水性がアップします。
焼くときに水分が出て行ってしまい硬くなりますが、保水性がアップすれば焼いても水が残りやすくなるため柔らかくなります。
炭酸水はpH5.5の酸性で、重曹水はpH8.2のアルカリ性。また、どちらも含まれる炭酸水素ナトリウムという成分がタンパク質を溶かすため、より柔らかくなる効果が期待できます。
漬け込み時間は1時間ほど。ただし、一晩漬けると肉汁が出てしまい美味しさが落ちてしまうので、気を付けてください。
さらに柔らかくするなら、コーラで煮込む方法がおすすめ。コーラはpH2.2と炭酸水よりも酸性が強く、入っている糖分でいい感じに照り焼きになります。
他の方法とも組み合わせやすい酒に漬ける
アルコールが筋線維の組織に入り込んで、保水してくれる効果があります。また、アルコールは沸点が78度と低いため、肉に火が通りやすくなり、硬くなる前に焼けるといった効果も。
漬け時間は1時間ほど。ただ、分厚い肉は半日ほど漬けてください。日本酒やワインといった種類は、例えば牛肉の赤ワイン煮込みといったように料理によって使い分けましょう。
おすすめの使い方は、他の方法と組み合わせるやり方。例えば玉ねぎに、醤油やみりん、酢などと共に酒も入れてタレを作って漬けるといった方法です。
牛乳やヨーグルトも肉を柔らかくする効果がある
牛乳やヨーグルトに含まれる乳酸にも、筋線維をほぐして柔らかくする効果があります。漬け込む時間は2~3時間でも良いですが、しっかり柔らかくしたいなら1晩がおすすめです。
ヨーグルトを使うなら、例えばタンドリーチキンといったヨーグルト自体もそのまま食材として使える料理が良いでしょう。
牛乳は肉の臭みも取れるという効果もあり、あまり風味が移らないのでステーキ肉から鶏肉まで、色々な調理に使えます。常に冷蔵庫には牛乳があるという方や、玉ねぎが苦手という方にぴったりですよ。
焼き方を工夫すれば柔らかくなる
最後に焼き方を工夫することで、柔らかくする方法をご紹介します。もちろん、既にご紹介した方法と組み合わせることで、より柔らかくなりますよ!
焼く前に常温に戻し、強火で一気に焼くのが柔らかくするコツ
冷たいままだと中までなかなか火が通らないので、焼き過ぎて硬くなる原因になります。焼く30分くらい前に、冷蔵庫から出しておきましょう。
塩を表面に掛けると水分が出てくるので、焼く直前に振るのがベター。時間を掛けるほど水分が出てしまうため、強火で短時間に一気に焼くのがコツです。
強火で1分ほど加熱したら、弱火にして2分ほど焼いてください。焼き色が十分なら裏返して強火で1分。弱火にしてさらに2分ほど焼きます。
焼き終わったらアルミホイルで包み、5分ほど寝かせましょう。これで切口がうっすらピンク色になる、ミディアムに焼きあがりますよ!
低温調理器を使えばレストランのような柔らかさに!
レストランで出るような柔らかさで調理したいなら、上記のような低温調理器を使った真空調理法を試してみてください。
ファスナーが付いたビニール袋に食材を入れ、空気を抜いて真空状態にしたまま、60~70度くらいのお湯に入れて加熱する調理法です。
タンパク質は60度前後になると凝固し、68度を超えると水分が抜けてしまう性質があります。それなら、68度以下で調理すれば、柔らかくなりますね。
ただ、温度計を見ながら火を調整し、上と下で温度差ができないように常にかき混ぜる…と手動でやるのは大変です。
低温調理器は設定した温度にお湯を調整してくれて、対流も起こせる優れもの。食中毒が気になりますが、袋に空気を残さない(熱が伝わりにくくなるため)・殺菌できる温度に設定する・加熱時間をしっかり取るで防止できます。
なお、低温調理器と言えばAnovaが有名ですが、取説が英語だったり電圧が海外仕様のため変換プラグが必要だったりするので大変です。上記のレアウェルの低温調理器なら、電圧も取扱説明書も日本仕様なので簡単に使えますよ!
まとめ
今回は肉を柔らかくする方法をまとめました。
意外と方法が色々あるのでびっくり。これだけあるとどれを使えば良いのか迷うと思うので、どういう時におすすめなのかもそれぞれ書いておきました。ぴったり合う方法を使って、肉を柔らかく調理しましょう!