もし子供が聴覚障害になったらまず症状を理解することが重要
もしお子様が聴覚障害になったら、まず症状を理解することが大切です。
と言うのも、聴覚障害者と一括りにしても、どのくらい聞こえるのかは個人差がかなりあります。
まったく聞こえないという方もいれば、補聴器を付けるとほとんど健聴者と変わらない人もいます。
そのため、子供の聞こえの程度を勘違いして、「補聴器を付けているのになんで聞こえないの!?」とギスギスしてしまう…。
そうならないように、どのくらい聞き取れるのかしっかり聞いておきましょう。
聴覚障害の中でも感音性難聴になったら…
聴覚障害は大きく分けると、伝音性と感音性の2種類があります。
このうち感音性は症状が厄介で、補聴器を付けても相手の声が聞き取れなくなります。
ちなみにほとんどの方は難聴でも補聴器を付ければ聞き取れるようになると思っているので、感音性の症状はほぼ理解されません。
音という現象は、空気の振動を聴覚が捉えることで起こります。
でも、空気の振動がそのまま脳にダイレクトに伝わっている訳ではなく、途中で電気信号に変換されて聴神経を伝わり、最終的に脳に辿り着き処理されやっと聞こえます。
もし、音が誰かの声だった場合は、何と言っているのか意味も分かるようになります。
電気信号に変換する器官が、耳の奥にある「蝸牛」です。
感音性難聴になると蝸牛と聴神経に異常が出てしまうため、補聴器で単に音を増幅してあげても脳に上手に伝わらなくなります。
脳にちゃんと伝わらないので処理ができず、音が聞こえなかったり相手が何と言っているのか分からない…!という症状になるんです。
管理人も感音性難聴ですが、補聴器を付けても聞こえないという点が理解されず、子供の頃は「頭がおかしい子」として周囲から扱われていました。
補聴器を付ければ、声ではない生活音は聞き取れるようになります。例えば車の走行音や何かがぶつかった音など。
実際に健聴者の同級生からは、「そういった音は聞こえるのに声が分からないって、お前おかしいぞ」「わざとやっているんだろ」と言われました…。
ふざけている訳ではなく感音性の症状なので、もしお子様が感音性難聴と診断された場合は、補聴器を付けても聞き取れないことがあると理解してください。
ちなみに、伝音性難聴の場合は蝸牛や聴神経には異常がなく、鼓膜やその前の部分に異常が出ているケースです。
伝音性の場合は蝸牛が無事なら、補聴器で音を増幅してあげることで比較的に聞き取れると言われています。
ただ、同じ障害でもどのくらい聞き取れるかは個人差が大きいので、聞こえはどんな感じか怒らずにねばり強く聞き出しましょう。
障害の程度をごまかして周囲から隠すのは絶対にNG
子供が聴覚障害になった時に絶対にやっていけないのは、「障害を無かったり程度をかなり軽く偽って周囲から隠す」ことです。
確かに周囲から差別的な目で見られるのが怖い・子供に障害があるなんて自分の評価が傷つくなど、色々な思いがあるのは仕方ありません。
でも、無い事にしたり程度を軽く偽ったりしますと、子供が適切なサポートを受けられず一生苦しむような不幸な環境に置いてしまうことになります。
お子様の幸せを願うなら、どうか聴覚障害を隠さずに周囲に伝えてサポートを得られるようにしてください。
日常的に子供とコミュニケーションを取るメリット
聴覚障害はコミュニケーション障害であるとも言われるほど、コミュニケーションに後々問題が出て来ます。
ですが、ご家庭でコミュニケーションを意識的に取ることで予防することができます。
親子で手話を覚えてコミュニケーションを取れば孤独感を減らせる
筆談で行うのも良いですが、やはり親子で手話を覚えて普段からコミュニケーションを取るようにしましょう。
聴覚障害者の心理臨床〈2〉という本に、聴覚障害者は孤独感を抱えやすく何らかの精神疾患になりやすいとありました。
と言うのも、一家で聴覚障害者は一人のみで他の人は健聴者というケースがほとんど。そのため親や兄弟とコミュニケーションが取れず、孤独感が強くなってしまうということです。
確かに、管理人も聴覚障害者で小さい頃から孤独感を強く感じて来ました。
管理人も当てはまっていて、家族で聴覚障害者は私一人で誰も手話ができないためコミュニケーションが取れてなかったのが原因です。
どうでも良いような雑談もしていくことで、コミュニケーション能力は向上していきます。
だからこそ親子で手話を覚えて、普段からコミュニケーションを取ることで子供の孤独感を減らし、精神疾患を抱えるリスクを落とすことができます。
コミュニケーション不足が人格形成を妨げる
コミュニケーション不足になることで、人格形成を妨げてしまう問題も出て来ます。
つまりは、人の言う事を聞かず反発ばかりして、優しさがなく汚い言葉を使い周囲の人を傷つけてしまうなどです。
他の聴覚障害者はどんな生活なんだろうと思って調べていたところ、聴覚障害者は性格が悪いといった記事がちらほらあってびっくりしました。
聴覚障害者の方から嫌がらせをされたという内容でしたが、恐らくは根っこのところはコミュニケーション不足や障害を理解されなかったことなどが影響していると思います。
健聴者でも不良になって周りの人を傷つけてしまう方がいますが、そういう子は家庭環境に問題があってグレてしまったケースが大半でしょう。
同様に聴覚障害者でも孤独感からグレて、相手の事を考えずに傷つけるような行動を取ってしまうことは十分にあり得ますね。
聴覚障害者が健聴者とコミュニケーションをするコツとは?
聴覚障害になった我が子にコミュニケーションのコツを教えるなら、特に重要なことがあります。
それが、「相手の声が聞き取れなかったら適当に返事をしないで、必ず聞こえないことを伝えて筆談などしてもらえないか聞きましょう」です。
いちいち聞くのも悪いような気がしてついつい適当に返事してしまうと、色々とマイナスな面があります。
適当に答えてしまうと話がかみ合わず、頭がおかしい子だと思われて避けられるなど周囲から浮いてしまいます。
良好な関係を作るなら、やはり聞こえない場合は筆談などできないか言う方が良いでしょう。
また、筆談に備えてペンとメモ帳をいつも持たせておき、筆談に応じてもらったらお礼を言う事も忘れずに伝えてください。
断られたらどうしようと思いますが、ほとんどの人は心地よく応じてくれます。
それに、断られるときは相手が急いでいるなど、何かしら事情があるので気にしなくて大丈夫です。
学校は子供の症状に合わせて選ぶのが大切です
生まれつき耳が聞こえない場合は、ろう学校に入ります。
ただし、小学校で耳が聞こえなくなったら、中学校はろう学校か普通のところか選ぶケースも出て来ます。
どちらに行くかは症状と自宅から通えるかで判断する
まず子供に「どちらに行きたい?」と聞くと思いますが、正直に言って小学生では聴覚障害を理解して今後を考えられる訳ではないので、両親がしっかり考えることが大切です。
どちらの学校に行くかは①自宅から通えるか?②子供の聞こえの程度はどのくらいか?の2点から考えましょう。
自宅から通えない位置にろう学校があるなら、残念ながら難しいので諦めて普通の中学校に入るかろう学校の近くに引っ越すかのどちらかです。
各家庭の経済事情もあるので、よく考えて判断してください。
続いて子供の聞こえの程度からですが、症状が軽くて補聴器を付ければほぼ聞き取れるなら、普通の中学校でも大丈夫でしょう。
ただし、将来、聴力が低下して聞き取りが難しくなる可能性があるので、日々コミュニケーションを取る中で聞こえはどうかチェックします。
症状が重く感音性難聴で補聴器を付けても聞き取りが難しい場合は、ろう学校がおすすめです。
ろう学校に入って、同じ聴覚障害者の友達ができることは人生の中でも重要なメリットになります。
普通の中学校では重度の難聴への対応は難しく、いじめに遭いやすいといった点も出て来ます。
そのため、もし重度難聴で普通の中学校に通う場合は、教師の方とコミュニケーションを密にしたり、何か態度がおかしかったりしたらいじめなどに遭ってないか確認するようにしてください。
【管理人の経験】重度難聴で普通の中学校に入ったら地獄を見た…。
管理人は、聴力100dBの重度の感音性難聴です。
小学生の時に聞こえなくなり、中学校に入るころには小学の先生からろう学校と中学校のどちらが良い?と言われました。
よく分かっていなかったので、自宅から近かったのもあり普通の中学校と答えたのですが、実際に入学したところ地獄を見ました…。
まず、教師の声が聞き取れないので授業が分かりません。仕方ないので教科書を読んでいると、先生の方を見なさいと怒られます。
聴覚障害への配慮は、机を一番前にするだけで後は一切なし。なぜか周囲の人が珍しく休み時間も勉強しているなと思ったら、次の時間に小テストがあったなど直前まで気づかないことばかりでした。
また、同級生に暴力を振るう子がいて、「補聴器を付けているのに声が聞こえないなんておかしいだろ」と言われて何度も殴られました…。
そんな感じで、周囲の子とコミュニケーションが上手く取れず、授業も分からず結局は自分で教科書や参考書を読んで独学、いじめで何度も暴力を振るわれてPTSDを発症と地獄でした。
もちろん、これは管理人の努力不足もあり、たまたま暴力を振るう子が同級生にいたという不運の影響もあります。
高校も普通のところでしたが、教師の方々が聞こえないことを理解してくれて筆談で必要なことを伝えてくれるなど対応していただきました。
また、同級生にも恵まれ、暴力を振るうような子は一人もおらず優しい子ばかりと中学と比べると天国でした。
勉強は読むのが中心になるので分かりやすい参考書を用意してあげよう
聴覚障害者の勉強は、教師の声が聞こえないので「とにかく読む」が中心になります。
正直に言って教科書だけだと分かりにくいため、分かりやすい参考書も用意してあげてください。
昔と違って近年では、分かりやすい本がたくさん出ています。
それこそ、勉強が苦手な子でも楽しく学べるように、漫画で解説した本もあります。
もし分からないことが出来てたら、一緒に調べることで子供に安心感を与えることができますよ。