この記事を書いている人は、両耳とも聞こえない聴覚障害者です。
今回のテーマは、「聴覚障害者なのに手話ができない人はなぜ多いのか?」となります。
これは実際に、管理人も健聴者から「手話出来ないの?」と言われて出来ないと答えたら驚かれた経験があります。
出来ないのは理由があって、先に言ってしまうと聴覚障害者の中でも中途失聴者はほとんどが手話ができません。
聴覚障害者でも中途失聴者はほとんどの人が手話ができない

聴覚障害者なら手話はできて当然だと思って、覚えたての手話で話しかけたら「ごめんね、手話はできないんだ」と言われました……。
これ、実際に管理人が経験したことです。あの時に、手話で話しかけてくれた方、本当に申し訳ない!手話は全然使えません。
実は聴覚障害者は、ろう者と中途失聴者の2つに分けることができます。
タイトルの答えを言うと、ろう者は手話を覚えている人が多いけど中途失聴者はほとんどの人が手話を使えないからです。
ろう者 | 生まれつきか幼少期に聞こえなくなった人で、音声言語の獲得ができずに喋れない |
中途失聴者 | 音声言語を獲得した後に失聴した人 |
管理人は、小学生から中学校にかけて失聴したので中途失聴者となります。
- 聞き取れないので滑舌は悪いものの、ある程度は喋ることができるので音声で意思疎通ができる
- そもそも周りにろう者・中途失聴者がいないので、手話を覚えても使う機会がない
- 手話をマスターするには英語など外国語を1つマスターするのと同じ労力がかかる
中途失聴者は聞こえなくなった時期にもよりますが、健聴者ばかりの環境で育ちます。そのため、周りに手話を使える人がおらず、手話を覚えても使う機会がほぼありません。
管理人も一時期に手話を学んでいましたが、正直に言うと覚えても使う機会がまったくなくその状態で何年も経ったので大半は忘れ去りました。
再度学習するにも結構大変ですし、覚えても使う機会がないならモチベーションが上がらないので難しいでしょう。
じゃあ中途失聴者ってコミュニケーションはどうやっているの?と聞かれますが、近年だとUDトークといった無料で使える音声認識アプリを利用しています。スマホを近づけるだけで相手の声が文字になって表示されるので、それを見て喋るといった感じですね。
なお、聞こえないことから滑舌が段々と悪くなってくるので、滑舌を良くするトレーニングをちょこちょこやっています。
- そもそも音声言語を習得できないので、喋ることが出来ず視覚的に理解できる手話に頼らなければいけない
- ろう学校などで同じろう者とのコミュニケーションに必要になる
音声言語について解説すると、これは言葉の発音の仕方のことです。当たり前ですが「いぬ」と喋りたいなら、「い」「ぬ」と発音しなければいけません。
「い」や「ぬ」などの発音の仕方は生まれつき備わっている訳ではなく、生まれてから周りの人の声を聞いて覚えて習得していく必要があります。
ところが、ろう者はお手本の声が聞き取れないので、何と発音すればいいのか分からずに習得できません。
生まれつき眼が見えない人が、青とか赤とかどんな色なのか知らないのと一緒ですね。
そういう事情でろう者は喋ることができないので、基本的に視覚で分かる手話が必須となります。大変ではありますが、ろう学校では同じろう者とコミュニケーションを取るのに必要なので自然に覚えていくでしょう。
まとめ
聴覚障害者でも、中途失聴者は手話を使えない人がほとんどです。その理由は、中途失聴者は喋ることができるのと、覚えても使う機会がないから。
管理人も中途失聴者ですが、家族も使えませんし本当に使う機会がまったくありません。
近年ではUDトークやこえとらといった音声認識アプリが無料で使えるので、コミュニケーションでこれからも手話に頼ることはほぼないでしょう。
ただし、ろう者の人に限っては、手話が必要な環境ですので覚えないとコミュニケーションが大変になります。
これが、聴覚障害者における手話の事情です。