聴覚障害者いじめ虐待の現実とは?中学生で聞こえなくなった私の過酷体験と後遺症からの回復まで

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聴覚障害者

このブログの管理人の町草は重度の聴覚障害があります。小学生の頃から徐々に聴力が落ち、中学生でほぼ聞こえなくなりました。聞こえなくなったことで当時に両親から虐待を受け、学校ではいじめで暴行を受けました。公開しようか迷ったのですが、同じような環境にいる方々に役立つかもと考え公開することにします。

なお、この記事は私はこんなひどいことを受けたという告発の意図はまったくありません。ただ、一人の聴覚障害者が精神を追い詰められていった過程、その結果起きたメンタル疾患、回復まで明らかにすることで、ただ聴覚障害者への理解を深めて欲しいのです。

この記事は、以下の方にとって役立つでしょう。

  • 障がい者が身近にいて理解を深めたい方
  • 障がい者いじめ・虐待の実態を知りたい方
  • 小さい頃に失聴するとどうなるのか現実を知りたい方
  • いじめや虐待を過去に受け、どう治せばよいのか分からず困っている方

初めに伝えておきますが、現在は両親との仲は悪い訳ではありませんし、仕事もできるくらいまで回復しています。

この記事は大きく分けて①小学から中学まで私の体験②いじめや虐待を受けた結果起きたこと③いじめや虐待の後遺症の治療はどうしたのか?の3つからなります。目次から飛べますので、読みたいものから読んでくださいね。

  1. 自身の難聴の状態を解説
  2. 小学から中学まで失聴した管理人が受けたこと
    1. 失聴後の両親の対応がひどすぎた
      1. 耳が聞こえなくなったことを両親に激怒される
      2. 難聴について訴えても無視される
      3. 聞えないことを「馬鹿なんだ」とひたすら叱られる
      4. 難聴の症状を他人に言うなと固く口止めされる
      5. 子供の病気を無視しひたすら怒るしかできない親もいる
    2. 小学時代:いじめで笑い者にされる
    3. 中学時代:いじめで多数の暴行を受け精神的におかしくなる
      1. 度重なる暴行によるストレスで心が壊れる
      2. 養護教諭の先生が私の状態に気付き対応するも
    4. 高校からいじめの後遺症に苦しみニート状態へ
  3. いじめと虐待を受けて起きた後遺症
    1. いじめ後遺症で発症した具体的な症状
    2. 症状が複雑性PTSDや発達性トラウマと同じことに気づく
    3. 両親に激怒され専門家の治療が受けられない
  4. いじめや虐待の後遺症をセルフで回復させた方法
    1. うつ病の治し方はしっかり休むのが基本
      1. 脳を休ませる方法を身に付けよう
      2. 朝や昼に光を浴びることを日課する
      3. 自身のサーカディアンリズムを把握しよう
      4. セントジョーンズワートというサプリメントが軽度うつに効果ある
      5. 漢方薬にもうつ病やトラウマに効果があるものがある
    2. トラウマ・複雑性PTSDを乗り越える方法
      1. 自律神経を整えることでトラウマの不快な症状を減らせる
      2. 読書療法でトラウマや複雑性PTSDについて学ぶ
      3. トラウマを解消するテクニックを使っていく
      4. 手軽にできるトラウマ解消法「バタフライハグ」
      5. トラウマ持ちならポリヴェーガル理論を理解すると楽になる
      6. フラッシュバックや過去を繰り返し考えてしまう
      7. 良くなると出てくる強烈な怒りへの対処法
    3. 辛い時はひたすらノートに書き続ける
    4. 近年だとAIによるカウンセリングが無料で受けられる
    5. いじめや虐待の経験をどう解釈するべきか?
  5. まとめ:いじめの後遺症は克服できる!時間を掛けて治そう

自身の難聴の状態を解説

初めに、私の耳の状態を伝えておきましょう。私の難聴は感音性難聴というもので、左右どちらも100dBで重度という区分になります。

感音性は耳の奥の内耳(ないじ)という部分と聴神経に異常が出ている病気。

内耳には音の振動を電気信号に変え聴神経に流す、蝸牛(かぎゅう)という器官があります。

この蝸牛が損傷してしまっているため、補聴器で音を増幅しても脳にうまく伝わらず相手が何を言っているか聞き取れない症状があります。

私はこの相手が何を言っているのか聞き取れない症状が強く、補聴器を使ってコミュニケーションを取ることはできません。

そのため、昔から筆談に頼っており、近年ではAIスマホによる音声のテキスト化を使ったコミュニケーションを行っています。

小学から中学まで失聴した管理人が受けたこと

小学生から中学生に掛けて失聴した管理人が体験した、いじめと虐待の内容を解説します。正直に言うと、家でも学校でも聴覚障害であることで犯罪者のような扱いを受けました。

もし同じような体験をした方は、ここを読むことでトラウマがフラッシュバックする可能性があるためご注意ください。

失聴後の両親の対応がひどすぎた

小学生の真ん中あたりで失聴した訳ですが、それに対して両親の対応がかなりひどかったのを記憶してます。そのため、ずっと「どうすればよいんだろう」いつも考え苦しくして仕方ありませんでした。

耳が聞こえなくなったことを両親に激怒される

初めて耳の調子が悪いことが分かったのは、小学校で受けた聴力検査でした。異常ありだったので病院で診察してもらったところ、難聴だと発覚しました。この時点では軽度から中度くらいでした。

耳が聞こえなくなっていることが発覚したとき、母親の反応は激怒でした。睨み付けられながらペンで「耳つんぼ!」とだけ書いた紙を見せられ、その後ペンを投げつけられました。

その後は「フン!」と言い、母親はどこか行ってしまいました。私が聴覚障害になったことが受け入れられず、怒るという対応になったようです。

母親は感情的な人で、機嫌が悪いとすぐ怒り悪口をずっと言っていることがよくありました。また、やたら信心深く変な祭壇を作り、毎日お供えをして拝んでいました。父親はアルコールが無いとダメな人で、かなり怒りっぽく何でも力づくでやろうとするところがあります。幼少期はしつけとして、父親から叩かれたことが何度もあります。

難聴について訴えても無視される

難聴が発覚してから病院で補聴器を付けるように言われ、小学生で補聴器を付けることになりました。ただ、補聴器を付けてもOKかというと、聞き取れなかったり・耳鳴りがしたりする問題が出ました。

幼い私は、両親に聞き取れない・耳鳴りがすると両親に訴えました。それに対する両親の対応は、「相手の声が聞こえないのは私たちにもあるんだ」「私たちも耳鳴りがするんだ」といって我慢しなさいとだけでした。

ちなみに、両親は二人とも健聴者です。両親によると、聞き取れなかったり耳鳴りがしたりするのは誰にでもあるのだそう。ただそう言われて取り合ってくれませんでしたし放置されました。

聞えないことを「馬鹿なんだ」とひたすら叱られる

難聴になると、聞こえないことで本当にいろいろな困難が出てきます。特に以下の問題に悩まされました。

  • 感音性難聴のため補聴器でも聞き取りが難しく授業についていけない
  • 周囲の子とコミュニケーションが取れない
  • 聞こえないので周囲で何が起こっているのか分からない
  • 電話も聞こえないので使えない

これらの問題に対して両親は、ひたすら怒りました。毎回言われたのは「こいつは馬鹿なんだ」でした。うちの両親は聞こえないのは頭が悪いからだと思い込み、ひたすら叱ることで何とかしようとしてきました。

電話も聞こえないので使えないのですが、両親は無理やりにでも使わせようとしてきました。相手の番号を押して受話器をとり、「もしもし」まではできます。

ただ、その後の相手の声が聞き取れない。それで両親に向かって「聞き取れない」と言いました。そうしたら、両親どちらも激怒し、ひたすら罵倒されました。これは今でもトラウマとして記憶してます。

母親は「こいつは頭がおかしいんだ!」と怒鳴り、父親はこちらを睨み付けながら手を振り上げ殴るぞとポーズを取る。

これらのことが大きなストレスとなり、当時はボーっとしていて無表情かへらへら笑っているだけのよく分からない子供した。当然ながら周囲の人は気味悪がり、それもいじめや孤立へとつながりました。

難聴の症状を他人に言うなと固く口止めされる

両親は、他人の目を異常なほど気にする人でしたので、息子が障がい者ということが耐え難い苦痛だったようです。そのため、私は重度の難聴ですが、両親は軽度の難聴で補聴器があればコミュニケーション可能で健聴者とほぼ変わらないと周囲に説明していました。

だから、私が耳鳴りがする・聞こえないと言うたびに必ず言われたのが「絶対に学校や他人に言うな!」という口止めでした。言ったら学校に通えなくなる、いじめられるぞと脅されました。

その結果、私は重度の難聴があるにもかかわらず、軽度の難聴者として振る舞わなければなりませんでした。

当たり前ですがこれは不可能です。「どうすればいいんだ……。」当時はこう考えてかなり苦悩していたことを思い出します。

ちなみに重度にもかかわらず軽度の難聴の振りをした結果、学校の先生や周りの人にひたすら怒られるという状況になりました。聞こえないとは言えないから、聞こえると言うしかない。聞こえないから、状況が分からない。だから一人だけよく分からない行動をする。

お前は何なんだ。お前おかしいぞとひたすら怒られる日々でした。

両親はこういった私の姿を見て、「こいつは馬鹿なんだ」としょっちゅう言われひらすら怒りました。そして、お前が馬鹿だから私たちがこんなに苦労しているんだといつも言われていました。

子供の病気を無視しひたすら怒るしかできない親もいる

高校の頃に高齢の教師から、「聞こえなくなったとき両親からどう言われたの?」と言われたことがあります。そこで、耳つんぼと紙に書かれてペンを投げつけられたエピソードを話したら非常に困惑し「なんで……?」と言われました。

その教師は、両親から非常に愛されたのでしょうね。

普通は子供が病気になったら、多くの親は心配し受け入れなだめるでしょう。しかし、子供の病気を受け入れられず、病気なのは悪いことだとひたすら叱る親もいるのです。

なぜ私の両親は、聴覚障害のことを馬鹿だと言って怒るのか?うちの場合は以下のことが原因でした。

  • 両親が聴覚障害を含む様々な病気についてあまりにも知識・理解が無さすぎる
  • 両親の教育スキルがあまりにも低ぎる
  • 両親ともに障がい者や病気の人に対する差別感情があった

まず、両親は感音性難聴が補聴器を付けても聞き取りが難しくなる病気だということを知りません。説明してもそんな訳ない理解しようとしません。

感音性は耳の奥にある内耳という、音を電気信号に変換し脳に伝える部分に異常が起きます。補聴器で音を増幅しても、脳に伝わりにくくなるので聞き取りが難しくなるのです。

教育には、子供に何が起きているのか注意深く観察し、何か問題が起これば一緒に考えていくといったスキルが必要です。しかし、うちの両親はそういった教育スキルがあまりにも低く、不機嫌だ・馬鹿だと怒鳴りつけて子供をコントロールしようとしてしまいます。耳が聞こえないという、病気に関することでも同様でした。

最後にうちの両親は、障がい者や病気の方を馬鹿だと言って差別することが残念ながらありました。テレビで、重いアレルギーの方の特集が放送されていたことがあります。それを見た母は、アレルギーの人の頭を指さして「こいつは馬鹿なんだ」といって笑い出したことがあります。

いや、どう見てもアレルギーは病気で馬鹿ではありません。しかし、どうもうちの両親は障がい者・病気の人を頭が悪い人と解釈する傾向があるのです。これは、病気への理解・知識があまりにもないためでしょう。

小学時代:いじめで笑い者にされる

小学時代は周囲からからかいを受けることが多くよく、悪戯の被害に遭いました。多くの人がいる場所で、ズボンどころかパンツまで下げられる。

それで、みんなに笑い物にされる。

急に私を指さして周りの人に何か言うと、周りの人が私を見て笑い出す。教師も一緒になってです。

聞き取れなかったので、何を言ったのか分かりません。

椅子に座っていたら、いきなり椅子を引かれてお尻を思いっきり床に打ち付けたこともあります。

それを見て周囲の子は助けることもなくただ笑っていました。ちなみに教師はこの出来事に対して、笑いながら「怪我することもあるからもうやらないでね」と軽く注意して終わりでした。

ちなみに、小学生の時点で解離症状や離人症など、様々なメンタルの症状が出ていたと記憶しています。もちろん、当時は知識が無いので分からなかったのですが、後から精神医学を学びあれはそうだったのかと分かりました。

中学時代:いじめで多数の暴行を受け精神的におかしくなる

中学時代はいじめがもっとひどくなり、同級生の一人から殴る・蹴る・抓るなどの暴行を毎日のように受けました。

その同級生は言動が暴力的で、他人を露骨に見下し、些細なことで激高しすぐ暴力を振るうという典型的ないじめっ子です。特に私のようなできない子を異常なほど嫌悪していました。

そこからパワハラが始まり、本当に些細なことで「ちゃんとやっていない」「ふざけている」と叱責され、そのたびに殴られる・抓られるという暴行をされました。ちゃんとやっても、ちゃんとやらない・ふざけてたと言われ叱責され暴行されます。

その同級生はそのうち私を見るだけで条件反射のように怒り出し、暴力を振るってくるようになりました。また、殴った後に「私が悪いことをしたから」と理由を付け正当化してきました。

休み時間に自分の椅子に普通に座っていただけでも、ふざけていると言われ殴られました。相手は言葉が通じないタイプで、何を言っても毎回「言い訳するな!」といって更に激高して殴られるだけでした。

周囲の子はそれを見て「なんで?」と困惑していましたが、殴られるのはずっと続きました。

また殴るだけでなく、爪で抓って内出血を起こさせるのも毎日ありました。学校がある日はほぼ毎日されましたので、内出血が太ももから胸までびっしり100か所以上は付いていました。

担任の教師に殴られたことを伝えましたが、教師は面倒くさそうに「殴られたら殴り返して」とだけ筆談で伝えてきてそれ以上は何もしてくれません。私がいじめられていても、この担任は毎回無視でした。ちなみにこの担任はいつも不機嫌でイライラしていて、どうも激務でメンタルをやれていたようですので仕方なかったのかもしれません。

多くの教師は、見て見ぬふりをしていました。まあ、学校の先生の多忙さは分かりますし、対応する余裕がなかったのでしょう。あの中学校は、明らかにメンタルを病んでいる先生が複数いたのです。

また、担任ではないですが、一部の若い教師がいじめに加担してくることも普通にありました。その若い教師はいじめっ子と仲が良く、性格もいじめっ子に近い人だったからです。これにより、中学生にして誰も信じられず極度の人間不信に陥りました。

度重なる暴行によるストレスで心が壊れる

恐らくこの時の極度のストレスが原因だと思いますが、中学時代に失聴が加速しほとんど聞き取れなくなりました。難聴はストレスによって悪化します。

経験した人しか分からないと思いますが、いつ暴力を振るわれるか分からないということだけでもかなりのストレスになるのです。

家では「馬鹿だ」と怒鳴られる、学校では暴力を受ける。そういう生活を続けているうちに心がどんどん壊れていき、意味不明な言動をするおかしな子になっていました。その時は正確に理解できる人がおらず、周りからは知能に問題がある子として扱われていたと記憶しています。(※後で気づきましたが、この意味不明な言動は適応障害の症状でした。)

知識ある現在からみると、当時は極度のストレスから適応障害と急性ストレス障害(ASD)、もしくは心的外傷後ストレス障害(PTSD)だったと推測されます。専門家による治療が必要なレベルでした。

教師達はそういう私を見て、馬鹿にするか迷惑がって距離を取るようになっていきました。現在でも教師という職業の人を見ると不信感を持ちますが、その原因がこの経験です。

養護教諭の先生が私の状態に気付き対応するも

唯一、養護教諭の年配の女性の方が私の状態に気付いてくれました。そこで授業参観の日にわざわざ会いに来てくれ、父親に私の状態を伝え精神科医といった専門家に診せることを提案してくれました。

知識がある現在から見ても、専門家による治療が必要な状態だったので、この養護教諭の提案は正しかったでしょう。

しかし、伝えられた父親は養護教諭を無言でしばらく睨み付け、「馬鹿だ」とだけ言ってどこか行ってしまいました。養護教諭はそれを見て唖然としていました。当然ながら、専門家に私を診せることはその後一切ありません。

ちなみに、この時受けたいじめは両親には相談できませんでした。理由はそもそも話を聞いてくれず、相談できる状態ではなかったからです。

成人してからいじめられたことを伝えたところ、父親から睨み付けられ「お前が馬鹿だからだ」と怒られました。

高校からいじめの後遺症に苦しみニート状態へ

高校は家から近く入りやすいところに適当に入りました。当時は、どこに入っても同じと考えていたからです。

幸い聴覚障害を配慮してくれる教師が多く、いじめっ子は他の高校でしたので中学のようないじめは受けませんでした。

しかし、中学時代のいじめが激しかったので、後で解説するようなたくさんの後遺症がありとても苦しい高校生活でした。

一部を書くと、人が怖くコミュニケーションが取れない、感情が麻痺、フラッシュバック、突然何でもないのに強い不安や恐怖が出てくるなど。

それに受けたいじめについて話そうとすると、強い感情が押し寄せてきて言えなくなるのです。そういう状況でしたので、高校でも苦労しました。

高校卒業後は、就職に失敗して26歳くらいまで引きこもってニート状態でした。実はこの時点で数々のトラウマからうつ病を発症しており、それがかなり重くなっていたのです。

治療を受ける必要があったのですが、両親はうつ病などメンタル疾患にあまりにも無理解でした。精神科へ行こうとすると、両親がとても怒るため治療は受けられません。

そのため、高校卒業後辺りから20代後半までほぼ重いうつ病とトラウマが原因でほとんど何もできませんでした。この時期は、重いうつ病でぐったりとして何もできず、しばらくすると少し回復する。そしてまた、重くなるということを繰り返していました。

ただ、それでも少し元気になったらネットでうつ病について調べ、セルフで出来る治療法を探し実践していくことで段々と回復しました。

24歳の時に自宅に居ながらネットで仕事をすることができると知り、そのうちWebライターならできるかもと思い少しずつ仕事していきました。

ただ当時は、うつ病が原因で仕事を数か月休んでしまうことが普通でしたので、まったく稼げませんでした。26歳くらいの時に何とか仕事し続けることができるようになり、ある程度まとまったお金が入るように。

仕事をして稼いだお金で様々なトラウマに関係した本を買い、それで治療法を学びました。30代に入ってから段々と回復し、現在では問題なく仕事できるくらいまでになっています。

いじめと虐待を受けて起きた後遺症

いじめを受けた結果、私は様々な後遺症ができました。その後遺症を解説します。

いじめ後遺症で発症した具体的な症状

いじめや虐待を受けたことで起きた後遺症は以下の通りです。これらの症状のせいで、私は非常に生きづらくなりました。

  1. 人が怖くなり避けるようになる
  2. 学校や中学生を見るといじめの記憶がフラッシュバックし辛くなる。このため、テレビが見られずネットのニュース記事でも学校関係のものがあるとフラッシュバックするので読めなくなる
  3. 過覚醒や低覚醒を繰り返す
  4. 人が全く信じられなくなる
  5. 感情が麻痺して楽しい苦しいなど何も感じなくなる。無感情
  6. 発達障害のような集中できない・忘れ物が多い・興味の移り変わりが激しいなどの症状が出る
  7. 何もなくてもいじめのシーンが勝手にフラッシュバックする。これがほぼ常時起こる
  8. 何にもない時にいきなり涙が出てくる
  9. 感情的に不安定になる。急に強い不安や恐怖に襲われる
  10. 無気力がひどく何もできない
  11. 強い罪悪感と羞恥心があり苦しむ
  12. 胃腸の調子がおかしくなり、すぐ腹痛や胃痛が起きる
  13. 過敏性腸症候群になる
  14. いつもぐったりしていて非常に疲れている
  15. 現実感がなく自分が自分でないようなおかしな感覚が出る(離人症)
  16. 一時的に記憶が無くなる
  17. パニック障害のような症状が出る
  18. 自分は人よりも大分劣っているという考えが離れない
  19. 何か嫌なことがあると些細なことでも異様に気にしてしまう
  20. 怒られると異常なほど傷つく
  21. いつも緊張状態でリラックスできない
  22. いつも不安で安心できない
  23. イライラが止まらない
  24. 何かあると過剰に反応してしまう
  25. いつも謎の焦燥感がある
  26. 言葉がうまく出てこない
  27. 部屋にいると突然強い感情が出てきて、居ても立っても居られず叫んでしまう(これもフラッシュバックの一種でした。)
  28. 見捨てられる不安が常にある
  29. 人と自然に付き合えない、この人もいじめてくるのではと考えてしまう
  30. 何かあるとフリーズしてしまう(不動化)
  31. 寝る前に嫌な記憶がフラッシュバックし興奮状態になり眠れず不眠症に。例えば24時に寝ようとするも寝付けず、やっと眠れるのが朝の4~5時過ぎになるのが普通。
  32. やっと寝つけても30分や1時間で繰り返し起きてしまう(中途覚醒)
  33. 不眠症が原因で昼夜逆転の生活になる
  34. 悪夢を見て驚いて起きるのがしばしばある

現在の段階から当時起きていた後遺症を見ると、以上のような多数の症状が出ていました。これだけ多くの症状が出ていましたので、本当に苦しく辛くてどうしようもない状況でした。

両親はこれらの症状に対して「馬鹿だ」「頭がおかしい」と言って怒るだけで、病院に連れて行くといった対応はしてくれませんでした。病院に行こうとしても激怒するので、行くこともできません。

なお、現在では自分でいろいろな心理療法を学び実践したことで大半の症状は解消されています。

症状が複雑性PTSDや発達性トラウマと同じことに気づく

成人してからインターネットを使用できる環境になったので、自分でいろいろと調べることができるようになりました。

そこで分かったのは、私は発達性トラウマ障害から複雑性PTSDとシゾイドパーソナリティ障害、適応障害、うつ病ではないかということ。また、元々あったのか分かりませんが、ひょっとしたら発達障害もあったかもしれません。(トラウマは発達障害とほぼ同じような症状が出るので、どちらなのか専門家でも間違えます)

発達性トラウマ障害は、複雑性PTSDの原因にもなる子供時代に受けた慢性的なトラウマことです。ADHDや行動障害、解離、フラッシュバック、自己開示ができないなど様々な状態から複雑性PTSDという病気に繋がります。

複雑性PTSDとは、長期に渡るトラウマ体験が原因で発症するメンタル疾患です。虐待やいじめ、ネグレイト、DVなど繰り返し受け続ける多数のトラウマ体験から発症することが分かっています。

複雑性PTSDの主な症状は以下の8つ。私は全ての症状がありました。

  1. 感情の調整が困難になる(怒りや悲しみなどコントロールの困難、感情が爆発したり麻痺するなど)
  2. 自己認識が歪む(自分は価値がなく、他の人と比べて異常に低く見てしまう。罪悪感や羞恥心を感じる)
  3. 対人関係が困難になる(トラウマから人が信用できず、親密な関係を築くのが困難)
  4. さまざまな身体症状(頭痛や腹痛から、不眠といった症状も)
  5. 解離症状(自分が自分でないように感じる。上から見下ろしているような不思議な感覚も)
  6. フラッシュバック(トラウマの記憶がありありとリアルに蘇る)
  7. 過覚醒(常に緊張状態)
  8. 回避行動(トラウマに関連するものを避ける)

シゾイドパーソナリティ障害は、以下の症状が主です。いつの間にか、以下の症状が私にも出ていました。

  • 対人関係への無関心(友人や恋人を作ろうとせず、社交的な場を避ける)
  • 感情が平坦化する(感情に乏しく、他人の感情に共感しにくい)
  • 孤独を好む(一人でいることを好み、孤独を感じない)
  • 性的な関心の欠如(恋愛や性的なものに興味がなく、結婚願望がない)
  • 無感動で無関心

両親に激怒され専門家の治療が受けられない

複雑性PTSDについて詳しく調べたところ、自分の症状に一致しました。そのため、自分は複雑性PTSDの可能性が高いと考えるように。

そこで治療を受けるべきだと思い、精神科医に掛かるにはどうすればよいのか調べました。

しかし、耳が聞こえないので、予約の電話・コミュニケーション・お金など問題が山積みです。(当時はニート状態でお金がない。現在はサイト運営やWebライターなどで生計を立てています。)

とりあえず、コミュニケーションについてはノートとペンで筆談を考えました(現在はAIスマホの登場で、音声を簡単に文章にすることが可能です。)

通えそうな精神科がある病院を調べ、良さそうなところを発見。そこで、両親に精神科の病院に通いたいことを正直に話したところ、猛反対され治療を受けることはできませんでした。

父親はこちらを睨み付け、「馬鹿だ」とだけ。あとは何も聞いてくれません。何というか、精神科の話題を出しただけで、父親は条件反射のように激怒し話を全く聞いてくれないのです。

両親はどちらも、精神科に偏見を持っています。さらに、人からの評価を異様に気にするので、他人に知られたら大変だと思い激怒するという反応になったようです。

また、両親どちらもメンタル疾患について無知なことも影響したでしょう。父親によると、うつ病やPTSDといった精神的な病気は「馬鹿だから」だそうです。聴覚障害も両親からすると「馬鹿だ」ですし、うちの両親は何でもかんでも馬鹿だからだと決めつけるんですよね。

いじめや虐待の後遺症をセルフで回復させた方法

ここではいじめや虐待の後遺症を、セルフで何とか回復させた方法をまとめます。同じ様な体験をして後遺症がある方は、ここを参考にしてみてください。

もちろん専門家に掛かった方が絶対に良いです。しかし、私は専門家に診てもらうことができませんでした。そのため、セルフで治療するというコンセプトで以下は構成されています。なお、ちゃんとした精神医学に則った方法ですので安心してください。

紹介されている本は全て私自身が読破済みのもので、紹介しても問題ないと判断したものを載せています。

これらは、どうすれば克服できるか分からず学びながら試していった20年以上の結果です。ただ、20年以上も時間を掛ける必要はなく、以下の方法を実行することで2~3年で楽になると思います。

うつ病の治し方はしっかり休むのが基本

まずはうつ病から治していきましょう。これを治さないと行動できません。

うつ病はストレスなどで脳が異常なほど疲れてしまっており、働きが低下しているばかりかセロトニンやドーパミンなど必要な脳内物質の分泌も少なくなってしまっている状態です。

だから、うつ病になってしまったら、とにかく休んで回復させるしかありません。

脳を休ませる方法を身に付けよう

ベッドやソファに寝転んでいても、あれこれ考えて脳を活動させてしまうと脳が休まらないのでうつ病が治りません。また、焦りから休まずにうつ病に良いとされることをあれこれやろうとしてしまいます。

特に我々のようないじめや虐待を受けてきた人は、いじめや虐待の記憶やそれについての考えが頭の中でぐるぐる回って止まらなくなっています。

このぐるぐる回っている考えは「止まれ!」と念じても止まりません。止めるには以下のことをやってみてください。

  • 自身を石だと思い石になりきる。石ですからしゃべらないし考えない。ただし、呼吸だけは止めず自然にしてください。何か考えたら、私は今石になっていると思い直します。
  • 部屋を行ったり来たりものすごくゆっくりと歩く。この際に頭の中で、右足・上げる・運ぶ・下げるなど一つ一つの動作をつぶやいていく。(実際に声には出さない)

横になっている、特に寝る前は頭の中でぐるぐる考えが止まらずネガティブになりがちです。こういう時は、石になりきるワークを行いましょう。自分を石(石像でも可)だと考え、ひたすら石になりきっていきます。何考えたら「私は今石になっている」と考え直してください。馬鹿らしいかもしれませんが、このワークを続けて行くと頭の中が段々と静かになってきます。

次のゆっくり歩くですが、これはスローモーションというレベルで、他人が見たら何してるの!?と驚くレベルでゆっくり動かしてください。

これをやると、頭の中でぐるぐる回っている記憶や思考がぴたっと止まります。思考や記憶を止めるには、別の何かに意識を集中させる必要があります。ゆっくり歩き頭の中で動作をつぶやくことに集中すると、思考や記憶に回す余裕がないので止まるわけですね。

当時、うつ状態が重く頭の中の思考や記憶が止まらず困っていた時、この方法を知り実行してみると本当にぴたっと止まり驚きました。ぐったりしていてほとんど行動できなかったのに、このゆっくり歩く動作を1時間も続けていた記憶があります。

朝や昼に光を浴びることを日課する

うつ病は神経伝達物質であるセロトニンやドーパミンなどが分泌されず、少なくなってしまっているのが原因の一つ。

これらの神経伝達物質の分泌を促進するため、部屋の中で良いので朝や昼に光を浴びるようにしてください。

ちなみに、うつ病に朝散歩がおすすめされているは同様の理由です。

光を浴びると網膜にある光感受性細胞が反応し、視交叉上核(脳内の体内時計を司る部位)に信号が送られます。

信号が来ることで体内時計が整い、脳の松果体がセロトニンの分泌を促進します。

ただし、うつ病の症状が重くぐったりしているときは、無理に行わないでください。

ぐったりしているときはとにかく横になって何も考えず休む。少し元気が出て来てから朝散歩や日光浴をしてみるという形にしてください。

自身のサーカディアンリズムを把握しよう

サーカディアンリズム(概日リズム)とは、生物時計とも呼ばれ24時間周期の体内リズムです。これが、朝型・夜型と呼ばれるように、人によってかなり違います。できるだけ、その人自身のサーカディアンリズムに沿って生活した方が睡眠の質も深まりうつ病から回復しやすくなりますので、把握しておくと良いでしょう。

把握する場合は、クロノタイプ(Chronotype)を調べてください。これは簡単に言えば朝型・夜型を細かく分類したものです。

ちなみに、筆者の場合は超夜型の特性を持っており、午前3~4時に寝て昼頃に起きるのが一番体調がよくなります。これを朝型に矯正し半年ほど生活したところ、10時間以上寝ても日中眠くてだるさが強く集中が困難になるという症状が出ました。

そこで夜型生活に戻すと、日中の眠気やだるさ、集中困難の症状は消失しました。私の場合は仕事が自宅でできるもので、時間も選ぶ必要がありません。そのため、現在では超夜型のスケジュールで1日を過ごしてます。

もしあなたが、10時間寝ても日中眠くてだるく、仕事や勉強に集中できないなら適したサーカディアンリズムに合っていない生活をしているのかもしれません。できるだけ、自身が持つサーカディアンリズムに逆らわず生活しましょう。

セントジョーンズワートというサプリメントが軽度うつに効果ある

セントジョーンズワートというハーブのサプリメントが、Amazonで30日分が800円前後で販売されています。このセントジョーンズワートは、軽度のうつ病に効果があることが確かめられています。(※中度から重度のうつ病には効果が出ない)

セルフで治療する必要があるなら、こうしたサプリメントも活用していくと良いでしょう。ただし、セントジョーンズワートは他の薬の効果を弱めてしまうという困った副作用があります。もし、他の病気で薬を飲んでいるなら、必ず医師に確認してからにしてください。

漢方薬にもうつ病やトラウマに効果があるものがある

抗うつ剤は処方箋が無いと買えないので、欲しいなら精神科を受診する必要があります。ただ、その辺の薬局やAmazonなどでも買える漢方薬に、うつ病やトラウマに効果があるものがあります。

例えば上記の加味逍遙散(かみしょうようさん)は、精神的な疲労からくる抑うつ症状に効果があるので、実際に病院でも処方されています。また、イライラしていて不眠傾向があるなら柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)という漢方薬も。

さらに、トラウマで起きるフラッシュバックに効果があるとされる神田橋処方というものもあります。これは有名な精神科医である神田橋條治先生が、特定の漢方薬を組み合わせるとトラウマやフラッシュバックに効果があることを発見したことから名が付きました。

基本は、四物湯(しもつとう)と桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)の組み合わせです。ただ、これ以外にも様々な組み合わせがあります。私は精神科医の生野信弘先生が著書で紹介していた、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)と人参養栄湯(にんじんようえいとう)の組み合わせを使用していました。

漢方薬は、同じものでも体質によって効果あるかどうか変わります。なので、試す前に漢方薬について学んで、自身の体質を考慮した上で選ぶとよいでしょう。ちなみに、Youtubeには専門家による漢方薬の解説が字幕付きでたくさんありますよ。

トラウマ・複雑性PTSDを乗り越える方法

次はトラウマ・複雑性PTSDを残り超える方法です。以下に書かれていることを実践していったところ、フラッシュバックはまだありますが、起きてもスルーできるようになりました。

自律神経を整えることでトラウマの不快な症状を減らせる

トラウマや複雑性PTSDの症状は、自律神経の不調によって引き起こされます。なので、自律神経を整えるために、規則正しい生活・運動する・食事をちゃんと取る・睡眠をしっかりとるが改善する下地になります。

ここでは、寝て起きる時間や食事の時間をできるだけ同じ時間にし、1日最低でも5000歩は歩き、週に2~3日は汗をかくような運動をします。睡眠不足だとフラッシュバックの頻度が大幅に増え、精神的なダメージも受けやすい状態になるので、8~9時間は取りましょう。

私は朝起きたら歯を磨いて水分補給してから、朝食前にエアロバイクを30分漕ぎ、仕事の合間に15分のウォーキングを繰り返して1日5000~6000歩は歩くようにしてます。超夜型の生活のため睡眠はうっかりすると6時間以下の時もあるのですが、できるだけ同じ時間に寝るように努力しています。

運動によって分泌されるBDNF(脳由来神経栄養因子)という物質は、脳の神経細胞を保護し成長を促進する効果があります。なので、運動してBDNF(脳由来神経栄養因子)を増やすことで、いじめや虐待でボロボロになった脳の回復を促進することができます。

なお、うつ病やPTSDなどメンタル疾患の回復期には、過眠症のような症状が出て12~14時間寝てしまうことがよくあります。もし症状が回復していっている感覚があって、とにかく眠い時は体が回復のために睡眠を欲しているので、無理に起きようとせず寝てください。

また、こうした運動や睡眠の効果については、以下の2冊を読んでみてください。

読書療法でトラウマや複雑性PTSDについて学ぶ

次に行うことは、読書療法で知識や技術を身に付けていくことです。上の方でいじめ後遺症の正体は、複雑性PTSDや発達性トラウマだと書きました。

治したいなら、この複雑性PTSDや発達性トラウマとは何なのか深く理解し、対処法を身に付ける必要があります。そこで、値段も手ごろで分かりやすく入手しやすい4冊をピックアップしましたので、何とか入手して読んでください。ちなみに、4冊すべて専門家が書いた本です。

上記の4冊を読み、複雑性PTSDや発達性トラウマについて学び、フラッシュバックへの対処法も身に付けたら、より内容が深い以下の本もおすすめです。

以下は自身も虐待により複雑性PTSDを抱える心理療法士のピート・ウォーカーさんが、具体的な回復方法などについて書かれています。

状況によっては、文字を読むのが苦痛の場合もあるでしょう。この場合は、漫画やできるだけ優しく書かれた以下の2つがおすすめです。

注意点として最初に読む本はトラウマを専門とする人の物を選び、その他の宗教や専門家以外の人が書いた心を扱った本を読むのは後回しにしてください。まずはトラウマの専門家が書いた本で学ぶのが確実ですし、お金も無駄にしません。特に宗教の場合は、効果は無いとは言いませんが、逆にトラウマを悪化させることが多いです。これはフラッシュバックやトラウマに対する知識が欠如しており、誤った対処法を指導していることがほとんどのためです。

トラウマを解消するテクニックを使っていく

トラウマに効果があるテクニックを使用し、実際にトラウマを解消していきましょう。ただし、トラウマにテクニックを使って解消しようとすると、一気に様々なトラウマが吹き出してきて、非常につらい状態になることがあります。

ですので、行う際はこの点を留意した上で、どうしてもつらい場合はゆっくり散歩して心を落ち着かせ、しばらくしてから挑戦してください。

セルフで行えてトラウマを解消できるテクニックは以下のものです。

  1. EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法)のバタフライハグ、太ももへの交互のタッピング(両側性刺激)
  2. TFT療法(思考場療法)によるタッピング
  3. ブレインスポッティング
  4. アイ・ムーブメント
  5. 精神科医の杉山登志郎先生によるTSプロトコール

まず初めに重要な事をお伝えしますが、トラウマは誰かに話せば解消できるというものではありません。近年では、トラウマを誰かに話すような心理療法は、逆に悪化する場合が多いことが分かっています。

そこで行われるようなった現在のトラウマの治療法が、①認知に働きかける②タッピングや眼球運動によるトラウマの処理で、この2つを組み合わせて行います。

①の認知に働きかけるは、いじめや虐待によって例えば「人は誰も信用できない」とか「自分はもう何をしてもダメだ」みたいな極端になってしまっている考え方を少しずつ修正していきます。

そして、②のタッピングや眼球運動によるトラウマの処理は、トラウマ自体に働きかけてその悪影響を弱めていきます。

近年、トラウマはそのつらい経験を思い浮かべながら眼球を左右に素早く動かしたり、体の一部をタッピング(指で体の一部を軽くたたく)すると解消されることが分かっています。ただし、なぜ解消されるかはわかっていません。

この眼球運動やタッピングは実際に効果があることが確かめれているので、多くの国の病院で実際にトラウマの解消に使われています。

上で紹介した5つの療法以外にもトラウマに効果があるものはありますが、まずはこの5つを試してみてください。この5つの手法は、以下の5冊にそれぞれ詳しく書かれています。

問題が起きた時の対処法も知る必要がありますので、まずは読んで一通りの知識を頭に入れてから行ってください。

ちなみに①認知に働きかける②タッピングや眼球運動によるトラウマの処理のどちらが先かですが、まずは②の方でトラウマを軽くしてから①の認知の修正に取り組んでください。

手軽にできるトラウマ解消法「バタフライハグ」

ここでは手軽にできる方法として、EMDRからバタフライハグの技法を紹介します。これはメキシコのハリケーン被災地の子供たちをケアするため開発されました。手軽に自分ひとりでできる、トラウマの処理法です。

やり方は以下の通りです。

  • 右の手のひらを、左の肩に載せる
  • 左の手のひらを、右の肩に載せる。これで手が交差した状態になる
  • 手を交差させた状態で、嫌な出来事について考える
  • 嫌な出来事を考えながら手を交差させた状態でパタパタと肩を交互に4~6回ゆっくりと軽くたたく。これが1セット。
  • 深呼吸をして気分がよくなったらもう5セットほど続ける
  • もし逆に気分が悪くなる場合は中止しゆっくり歩くなど様々なリラックス法を試す

トラウマ持ちならポリヴェーガル理論を理解すると楽になる

私もそうですがトラウマ持ちの方は、過覚醒や回避・麻痺といった症状が出てしまいます。この症状はトラウマにより、自律神経が不調になることが原因です。

そのため、この自律神経に関わることとして、ポリヴェーガル理論を理解しておくと今何が起きていてどう対処すれば良いか分かるので安心して過ごせるようになります。

このポリヴェーガル理論とは、我々の自律神経が3つの状態を持つことを説明する理論です。

  • 安全モード(腹側迷走神経):心身がリラックスし、人とつながりやすい状態。安心感や落ち着きを感じる。
  • 闘争・逃走モード(交感神経):ストレスや危険を感じたときに活性化される。戦うか逃げるために心拍数が上がる。
  • 凍りつきモード(背側迷走神経):圧倒的な恐怖や無力感で、動けなくなる状態。身体のエネルギーが低下する。

ただし、ポリヴェーガル理論は難解ですので、学ぶなら以下の本がおすすめです。一般人に向けて、専門家が分かりやすく書いた入門書です。

フラッシュバックや過去を繰り返し考えてしまう

いじめや虐待を受けると、その後に嫌な記憶がフラッシュバックしたり辛いことを繰り返し考えてしまうといった症状が出てきます。これはあなたが弱い訳ではなく、脳がそういう風に出来ているだけです。風邪を引いて、咳が出たり熱が出たりするのと同じです。

私も長い間、この2つに悩まされました。何というかいじめっ子の怒った顔や、彼が殴ったり抓ったりするシーンが映像として自然と浮かんでくるのです。そうすると、強い恐怖や怒りを感じ、ドキドキとして心が不安定になります。

また、映像はないのですが、急に強い恐怖や怒りだけ浮かんでくることもあります。実は、こちらの映像がなく感情だけ出てくるのもフラッシュバックの一種なのです。

このフラッシュバックの対処については、まず上でも紹介した「今すぐできる心の守りかた フラッシュバック・ケア」を読んでください。フラッシュバックについて詳しく学べ、対処法も身に付けることができます。

また、マインドフルネスを身に付けるのも有効です。これは以下の本を読むとよいでしょう。

マインドフルネスはフラッシュバックの他にも、過去について考えてしまい止まらないという症状にも有効です。簡単なやり方は、①鼻から出たり入ったりする呼吸に意識を向ける②意識がそれたらまた呼吸に意識を戻すで、①と②を10分間続けるだけ。

例えばいじめのシーンが浮かんで来たら、記憶に注目せずに呼吸に意識を向ける感じですね。なお、マインドフルネスをやる場合は以下の点に注意してください。

  • トラウマがある場合は、呼吸ではなく歩く・手を動かすなど動きに集中した方がやりやすいです。(やり方は歩行瞑想や手動瞑想で調べてみてください)
  • トラウマを負ってすぐにマインドフルネスをやると解離状態が解除され、強い恐怖や不快感を感じ精神的に不安定になることがあります。そのため、ある程度トラウマについて学び解消が進んでから行ってください。
  • マインドフルネスのコツとして、行う時はどんなことでも一旦わきに置いてください。フラッシュバックで起きるつらい記憶も一旦放っておき、集中対象に注目します。
  • マインドフルネスでは、起きたことを悪いこと・良いことと分けて判断しないようにします。いじめられたシーンが浮かんできても、善悪の判断はせずただ映像が浮かんできたとしてください。

良くなると出てくる強烈な怒りへの対処法

ある程度トラウマが解消され良くなっていくと、今度は強烈な怒りが出てくることがほとんど。これはあなたがおかしくなった訳ではなく、治療が進んでいる証拠です。

この怒りの対処法は、①布団など柔らかい物を丸めてそれをたたく②TFT療法③漢方薬を試してください。布団など柔らかいものをたたくのは忌避する方もいますが、安全に怒りを発散させる方法で確かに効果があります。怒りが強いと、人や動物、大切なものなどに暴力を行ってしまい警察沙汰になる場合もあります。そうなる前に、柔らかい布団などをたたいて発散する方がよいでしょう。

Amazonや楽天で3000円台で購入できる空気式のサンドバックが販売されていますので、それを購入し部屋に置いて怒りが強くなったら打つでも大丈夫です。

TFT療法はツボをタッピングするだけですので、1回5分くらいで済みます。私も、ただツボをタッピングするだけで、びっくりするほど怒りが出なくなりました。

簡単なTFT療法のやり方については、協会がHPで公表しています。私が使用している本は上でも紹介しましたが以下の本で、協会が紹介している方法とは少し違います。

漢方薬については、怒りに効果のあるものがあり、以下を実際に飲んでみたら効果がありました。

ただ、漢方薬は体質によって効果が変わるので、私には合っていてもあなたには合わない可能性があります。もちろん逆もありますので、自身に合うかどうか調べてから飲んでください。

なお、この強烈な怒りについて知りたい場合は以下の本に詳しく書いてありましたので、そちらを読んでください。

辛い時はひたすらノートに書き続ける

辛くなったらひたすらノートにその時の感情や思ったことを書いていってください。それだけで落ち着いてきますよ。こういった書いていくことを、ジャーナリングと呼びます。

私も何度も辛くてどうしようもない時に、ジャーナリングに救われました。やり方は、私は以下の本で学んでいます。

ここでは、特に感情に注目して書いていくと良いでしょう。誰かに見せるノートではないので、とにかく思いつくままに書いてください。

文字はキレイに書く必要がなく、殴り書きでOKです。どんどん、浮かんでくるままに書き散らしましょう。

感情を発散する効果がありますので、ただ書いていくだけで怒り・不安といったものが消えていきます。

感情が落ち着くまで書いても良いですし、タイマーを用意し制限時間まで集中して書くのもOKです。

近年だとAIによるカウンセリングが無料で受けられる

最近ではChatGPTのようなAIがありますね。これらのAIにカウンセラー役になってもらうことが可能です。

使用できるAIとしては、ChatGPT、Gemini、Claudeの3つ。ChatGPTとClaudeはSNS認証が必要ですので、もしもスマホを持っていない場合はGeminiを使うと良いでしょう。

ちなみに料金は、上記3つとも無料モードで問題ないのでお金はかかりません。

これらのAIはチャット欄に何か入力すると、それに対して答えが返ってくるというものです。

カウンセラー役として使う場合は、いきなり出来事を書かずにまず「カウンセラーになってください」と入力しましょう。

これにより、AIがカウンセラーをやれば良いんだと理解し、カウンセラー役になってくれます。

いじめや虐待の経験をどう解釈するべきか?

ずっと考えてきましたが、いじめや虐待に遭いその後も長く苦しんできた絶望をどう解釈すればよいのでしょうか?

よくあるのは「いじめや虐待があったから私は強くなれた」というものです。でも、これってただの強がりですし、無かった方がもっと強くなれた可能性だって普通にあります。だから、しっくりこないしこれではないでしょう。

長年考えて思ったのは、「これは自分に降りかかった試練だと考えるしかない」のではないか。キリスト教では神からの試練だと考えますが、何も神からと考えなくてもよいのです。(私は特定の宗教を信仰していない無宗教です。)

生きていると本当に色々な試練が降りかかってきて、人によってその試練の内容は違います。これは神なんて持ち出すまでもなく、当たり前のことですよね。

ニュースを見ると、本当に悲惨な目に遭っている人がいます。まだ小学生なのに両親が暴走した車にはねられて、どちらも亡くなってしまった。災害により、家族全員が被災して一人だけ生き残った。面識もない人からの理不尽な暴力により、大きな後遺症を負い寝たきりに。

これらも、究極的には自身に降りかかった試練と考えるしかないでしょう。あれこれ考えても起きたことはなかったことできません。試練と考えると、これを乗り切るためにはどうすればよいか?少なくとも考えて進むことができます。

もちろん、こういった悲惨な出来事は無い方が良いですよ。でも、起きてしまったら、これは試練と考えて受け入れるしかありません。悲惨な出来事を試練と捉えて進んでいく。こう解釈した方が大きなメリットがありますね。

まとめ:いじめの後遺症は克服できる!時間を掛けて治そう

長々と書きましたが、読んでいただきありがとうございました。

同じ障害者で程度も同等にもかかわらず、ある人は明るく元気に困難に立ち向かっていく、ある人は引きこもり何もしないと違いがあります。

自身の経験や様々な心理療法を学んできた身からすると、このような違いが出るのは「障害を理解してくれる人が周りにいるか?」「怒られ過ぎてないか?」の2つが大きな原因です。

両親が障害を理解し、守ってくれる・肯定してくれると子供は安心して活動できるでしょう。しかし、障害は悪いことだと叱り否定して育てると、その人は安心できずいつも不安を感じ積極的に行動しない大人になります。(この点については愛着障害で調べてみてください。)

また、怒られ続け、暴力も受けていると段々感覚も麻痺し無気力になり、複雑性PTSDやうつ病など発症し、もう傷つきたくないから引きこもるでしょう。

ただ、現在は様々な情報が自宅に居ながら手に入る状況ですから、少しずつ学んで自分で何とかしていくということもできるようになっています。本当に少しずつで良いので、情報を集め実践し治していきましょう。

もし今絶望していてどうしようもないと思っているなら、問い合わせより私に相談してください。私は医療関係者ではないので治療はできませんが、同じ経験をした仲間として話を聞くことは可能ですので気軽に相談してくださいね。

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