トラウマやPTSDを何とかしたい方に向けて、ちゃんとした心理療法で「自分で出来る対処法」が書かれている本をご紹介します。
管理人も実は長年PTSDの症状に苦しめられてきまして、何とかしようと相当に調べてかなり知識があります。
今トラウマやPTSDの症状に苦しんでいるなら、ここで紹介している本を読めば自分で何とかコントロールできるようになるでしょう。
特にどうしてもセラピストの協力を得ることができないという人は、ここで紹介する本がぴったりですのでぜひ読んでみてください。
セルフでトラウマ・PTSDの克服に取り組む際の4つの注意点
専門家の助力が得られず自分でトラウマ・PTSDに取り組む際は、必ず次の4つの注意点を守ってください。こちらはとても重要な事なので、最初にお伝えします。
①取り組む前にマインドフルネスやリラックス法を身に付ける
トラウマを解消するには、「強い感情が出ても動じず、ただ受け止め感じ続ける」ことが必要です。
これが出来ないと、トラウマを逆に強めてしまいPTSDを悪化させます。傷口を自分でいじってしまい、ひどくさせるのと同じですね。
「強い感情が出ても動じず、ただ受け止め感じ続ける」には、マインドフルネスを身に付けることが一番。
簡単な本を紹介しますので、まず読んで習得しましょう。
分かりやすく読みやすい「マインドフルネス瞑想入門」
マインドフルネスを身に付けたいなら、吉田 昌生さんの「マインドフルネス瞑想入門」がおすすめです。
一般の方向けに分かりやすくマインドフルネス瞑想のやり方が書かれており、瞑想誘導の音声付きなのでそれを使えば瞑想に入りやすい。
個人的にマインドフルネスを扱った本はたくさん読んできましたが、その中でも一番分かりやすく実用的です。
マインドフルネス瞑想入門を読めば、一人でも始めることができますのでぜひ読んでみてください。
②ノートに書きながら行う
一人でトラウマやPTSDの解消を目指すなら、ノートに考えたことやその時の感情といったことを書きながら行いましょう。
特に最初の時点でどういった困った症状があるのか書いておけば、ちゃんと効果が出ているのか後で比べることが可能です。
それに書くことにもセラピー効果があり、書く瞑想と言われるジャーナリングもありますね。
頭の中でだけであれこれ考えていくと、考えがぐるぐる回ってストレスになるだけですので必ず書いて吐き出してください。
③一気に解決させようとしない
精神科医の樺沢紫苑さんの「言語化の魔力」という本で、悩みがある人ほど一気に解決しようとして失敗してしまう点が指摘されていました。
確かにその通りで早く苦しみを無くしたいと焦ってしまい、結局できなくて途方に暮れるのはよくありますよね。
残念ながらトラウマやPTSDを一気に解決できる方法はなく、もしあると言っている人がいれば詐欺です。
一歩ずつ解決していけばそのうち自身を苦しめてたトラウマ・PTSDも解消され、気にならなくなりますので焦らず行動しましょう。
④強いトラウマの時はセラピストを探す
虐待やいじめ、犯罪に巻き込まれるといった強いトラウマを複数持っている場合は、自分で何とかしようとすると悪化させてしまう可能性があります。
この場合はセラピストを探して、その人と一緒に解消を目指してください。
セラピストの探し方ですが、トラウマ・PTSDの治療に使われている心理療法で「認定を受けている人」を探すと良いでしょう。
例えばEMDRというトラウマ・PTSDに使われる療法では、日本EMDR学会に認定を受けたセラピストが一覧があり、そこから探すことが出来ます。
トラウマ・PTSDを何とかしたい方におすすめ21冊
トラウマ・PTSDについての本で、おすすめをご紹介します。
分かりやすいように、①自分で出来る対処法が書かれている本②トラウマ・PTSDに効果がある心理療法を解説する本③トラウマ・PTSDについて詳しく解説した本の3つに分けてご紹介します。
①トラウマ・PTSDを自分で何とかする方法が書かれた本
こちらは、自分で出来る対処法が書かれた本になります。トラウマ・PTSDへの対処は様々な治療法があり、その中からセルフで何とかできるものを管理人が選びました。
まずこの本を読んで欲しい「からだのためのポリヴェーガル理論」
トラウマを思い出す必要がなく安全性が高いので、トラウマ・PTSDの人にまず読んで欲しいのが「からだのためのポリヴェーガル理論」です。
PTSDになると社会交流が難しくなり、肩こりや首こり、胃腸の不調などに悩まされることがあります。それらも、この本で紹介されている簡単なストレッチをやることで症状を改善できるかもしれませんよ!
ポリヴェーガル理論とは神経生理学で語られている自律神経に関するもので、トラウマ・PTSDにも関係があります。
このポリヴェーガル理論からトラウマ・PTSDを見てみると、「自律神経系の迷走神経が過活性されているのが原因で社会活動が困難になり様々な症状が出て苦しんでいる」となります。
そこでストレッチで迷走神経を正常に戻し、症状を改善させるわけですね。
管理人もこのストレッチをやることで、PTSDによる肩こり・首こり、頭痛、胃腸の不調が改善したのでぜひやってみてください。
EMDRで自分で使えるテクニックを紹介「過去をきちんと過去にする」
トラウマ・PTSDの治療で使われているEMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)を開発したフランシーン・シャピロさんによる本。
本来EMDRはセラピストが行うものですが、この本ではトラウマ・PTSDの人がEMDRをセルフで行えるように様々なテクニックを紹介したものです。
EMDRはトラウマを考えながら眼球を左右に30秒ほど動かすことで、なぜかトラウマが気にならなくなるという療法。確かにトラウマに効果があることが確かめられており、病院でもPTSDの治療に使われています。
EMDRでは脳がどうすれば良いのか分からない未処理の記憶(=トラウマ)があり、それが悪さをして様々な症状が出てしまっていると考えます。
この本ではセルフで未処理の記憶を探し出す方法や、EMDRのテクニックで処理する方法が書かれているのでぜひ読んでみてください。
タッピングによるトラウマ処理がある「発達性トラウマ障害と複雑性PTSDの治療」
虐待された子供の治療を行っている、精神科医の杉山登志郎先生の本。前半は発達性トラウマ障害と複雑性PTSDの解説や例、少量処方などについて書かれています。
後半にはEMDRの派生型で、手動で自分に行えるタッピングによるトラウマ処理の手法が載っています。
この手法はトラウマを思い出すのではなく、トラウマが原因で身体にある違和感(もやもや・イライラなど)をターゲットとするので安全性が高い方法です。
自分で自分に施せるだけでなく、3分くらいと短時間で出来るのでおすすめ。
なお、杉山さんによる「テキストブック TSプロトコール」という別の本で、セルフケアを試みる人のためにという題で注意点などが短いですが載っています。
ブレインスポッティングが分かる「脳からトラウマを消す技術」
トラウマを簡単に何とかしたいなら、この本に載っている方法で短時間に解消できる可能性があります。
上で紹介したEMDRから派生したブレインスポッティングという心理療法を使って、トラウマを解消する方法が載っています。
ブレインスポッティングの本は少なく、他には創始者が書かれた本を翻訳されたものぐらい。こちらの本が漫画もあるので読みやすく、治療の雰囲気がよく分かるようになっています。
タイトルにもあるようにトラウマとなった出来事を思い出しながら、1点をただ見つめ続けるだけなので難しくはありません。
いじめや虐待の発達性トラウマに「トラウマ変容ワークブック」
いじめや虐待といった発達性トラウマなら、この本をまず読んでください。
発達性トラウマを扱っており、ワークブック形式でトラウマを学び回復するための方法を身に付けることができます。
著者はセンサリーモーターサイコセラピーや解離の研究で国際的に知られている、ジェニーナ・フィッシャー博士。
管理人もいじめで発達性トラウマを持っていて、この本でトラウマや対処法を学びました。
パーツセラピーという心理療法でトラウマに対処できるようになりますので、もし同様にいじめを受けて苦しい方はぜひ読んでみてください。
タッピングでトラウマに対処「 公式EFTマニュアル」
気軽に使えるトラウマへの対処法として、EFT(エモーショナル・フリーダム・テクニック)という療法もあります。
この心理療法は感情と結びついたツボがあり、そこをタッピングすることでトラウマなどが解消できるというものです。
正直に言ってタイトルからして胡散臭い感じですが、EFTは不安・抑うつ・恐怖症・PTSDに効果があるという論文も出ています。
タッピングは短時間で出来ますし本もそこまで高価ではないので、効果あるか実践してみてください。
TFT療法(思考場療法)という似たようなものがありますが、EFTはTFT療法を参考に作られたものでこちらの方がより簡単になっています。
トラウマによる依存症も扱う「トラウマとアディクションからの回復」
トラウマが原因で依存症になってしまった方は、こちらのワークブックがおすすめです。
タイトルにあるアディクションとは依存症のこと。トラウマになるとフラッシュバックなど嫌な症状が現れるため、それらから身を守ろうと何かに依存しやすくなってしまいます。
このワークブックはセルフヘルプを第一に考えられていて、自分一人で回復を目指し取り組んでいくことが可能。
同じく困っている当事者の体験談も豊富にありますので、自分だけではなかったと安心できるでしょう。
書きながらトラウマを解消できる「トラウマの認知処理療法自習帳」
トラウマ・PTSDが原因で、うつ病のような症状が出てしまっているなら認知処理療法があります。
これは認知行動療法をトラウマ・PTSDに特化したもので、PTSDによって起きてしまったうつ病に対して効果が認められています。
特徴としてはトラウマになった出来事を詳しく書き出し、出てくる考え方のパターンを見つけて修正していきます。
②トラウマ・PTSDに効果がある心理療法を解説した本
心理療法はたくさんあり、その中からトラウマ・PTSDの治療で使われているものをご紹介します。
上の対処法が書かれた本を読み、もっと知識を付けたいなら読むかそれぞれの心理療法のテクニックを学んで応用していくといった感じで活用してください。
より詳しく学べる「ブレインスポッティング入門」
上で紹介したブレインスポッティングの入門本で、創始者であるデイビット・グランド博士の翻訳本です。
専門書ではなく一般の方向けに書かれているため読みやすく、セルフで出来る方法も書かれています。
先ほど紹介した「脳からトラウマを消す技術」との違いは、こちらの方が情報量が多いのですが読みやすさはあちらですね。
脳からトラウマを消す技術を先に読み、より詳しく知りたくなったらこちらも読むと良いでしょう。
身体に注目した新しい療法「身体に閉じ込められたトラウマ」
トラウマやPTSDに効果のある新しい療法で、身体に注目した「ソマティック・エクスペリエンシング」を解説する本。
特徴は対話よりも身体感覚を重視する点になります。これはトラウマとなった出来事よりも、トラウマ・PTSDは自律神経系の機能不全である事に注目しているからです。
この本は創始者であるピーター・ラヴィーン博士によるもので、ソマティック・エクスペリエンシングについて詳細に解説。
トラウマ・PTSDに苦しんでいるなら、理論だけでなくエクササイズもありますのでぜひ読んでみてください。
セラピストも使うテキスト「EMDR 外傷記憶を処理する心理療法」
初めの方で紹介したEMDRの本を読み、より詳しく知りたい方におすすめ。
創始者であるフランシーン・シャピロさんが書かれたEMDRのテキスト本です。
セラピストの方もEMDRを学ぶなら必ず読む本で、読んでみて使えそうなテクニックがあれば導入してみてください。
テキスト本ですので情報量がとても多く、EMDRの理論から実際にセラピストとして活用の仕方まで書かれています。
なお、分厚い専門書だけあって7480円とかなり高価です。
マインドフルネスを利用した療法が学べる「トラウマと身体」
この本で扱うセンサリーモーター・サイコセラピーは、マインドフルネスを活用したトラウマの療法です。
ハコミセラピーというマインドフルネスを特徴とした療法から発展したもので、ポリヴェーガル理論や愛着理論を取り入れ身体感覚を重視するのが特徴。
創始者であるパット・オグデンさんが、理論や実践について解説してくれます。
センサリーモーター・サイコセラピーに関する本はあまりなく、もし学びたいならこの本が一番ですね。
人間関係の対処法が学べる「対人関係療法でなおす トラウマ・PTSD」
対人関係療法とはその名前の通りに、人間関係に注目するセラピーです。もし身近にトラウマ・PTSDの方がいたり、自身がそうで人間関係に困っているなら一読する価値はあります。
この本ではトラウマ・PTSDが人間関係にどのような影響を及ぼし、身近な人向けにトラウマ症状を刺激しない話し方などを解説。
人間関係はストレスの元となりやすいので、こちらを読んで対処法を学びましょう。
新しい内的家族システム療法「ソマティックIFSセラピー」
内的家族システム療法に、ソマティック要素を追加した新しいセラピー。
ソマティックとは身体のことで、内的家族システム療法は1990年代からある古い療法です。内的家族システム療法は一人の中に複数の人格があると考えて、それに対して家族療法を行います。
トラウマの他にもうつや不安症などにも効果があります。
トラウマに慣れさせて解消する「PTSDの持続エクスポージャー療法ワークブック」
持続エクスポージャー療法は認知行動療法の一種で、PTSDの治療に使われています。
簡単に言えば、安全な環境でトラウマとなっている記憶を思い出させ慣れさせて克服していきます。
ただ、思い出すことでトラウマが悪化してしまう場合もあるので、トラウマが強い場合は無理にやらないようにしてください。
日本では持続エクスポージャー療法を行える専門家が少ないため、気になるならまずこの本でどんな感じなのか調べてみてください。
タッピングでトラウマに対処「ツボ打ちTFT療法」
上で扱ったEFTと似ている、TFT療法を扱った新書です。
EFTとの違いは、こちらは症状ごとにタッピングするツボが違います。このツボについて症状別にそれぞれ書かれていますので、この本1冊でTFT療法を自分で行うことが可能。
米国保健福祉省でトラウマの治療法として登録されており、TFTを扱った本の中では入手しやすいのでぜひやってみてください。
③トラウマ・PTSDを詳しく知りたい
最後にご紹介する本は、トラウマ・PTSDについて理解したい方に向けた本です。対処法というよりは、トラウマ・PTSDを解説しどんな治療を受ければ良いのか書かれています。
この1冊でトラウマが分かる「身体はトラウマを記憶する」
トラウマについて理解しどんな治療法があるのか詳しく知りたいなら、「身体はトラウマを記憶する」がベスト。
トラウマの専門家であるヴァン・デア・コーク博士が、一般の方向けにトラウマの歴史から脳で起きていることや治療法まで解説してくれます。
688ページと分厚くかなりの情報量なので、これ1冊あればトラウマについてよく分かりますよ。
読みやすい物語形式「赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア」
もっと読みやすいトラウマについての本は無いかと探しているならこの本です。赤ずきんとオオカミという物語形式なので、かなり読みやすくなっていますよ。
トラウマで起きる症状はもちろん、回復までの道筋や災害トラウマ、支援する人が気を付けることまで記載。
分かりやすいだけでなく内容も充実していますので、トラウマで気になることがあればぜひ読んでみてください。
読みやすいトラウマ解説本「本気でトラウマを解消したいあなたへ」
こちらもトラウマについて、読みやすい本の一つです。トラウマの解説から回復のために何が必要かまで書かれています。
なお、基本的に専門家に相談してくださいというスタンスのため、セルフで出来る治療法は紹介していないので注意してください。
個人的には医療トラウマの話が興味を引き、病気を治すために来ているのにその体験が元でトラウマになってしまうことがあるのは驚きました。
多くの体験談で勇気づけられる「複雑性PTSDの理解と回復」
虐待やいじめで起きる、複雑性PTSDの解説と回復を扱った本です。
この本の特徴として、多くの方々の体験談が載っている点があります。これにより苦しんでいるのは自分だけではなかったんだと、読んでいて勇気づけられている気分になりました。
複雑性PTSDに効果がある心理療法も書かれているので、まず気になる方はご覧ください。
パーツセラピーを使った「トラウマによる解離からの回復」
上で紹介した「トラウマ変容ワークブック」の著者である、ジェニーナ・フィッシャーさんによるトラウマで起きる解離についての本です。
内容は少々難し目ですが、パーツセラピーを使ったトラウマの扱い方が書かれています。
セラピストはもちろん、トラウマを受けて苦しんでいる当事者も使うことが出来るように書かれているので活用してみてください。
トラウマ・PTSDの理解に役立つ「ポリヴェーガル理論入門」
近年ではトラウマ・PTSDで、ポリヴェーガル理論が注目されています。
そのポリヴェーガル理論を学びたいなら、理論を作ったステファン・W・ポージェス博士によるこの一冊がおすすめ。
一般向けに書かれているだけでなく、対談形式となっているのでかなり読みやすくなっています。
これを読むことでトラウマとなる体験をした時に、なぜあんな事になったのかよく分かりますよ。
かなり役立つ内容となっていますので、ぜひ一度は読んでみてください。
町草おすすめのトラウマ・PTSDの本を読む順番
最後にトラウマ・PTSDに役立つ本の中から、町草が特におすすめする読む順番をご紹介します。
①「からだのためのポリヴェーガル理論」を読み、書かれているストレッチをやってみてください。
このストレッチは管理人も毎日やっていますが、迷走神経が整ったことでPTSDの症状が落ち着きました。
②いじめや虐待といった発達性トラウマを持っているなら、ストレッチをしつつ「トラウマ変容ワークブック」も読みましょう。
書き込みができるワークブックで、いじめや虐待により脳にどのようなことが起きてどう回復していけば良いのか学べます。
③あとはセルフで出来る治療法として、ブレインスポッティングかEMDRのテクニックを使っていきましょう。
EMDRは自分で使うためにはできていませんが、「過去をきちんと過去にする」は創始者がセルフで使えるテクニックをいろいろと紹介しています。
また、杉山登志郎さんによるタッピングでの手動トラウマ処理も安全性が高くおすすめなので、ぜひやってみてください。
トラウマ・PTSDは時間はかかるが何とかなる
管理人もいじめによる複雑性PTSDのような症状を抱えており、フラッシュバックに長期的に悩まされました。
個人的にはストレッチだけでなくEMDRとブレインスポッティングも効果があり、あれほど苦しかったトラウマが気にならなくなっています。
トラウマ・PTSDは本当に苦しいですが、現在では解説書・対処法が書かれた本がたくさんあります。
時間かかりますがそういった本で克服していくことができるので、まずは呼吸法やマインドフルネスといった落ち着く方法を身に付けてゆっくり解消していきましょう!