初めまして、このブログの管理人をしている町草と申します。町草は、感音性難聴という病気で両耳が聞こえません。
今回のテーマは「筆談でコミュニケーションするコツは?」です。
町草も普段のコミュニケーションは筆談に頼っているのですが、やんわりと断られたり伝えたいことが十分に伝わらなかったりすることがあります。
しかし、ちょっとしたコツを踏まえるだけで、筆談を断られることが減り伝えたいこともしっかりと伝わるようになりました。
もし筆談でコミュニケーションを取る必要が出てきたら、以下で紹介しているコツを実践してみてくださいね!
筆談で使う道具は何がある?
筆談で使う道具は、以下の4つがあります。それぞれ一長一短あるので、状況によって使い分けましょう。
ちなみに、道具がまったくない場合は、指で書く「空書」という方法があります。
用意しやすく手軽に使える「紙とペン」
どこでも販売されているので入手しやすく、手軽に使えるのが紙とペンです。
ペンは、手が汚れやすい鉛筆・マジック類は避けた方が良いでしょう。
管理人は、主にボールペンを使っています。
紙は手帳サイズのメモ帳から、ノートなど様々。普段は、小さいメモ帳とノートの2つを持ち歩いています。
コツとしては相手に書いて渡すこともあるため、1冊は破きやすいものを準備しておきましょう。
手を汚さず壊れにくい「マグネット筆談器(磁気ボード)」
子供のおもちゃでスクリーンが網目になっていて、ペンで書いたところが黒くなる物を見たことがありませんか?
あれがマグネット筆談器です。
スクリーンの内側には、鉄粉が入っています。磁石が内蔵されたペンでスクリーンをなぞると、磁気で吸いつけられなぞった部分だけ黒く見える仕組み。
インク類を使用しないのでまず汚れないため、汚れると困る場所での使用にぴったりですね。
また、おもちゃにも使用されている事から分かるように、構造が簡単なため多少乱暴に扱っても壊れにくいメリットがあります。
意外と低価格で入手できる「電子メモパッド」
電子メモパッドはタブレットのような機器で、ペンで文字や図を書くことができます。
意外と価格が安く、わずか1000円台で購入が可能。
付属しているペンや爪などで書き、消去はボタンを押すだけと簡単です。
機種によっては一部だけ消せる消しゴム機能などが付いているので、選ぶ際はどんな機能が付いているか?をしっかり見ましょう。
手書きだけでなく音声認識もできる「スマホ・タブレット」
アプリを使うことで、スマホ・タブレットでも筆談することが出来ます。手書きはもちろん、相手の声を音声認識プログラムを使って文字にすることも可能。
「それなら、スマホ・タブレットだけで良いのでは?」と思いますが、残念ながらそうはいきません。
聴覚障害者は自分の声が聞こえないことから滑舌が非常に悪く、音声認識プログラムで読み取れないことがほとんど。
そのため、相手(健聴者)にスマホ・タブレットに向かって喋ってもらい、自分は手書きで筆談するという形が一般的です。
なお、どのアプリを使えばいいのかは、下のリンクから行ける記事にまとめていますのでぜひご覧ください。
聴覚障害のコミュニケーション困難さをサポートできるアプリまとめ
ちなみに、スマホやタブレットで使うアプリ以外にも、聴覚障害者のサポートを目的としたAIボイス筆談機「ポケトークmimi」というデバイスも販売されています。
アプリと違ってお金は掛かりますが、「もっと音声認識の精度が良いものが欲しい!」「日常的に使うからより手軽に使えるものが欲しい!」ならポケトークmimiもおすすめです。
筆談器を使ってコミュニケーションする時のコツ
「筆談をお願いしても、なぜか避けられることが多い」「ちゃんと伝えることを漏らさず書いたのに、伝わっていなかった」
このように、筆談でのコミュニケーションが上手にいかないなら以下のコツを意識しましょう。
それだけで、避けられることが減るばかりかスムーズに伝わるようになりますよ。
一番大切なことは「簡潔で具体的に書く」!
筆談は、話したことをそのまま文字にするだけと思っていませんか?
会話をただ文字にするだけだと長くて書きにくいため、筆談が敬遠される原因にもなります。
だから、「簡潔で具体的に書く」が一番の筆談のコツです!
そうは言っても、分かりにくいので具体例で説明しますね。
「明日の集まりだけど、Aさんが都合が悪いので2日後に変更になりました。また、10時予定だったけど、時間の方も1時に変更です。」
上のような場合は、以下のように書けばOKです。
集まりの予定変更
6月8日→6月10日
午前10時→午後1時
大丈夫?
下の方が簡潔で読みやすく、2日後が6月10日と具体的になっているので間違うことはまず無いでしょう。
このように会話を文字にするのではなく、伝えたいことをシンプルに書いた方が断然良いです!
管理人も経験がありますが、筆談をお願いするとやんわりと断られることがたまにあります。
伝える内容が本当に些細なことだったのもあるでしょうけど、それ以前に書くのが大変!という思いがあったから断ったのだと思います。
確かに、先ほどの具体例を見ても、一番目は文字数が多いので出来れば書きたくないですよね…。
でも、二番目のように簡潔でOKならそれほど負担もありません。
実際に筆談にあまり応じてくれない方に「簡潔で良いですよ」と伝えたところ、ほぼ筆談に応じてくれるようになった経験があります。
文字だけだと無味乾燥になるので表情や手ぶりも入れる
「簡潔でOKなのは分かったけど、それだと無味乾燥なコミュニケーションになるのでは…?」
それなら、筆談すると同時に、表情と手振りを合わせてみましょう。
例えば、「16時までに提出」と書いて、笑顔になり手でOKのサインを作るといった感じです。
単に文字だけなら少し不愛想かもしれませんが、表情と手振りを合わせることでより伝わるようになります。
全てひらがなにすると読みにくいので漢字も混ぜる
筆談をしていると、たまに全てひらがなで書く人がいます。
恐らく読めない漢字があるかもしれないので配慮しているのだと思いますが、全てひらがなにすると残念ながら読みにくくなるので逆効果です。
次の文章を読み比べればよく分かるでしょう。
・筆談では全てひらがなにすると読みにくくなるので、適度に漢字も書くようにしましょう。
・ひつだんではすべてひらがなにするとよみにくくなるので、てきどにかんじもかくようにしましょう。
どちらも同じ文章ですが、全てひらがなにした下の方は読みにくかったのではないでしょうか。
筆談でコミュニケーションするなら、読みやすく書くこともコツですので適度に漢字を混ぜるようにしましょう。
ただし、相手が読めないこともあるので、あまり難しい漢字は使わないようにしてください。
縦書きだと手で見えないので横書きで書く!
日本語は縦書き・横書きの2通りの書き方ができますが、筆談する時は横書きにしましょう。
縦書きすると書いている手が邪魔になって、相手が文字を読みにくくなるからです。
横書きなら書いたそばから文字が現れるので、相手にも読みやすくなります。
些細な点ですが、コミュニケーションを円滑にするにはこういった細かい点にも配慮するのがコツです。
筆談した内容はプライバシーに配慮しよう
筆談でコミュニケーションするなら、忘れてはいけないのがプライバシーへの配慮です。
基本的には話した内容は消去し、保存しておきたい場合は相手に一言伝えてください。
そうしないと、相手が不快に思う可能性があります。
特に紙とペンは消去が難しいので、気になるならそもそも記録されないマグネット筆談器や電子メモパッドを使用しましょう。
自分から伝えることでより良い筆談ができる
最後のコツは、今までお伝えしてきたことを自分から進んで実行していくことです。
そして、自分が実行するだけでなく相手が会話をそのまま文章にしようとしている時は、「簡潔に書いて大丈夫ですよ」と伝えましょう。
そうやって行動していけば筆談はそこまで負担なく気軽にできると知ってもらえるので、筆談を断られることも減っていきますよ。
アプリを使った筆談のコツ
続いては、スマホ・タブレットでアプリを使った筆談のコツをご紹介します。
ちなみに、聴覚障害者に役立つアプリは、以下の記事で詳しく書いています。もちろん、筆談できるアプリもあるので、見てみてくださいね。
聴覚障害のコミュニケーション困難さをサポートできるアプリまとめ
音声認識と手書き・キーボード入力を組み合わせるのがコツ
アプリを使って筆談するなら、音声認識と手書き・キーボード入力など複数の方法を組み合わせるのがコツです。
具体的には健聴者にスマホ・タブレットに向けて喋ってもらい、音声認識アプリで文字に変換。聴覚障害者は変換された文字を読み、それへの返事を手書きで書くといった感じになります。
なぜ聴覚障害者だけ手書きなのかは、管理人もそうですが耳が聞こえないと自分の声も聞こえないので滑舌が悪く音声認識を使えないことが多いからです。
ちなみに、音声認識と手書きを組み合わせるなら、以下の記事で紹介しているアプリがおすすめですよ。
聴覚障害者と音声入力で話すならSpeechCanvasアプリがおすすめです
手書きするなら2画面で行えるアプリがおすすめ
指で画面をなぞって手書きするなら、2画面で行えるアプリが使いやすくおすすめです。
通常は相手側からだと文字が反転していて見えにくいため、書き終わったらスマホ・タブレットを相手に向ける必要があります。
しかし、2画面タイプのアプリは自分の画面に文字を書くと、反対側の相手の画面に反転した状態で書いたそばから表示されるので、いちいち向ける必要がありません。
2画面タイプのアプリは、以下の記事で詳しくご紹介しています。
【スマホで筆談ができる!】文字を反転させて相手に表示できる筆談パットレビュー
空書はコツを踏まえるだけで何倍も伝わりやすくなる
指で空中に文字を書くことを、「空書(くうしょ・そらがき)」と呼びます。
筆談できる道具が何もない時は、空書でコミュニケーションすることがあります。ただ、空書は慣れてないと、文字が読み取れず伝わりにくいんですよね…。
しかし、コツを踏まえれば、何倍にも伝わりやすくなりますよ!
コツは「手のひらを顔の横に置き、その手に向かって反対側の手の人差し指で大きく一文字ずつ書く」です。
名前の通りに空中に書く方もいますが、手のひらを紙に見立てた方が断然読み取りやすくなります。
ちなみに、顔の横に置く意味は、表情が見えるためです。文字+表情で情報量が多くなるので、より伝わりやすくなりますよ!
スマホだけでなく筆談器や紙も持っておくべき?
スマホがあれば筆談できるので、筆談器や紙は必要ないと思うかもしれません。
しかし、管理人の体験から言えば、スマホを持っていても筆談器や紙があった方が絶対に良いです!
なぜなら、スマホが使いにくい時も筆談器や紙を使って、状況に合わせた幅広いコミュニケーションが取れるからです。
スマホは確かに音声認識がすごく便利なのですが、以下のような問題もあります。
- 耳が聞こえる人でも滑舌が悪い・方言などの問題で、正確に表示されない時がある
- スマホの画面が小さく手書きには不向き。少し長めの文章が書けない
- スマホ一つで健聴者→音声認識 聴覚障害者→キーボード入力をする場合、大半のアプリでモードをいちいち切り替える必要があるので手間がかかる
- スマホの入力に慣れていない方が一定数いる
スマホの他に紙・筆談器があれば健聴者の人はスマホの音声認識を使い、聴覚障害者は紙・筆談器に手書きすることで問題を解決できます。
また、滑舌が悪く音声認識が使えない+スマホの入力に慣れていないという方でも、紙・筆談器を使った筆談なら問題なく行えますよね。
このようにスマホだけを使うより、筆談器や紙も補助として使って筆談した方がよりスムーズにコミュニケーションができますよ。
ちなみに、紙も良いですが筆談器も一つは持っておくとかなり役立ちます。
筆談器は紙と違って記録が残らないので相手のプライバシーに配慮でき、余計なごみが出ないのでちょっとした事も伝えやすくなるからです。
なお、以下の記事でマグネット筆談器・電子メモパッド・ホワイトボードの筆談器で、おすすめの物をご紹介しているのでぜひ一度読んでみてくださいね。
聴覚障害者の書く日本語の文法がちょっと違うのはなぜ?
聴覚障害者と筆談していると、日本語とはちょっと違う文法で書く方がいます。これはふざけている訳ではなく、手話の文法で日本語を書いているために起きることです。
ちなみに、手話をやっていない方はまず知らないことですが、手話と日本語は文法が異なります。
こういう事情があるので、意味が通じていれば特に問題にせずにスルーしてOKです。
ただし、意味が分からない所があれば、後々トラブルになる可能性もあるのでここが分からないと伝えてくださいね!
まとめ
筆談でコミュニケーションする時のコツをまとめました。
記事中でも書きましたが、一番のコツは「簡潔で具体的に書く」です。
やはり長々と書くと負担になるので、人によっては筆談はちょっと…となりがち。しかし、簡潔に書いてもいいんだと分かることで、気軽に筆談してくれるようになります。
耳が聞こえない人は、どうしても筆談が一番多いコミュニケーションになります。
だからこそ、コツを踏まえた筆談をして、色々な人と関わって行きましょう!