記事を書いている町草は、両耳とも重度の感音性難聴です。
感音性難聴だと補聴器を付けても会話が聞き取れないことが多いので、コミュニケーションで本当に苦労しますよね。
今回の記事では感音性難聴についてコミュニケーション方法だけでなく、以下の疑問に感音性難聴の管理人が回答します。
- 感音性難聴の人は、補聴器を付ければ会話を聞き取ることができる?
- 感音性難聴って補聴器を付けても、何で会話を聞き取れないの?
- 感音性難聴になったらコミュニケーションはどうすればいいの?
- 感音性難聴になったことでつらい思いをしたことはある?
- 感音性難聴の症状が周りに理解されない時どうすればいい?
- 補聴器って付けていますか?
- 耳鳴りってどう対処しているの?
- 感音性難聴を完治させることはできる?
※数字はこの後の見出しと対応しているので、回答をすぐ見たい場合は目次から同じ数字のものをご覧ください。(例えば1なら①と付いているのが対応した回答です。)
管理人も同様の経験があるからこそ、感音性難聴のつらさはよく分かっています。
ですので、同じ病気を抱える方に向けて、できるだけ助けになるように具体的に書きました。
例えば感音性難聴だとより困難になるコミュニケーション方法について、実際に管理人が行っている方法を解説しています。
この記事を読んで、感音性難聴のコミュニケーション問題や理解されない問題などを解決しましょう!
この記事を書いている管理人はどういう人?
この記事を書ている管理人は、両耳とも感音性難聴という病気です。聴力は、両耳どちらも100dBで重度。特に高音は聞き取りが困難で、補聴器を付けても無理です。
聴力が100dBになると、重度難聴用の補聴器を付けない限りほぼ何も聞こえません。
どのくらい聞こえにくいかというと、補聴器を付けていない時に家の近くに雷が落ちてゴロゴロという音がやっとかすかに聞こえるくらいと言えば分るでしょうか。
この例えは実際に経験したことですが、実際は雷は爆音のはずなのにかすかに聞こえるだけでした。
生まれつき難聴だった訳ではなく、小学生の頃までは普通に聞こえていました。小学3年生くらいから徐々に聴力が低下していき、中学生の頃には今と同じ状態に。
医者からは感音性難聴と診断されたものの、原因は不明で現在でも分かっていません。現在は30代に入りましたが、聴力は回復することなく現在に至ります。
管理人の感音性難聴は、このような状態です。それでは、この後から感音性難聴について、色々な疑問にお答えしますね。
①~②あまり知られていませんが感音性難聴に補聴器は会話に役立ちません!
難聴にも種類がありますが、その中の感音性難聴には補聴器が会話に役立たないという奇妙な症状があります。
これについて、①感音性難聴になると補聴器を付けても会話が聞き取れなくなってしまう②なぜ補聴器を付けても聞き取れないのか?に分けて解説します。
①感音性難聴になると補聴器を付けても会話がほとんど聞き取れない!
感音性難聴と診断されて補聴器を付けましたが、なぜか相手が何と言っているのか聞き取れません。
管理人も同様ですよ!補聴器は持っていますが、付けても相手が何と言っているのかほとんど分からないので会話には役立ちません。
感音性難聴になって一番困ることが、補聴器を付けても会話を聞き取ることが難しくなる点でしょう。
管理人も補聴器を付けても、ほぼ会話が聞き取れないため本当に苦労してきました。
補聴器を付ければ、相手の声らしき音は確かに聞こえてきます。でも、「何と言っているのか?」これが本当に分からない。
たまに相手が何と言っているのか分かる時はありますが、「はい」「いいえ」のような短い言葉や口の動きから推測した結果です。
そもそも、補聴器を付けても会話が聞き取れないのは感音性難聴の症状になります。
ですから、感音性難聴と診断された人が、「補聴器を付けても会話が聞き取れない!」となっても別におかしいことではありません。
②補聴器を付けても会話が聞き取れなくなるのは「蝸牛」が損傷しているから
なぜ感音性難聴だと、補聴器を付けても会話が聞き取れなくなるのですか?
感音性難聴は、耳の奥にある電気信号に変換する蝸牛という部分が損傷しているからです。蝸牛がダメになると補聴器で音を増幅させても、電気信号に変換さず脳に伝わらないので会話が聞き取れなくなります。
ずっとなぜ聞き取れなくなったのか不思議だったのですが、感音性難聴について調べたおかげで今では原因を理解することができました。
この不思議な症状が出るのは、感音性難聴だと耳の奥にある「蝸牛」という器官が、損傷してしまっているからです。
音というのは、空気の振動ですよね。でも振動のままでは、脳には伝わりません。
じゃあなぜ聞こえるのかというと、途中で蝸牛という器官が振動を電気信号に変えて聴神経に流してくれるからです。
補聴器は、簡単に言えば周囲の音を増幅させて(空気の振動をより大きくさせて)くれる機械。
でもいくら音を大きくしても、感音性難聴だと蝸牛が上手に電気信号に変換できないので脳にしっかり伝わらなくなります。
そのため、感音性難聴には、相手が何と言っているのか聞き取れなくなる症状でます。
③感音性難聴ならコミュニケーションは音声入力を使うのがベスト!
補聴器を付けても会話が聞き取れないなら、他人とどうやってコミュニケーションを取ればいいのでしょうか?
色々と試したのですが、一番はやはり音声入力を使用して音ではなく目で見える形でコミュニケーションを取るのが一番です。
健聴者とコミュニケーションするコツは、「出来るだけ相手に負担のないようにすること」です。
感音性難聴になると聞こえないのでどうしても筆談になりがちですが、やはり手でいちいち書くのは大変なので避けられます。
じゃあどうすれば良いのかと言うと、相手が喋ったことを音声入力して画面に表示してくれるアプリや機械を使いましょう。
これなら、相手は普通に喋るだけでOKですので、コミュニケーションも協力してもらいやすくなりますよ。
音声入力は昔試していまいちだったという方も、現在では本当に高性能になっていて精度が上がっていますのでぜひもう一度試してみてください。
この音声認識を使うには、以下の2パターンがあります。
①無料で使えるUDトークやこえとらアプリをスマホにインストールする
②専用のデバイスであるポケトークmimiやタブレットmimiを購入する
①について解説すると、まずお持ちのスマホやタブレットでもOKですので以下のアプリをインストールしてください。
この2つは聴覚障害者のサポートを目的として作られており、国から助成金が出ていることもあり無料で使うことが出来ます。
上の画像は、UDトークで実際に音声認識で喋ったことを表示しているところ。
開始ボタンを一度押せば、あとは周囲の音を分析してどんどん文字に変換してくれます。
ちなみに、こうした聴覚障害者をサポートするアプリについては、下のリンクで開ける別記事に詳しくまとめてあります。
当ブログ記事「聴覚障害のコミュニケーション困難さをサポートできるアプリまとめ」を開く
次に②のポケトークmimiやタブレットmimiについて解説します。
こちらは、ソースネクスト社が販売している、聴覚障害者向けの専用デバイスです。
先ほどのアプリと同様に、周囲の音を分析して文字として画面に表示することができます。
こんな感じですね。
ちなみにソースネクスト社は元々、ポケトークという翻訳機を販売していてポケトークmimi・タブレットmimiはその技術を応用したものです。
翻訳機はまずは相手が喋ったことを読み取る必要があるので、技術的には高い精度の音声認識が必要になります。
なお、ポケトークmimiとタブレットmimiは周囲の音声を文字にするだけで、翻訳は出来ませんのでご注意ください。
「アプリが無料で使えるのに、わざわざ専用機を購入する必要があるか?」と思われるかもしれません。
管理人が両方とも使用してみた感想として、専用機の方が優れている点は以下の通りでした。
- アプリはスマホ起動→アプリタップと手間が掛かるが、専用機はスイッチを押すだけと素早く使える
- スマホだと、インストールした他のアプリやメールやLINEの着信があれば見られてしまう可能性あり。でも、専用機を使えばそういった個人情報が漏れる心配がない。
- 専用機はネットを見るなど余計なことが出来ないので、学校や会社など色々なところで使用許可を得やすい
- スマホだとサボっていると勘違いされる可能性があるが、専用機ならそういった心配はなくもしあっても説明すればすぐ理解してもらえる
- アプリと専用機の音声認識の精度を比較してみたところ、精度の高さは以下の順番になったポケトークmimi→UDトーク→タブレットmimi→こえとら
このような感じで専用機の方が個人情報を見られる心配がなく手早く使えるため、コミュニケーションで頻繁に使うならポケトークmimiやタブレットmimiを持っておいた方が良いでしょう。
より詳しくポケトークmimiについて知りたい方は、下のバナーから公式サイトに移動できるのでそちらをご覧ください。
ポケトークmimiやタブレットmimiについては、当ブログの別記事に詳しく書かれています。下にそれぞれの記事のリンクを置いておきますので、ぜひご覧ください。
当ブログ記事「ポケトークmimiを聴覚障害者が実際に使ってレビュー!【 雑談が楽しくなりました】」を開く
当ブログ記事「【レビュー記事】タブレットmimiを使えば聴覚障害者でも安心して会議に出れる!」を開く
当ブログ記事「【比較レビュー】ポケトークmimiやタブレットmimiと音声入力アプリはどちらがいい?」を開く
④感音性難聴を理解されずにバカ呼ばわりされたのがつらかった
感音性難聴になってから、つらい思いをしたことはありますか?
感音性難聴になったのが小学生→中学生の頃だったのですが、周囲に本当に理解してもらえなくて非常につらい思いをしました。
上でも書きましたが、小学生3年生辺りから徐々に聴力が下がり始め中学生の時に今と同じ状態になりました。
この時に感音性難聴なので補聴器を付けても会話が聞き取れない症状が出ていたのですが、周りにまったく理解されず非常につらい思いをしたことを覚えています。
両親からはバカと呼ばれ、「頭がおかしい」と言われたことも……。学校では同級生の一人に、すぐにキレて暴力を振るう子がいていじめで何度も殴られました。
先生の声も聞き取れませんから、正直に言えば授業でも付いていけていませんでした。また、暴力を何度も受けたストレスから、頭が働かなくなりミスもどんどん増えて……。
成績も悪いし先生から言われたこともできない(実際には聞こえてないから)ので、両親からは「こいつはバカだ」と何度も言われました。
今考えてみれば、何でここまでひどい状況になったのかは感音性難聴の症状が周囲の人にまったく理解されなかったからです。
一般的な人は、「難聴=補聴器を付ければ何も問題がない」と考えます。しかし、感音性難聴は補聴器を付けても、蝸牛の損傷が原因で会話が聞き取れません。
そうすると、皆こいつは知能に問題があるのでは?ふざけているのでは?と考えるようで睨んできたり怒り出したりと散々でした。
だからと言って会話が聞き取れないことを言うと、「補聴器付けているだろ!」と怒られる……。何言っても聞いてもらえなかったので、段々と言わなくなり当時はずっと耐えるばかりでした。
⑤感音性難聴を伝えるコツは「医者の権威を借りる」こと
感音性難聴の症状を伝えても、周囲の人に理解されません。どうにか理解してもらうコツは、ありませんか?
伝えても理解されないのは、あなたや私が医療従事者といった専門家ではないからです。一番良いのは医者が感音性難聴の症状について書いたサイトを、スマホか印刷して見せると良いでしょう。
上でも書きましたが、感音性難聴の症状は本当に理解されません。ですから、聞こえないのではなく知能に問題があるなど勘違いされることもしばしばあります。
なぜ伝えても理解されないのかは、「私やあなたが医療従事者といった専門家」ではないからです。
ほとんどの人は相手が語る内容よりも、誰が語っているのかを重視します。
ただでさえ勘違いで知能に問題があると思われている人が説明しても、残念ながら理解されるどころか聞いてさえくれないときがほとんどでしょう。
それに、感音性難聴の症状を説明するには、蝸牛といった医学的な事も説明しなければいけません。この辺りも何やら難しいことだと思われて、拒否反応がでてしまうのも理解されないことの一因ですね。
さて、先ほどほとんどの人は、内容ではなく誰が語るかを重視すると言いました。これが理解してもらうコツでして、なら医者という権威がある人から語ってもらえばOKです。
といっても医者を連れまわす訳にはいかないので、医者が書いた文章を見せましょう。
完全には理解されないかもしれませんが、医者が書いたのだからとある程度の理解は得られるはずです。
ちなみに、見せる文章は医者が一般の方に向けて分かりやすく書いたものにしてください。
医者が同業者に向けて書いた難解な文章だと、あなたは普通に読めて理解できるとしても見せた相手が理解できないので伝わりません。
⑥一時期は外してましたが最近は安全のために外出時に付けています
感音性難聴でも、補聴器は付けていますか?
一時期はまったく使用していませんでしたが、近年は安全のため外出時は付けるようにしています。
学生時代は補聴器を毎日付けていたのですが、社会人になってからはまったく使用していませんでした。
故障していたとかではなく、付けていることで勘違いされることが怖かったからです。
と言うのも、補聴器があると「補聴器があるのだから問題なく聞こえるはず」と思われます。でも、感音性難聴が原因で会話は聞き取れませんし、説明しても理解されないケースがほとんど。
だから、当時は「補聴器を付けてもまったく聞こえないんですよ」としてしました。あの時はコミュニケーション方法が筆談だったのですが、まったく聞こえないとした方がスムーズに筆談に入りやすいというメリットもありました。
それから、今思えば学生時代にまったく理解されず「補聴器付けているだろ!」と言われていじめられた経験のトラウマもあったと思います。
現在ではコミュニケーション方法が変わったことでトラウマも払拭でき、外出時は補聴器を付けるようになりました。
外出時はポケトークmimiという、音声を文字にして出力してくれるデバイスを使用。スマホに音声入力アプリを入れたものでもOKですが、ポケトークmimiは電源を入れるだけですぐ使用できる使い勝手の良さが気に入っています。
それにスマホは個人情報が入っていますが、ポケトークmimiなら入っていないので気になりません。
こういったサポートしてくれる機械やアプリでコミュニケーションできるようになり、自信が付きました。
なお、補聴器は確かに、感音性難聴だと会話ではあまり役立ちません。
しかし、補聴器を付けることで周囲の音が聞こえるようになるため、安全性という意味ではかなり役立ちます。
正直に言えば私の場合は聴力がほとんどないので、例えば自分の後ろで車が建物に突っ込んだという事故があっても気づかないかもしれません。
外出時は安全のためにも、やはり補聴器があった方が良いですね。
なお、補聴器を外していたことについては、当ブログの別記事に詳細を書いています。
⑦耳鳴りはマインドフルネスを覚えてから気にならなくなった
耳鳴りがひどくてイライラします。何とかする方法はないですか?
管理人も、ずっと耳鳴りがしています。残念ながら、耳鳴りを止める方法ありません。できるのはマインドフルネスを身に付けて、気にならなくすることです。
感音性難聴だけではありませんが、難聴になると耳鳴りがひどくなりますよね。管理人もゴウンゴウンという謎の耳鳴りが、起きている間はずっと鳴っています。
また、寝ようとしたらいきなりゴーというものすごい爆音の耳鳴りが出て、それで目が覚めてしまい眠れなくなったことも。
何とかならないかと色々と調べたのですが、残念ながら現代医学でも耳鳴りを無くすることはできません。
①マインドフルネスを身に付けて気にならなくする②規則正しい生活をしてストレスを減らすの2つで、耳鳴りを気にならなくしたり頻度を減らしたりすることが現実的です。
マインドフルネスとは、今ここに100%集中すること。このマインドフルネスは簡単にできるので、ここで紹介しますね。
いつもは無意識に行っている呼吸を、意識的にしてみましょう。空気が鼻の中に入っていく感覚を、しっかりと感じ取ってください。
そうしていくうちに、耳鳴りだとか何か考える、周囲の物が気になるなどで意識が別の何かに向いてしまいます。
意識が別の何かに向いたら、何も考えずに呼吸に戻しましょう。繰り返していくうちに意識が逸れたことにすぐ気づくようになり、何も考えずに意識を戻せるようになります。
実は耳鳴りでイライラしてしまうのは、耳鳴りに意識が向いた瞬間に「この耳障りな耳鳴りを無くしてしまいたい!」というような思考があるからです。
だから、マインドフルネスを練習して「ただ耳鳴りという現象が起きている」「後は何も考えずに意識を呼吸に戻す」とできるようになれば気にならなくなります。
あと上で書いたような寝ようとしたときに急に爆音で耳鳴りがするといった現象は、経験上ストレスが掛かっている時によく起きます。
ですから、食事をしっかり取って運動もして睡眠もちゃんと取ると、規則正しい生活をしてストレスを減らせば爆音で耳鳴りがする現象はほとんど起きなくなります。
⑧人工内耳と再生医療
この感音性難聴を、どうにか治したいと考えるのは当然でしょう。しかし、管理人もさんざん調べたのですが、残念ながら現代医学では完治させることはできません。
感音性難聴を治すには、耳の奥にある蝸牛を再生させなければいけません。しかし、蝸牛を再生するということは、事故などで切断された腕をまた生やすようなものですのでかなり難しいです。
なお、誰でもOKな訳でありませんが、人工内耳という機器を手術で埋め込むことで感音性難聴でも会話を聞き取れる可能性があります。
また、現在ではまだ実用に達していませんが、将来は再生医療が発達すれば感音性難聴も回復できる病気になるかもしれません。
⑧人工内耳を使えば人によっては会話できるまで回復する可能性もある
感音性難聴だと補聴器が会話にあまり役立ちませんが、他にも音をサポートしてくれる機械はありませんか?
補聴器が使えない場合は、人工内耳という機械があります。これは、インプラントという電極を手術で蝸牛に埋め込み、電極から電気信号を出して聴神経に伝えるので感音性難聴の人も使うことができます。
感音性難聴のような補聴器だと会話が聞き取れないケースでは、人工内耳を使うという選択肢もあります。ちなみに国内では、5000人以上も人工内耳を装着している人がいるそうです。
人工内耳は蝸牛に埋め込むインプラントという電極と、体外に装着するサウンドプロセッサからなる装置。
周囲の音をサウンドプロセッサが拾って電波を飛ばし、インプラントが電流を流して聴神経を刺激することで音を伝えます。つまり、蝸牛の代わりになる訳ですね。
インプラントを埋め込む必要があるため手術が必要で、手術時間は全身麻酔で3時間ほど掛かります。
手術後に完全に聞こえる訳ではなく、外来で音質や音の大きさを調整するなどしばらくリハビリが必要。
Youtubeで見た医師が患者から聞いた話として、「初めは電子音でしか分からないが、会話を続けていくとこれまで聞こえていたような音に近づいてくる」となるそうです。
人工内耳の聞こえは個人差がかなり大きく、人によっては電話や多人数の人と会話できるようになるケースもあれば無理だったケースもあります。
これは、その人の聞こえの程度や失聴時期の長さなどが原因ですね。実際にある蝸牛と比べると、人工内耳は脳に送れる情報量が少ないのでさすがに元のようにはなりません。
また、脳に音を伝えられるようになっても、失聴期間が長過ぎて脳が対応できなくなっているケースもあるでしょう。
こういった事情があるので、もし人工内耳を考えている方は後悔しないためにも人工内耳に詳しい医者としっかり話し合ってから決めてください。
⑧将来は再生医療で回復できる可能性がある
将来的に感音性難聴が治療できるようになる可能性はありますか?
まだまだ実用段階にはなっていませんが、再生医療が発達すれば感音性難聴も治る病気になるかもしれません。
こちらはまだ実用にはなっていないものの、将来的に感音性難聴の治療ができるようになる可能性を秘めた研究をご紹介します。
その研究とは、「再生医療」と呼ばれる分野です。再生医療は、病気やけがなどで失われた体の部位を再生することを目的とした医療。
ノーベル医学生理学賞を受賞した、山中伸弥さんのiPS細胞により再生医療が飛躍的に進んでいます。
これは、iPS細胞を分化誘導して作った様々な細胞を移植することで、失った部位を再生できる可能性があるからです。
感音性難聴の原因の一つである蝸牛をより詳しく見てみると、蝸牛にはコルチ器と呼ばれる器官あり、そこには有毛細胞という感覚細胞があります。
音の振動が伝わってくると、この有毛細胞が興奮して電気信号に変換される仕組み。
感音性難聴の人の蝸牛は、この有毛細胞が損傷してしまっています。この有毛細胞は一度損傷すると自動的に再生されないので、現代医学では感音性難聴を治すことはできません。
ところが、再生医療でもし有毛細胞を再生して移植できたら、感音性難聴を治せる可能性が出て来ます!
実際に人間ではなくマウスですが、慶応義塾大学医学部がマウスの蝸牛の有毛細胞を再生させて聴力の改善に成功しています。
まだまだ時間は掛かりそうですが、将来もっと研究が進んで感音性難聴も治る病気になると良いですね。
まとめ
この記事を読むことで、以下の内容が分かりました。
- 感音性難聴は補聴器を付けても、症状が原因で会話が聞き取りにくい
- 補聴器を付けても会話を聞き取りにくいのは蝸牛という器官が損傷しているから
- 感音性難聴のコミュニケーション方法は音声入力アプリやデバイスを使うのがベスト
- 感音性難聴の症状は、周囲に理解されにくい。その原因はどうしても説明が医学的になる上に、我々は医療従事者ではないから聞いてもらえないため
- 感音性難聴を説明するときは、医者が書いた記事を見せると良い
- 感音性難聴だと補聴器は会話に役立たないが、周囲の音が聞こえるので外での安全確保に役立つ
- 耳鳴りは無くすことはできないので、マインドフルネスで気にならなくすると良い
- 現在の医療では感音性難聴を完治させることはできないが、人によっては人工内耳という選択肢がある
- 再生医療が発展することで、将来的には感音性難聴も治る病気になるかもしれない
特にもしあなたが感音性難聴になってしまいコミュニケーションで困っているなら、音声入力アプリやデバイスを活用してみてください。
どちらでも好みの方で良いので、使うことでコミュニケーションが本当に良い方向に変わりますよ!
私もそうでしたが、コミュニケーションができるようになると段々と自信がついてきます。そうすれば不安が解消されることで仕事などにも集中できるようになり、どんどん日常生活が良くなってくるでしょう。
このように現在では何とかする手段がありますので、感音性難聴を抱えていても悲観的にならないでくださいね!