聴覚障害者だと、音声を文字にしてくれるアプリやデバイスは必需品ですね。管理人も両耳とも聞こえないので、コミュニケーションのため手放せない物になっています。
去年ソースネクスト社からポケトークmimiやタブレットmimiという、AIボイス筆談機が販売されました。でも、こう思う方もいると思います。「無料で使える音声入力アプリでも十分なんじゃないの?」と。
確かに音声入力アプリも、無料で良いのか困惑するほど高性能なものが出てますね。そこで今回は、AIボイス筆談機と音声入力アプリを比較してみました。
ちなみに、先に比較した結論を言ってしまうと、「変換の精度が高く使いやすいAIボイス筆談器をメインに、音声入力ができない時や電波状況が悪い時用に予備としてアプリも使う」のがおすすめです。
なぜそうなるのかは、この先で書いていますのでぜひ読んでくださいね!
※重要なお知らせ
記事中で紹介しているポケトークmimiとタブレットmimiですが、2022年8月31日で販売終了となりました。
ただし、音声変換サービスとサポートは2025年8月31日まで続きますので、使用中の方はご安心ください。
現時点で、後継機が出るのかは不明です。
今後のコミュニケーション方法は、スマホアプリの「UDトークの有料版」をおすすめします。
ポケトークmimiと違って開始ボタンを押す必要はありますが、一度押せばどんどん周囲の音声を文字に変換してくれるので実用的。
本文中にもあるように変換の精度が微妙な点が心配ですが、無料版ではなく有料版ならもう少し精度も上がるはずですのでそちらを使えば大丈夫だと思います。
AIボイス筆談機と音声入力アプリを比較してみる
今回はAI筆談器である、AIボイス筆談機「ポケトークmimi」と
AIボイス筆談機「タブレットmimi」の2つに、音声入力アプリはこえとらとUDトークを採用しました。
ちなみに、なぜたくさんあるアプリからこえとらとUDトークを選んだのかは、教育機関などでの使用実績が多数あり多くの人が使っているだろうと推測したからです。
音声→文字の変換精度は「ポケトークmimi」が一番高い
タブレットmimi・ポケトークmimi・アプリを入れたiPadを並べて喋って、ちゃんと正確に変換されるか確認しました。なお、アプリを2つ同時に起動はできないので、入れ替えながら行います。
なお、管理人は聴覚障害者ですが、小学生の頃までは聞こえていたので喋ることはできます。ただ、自分の声が聞こえないので、滑舌は悪い方です。
①こえとら+ポケトークmimi+タブレットmimiで音声入力の正確さを検証
まずは、「こえとら」から始めます。「初めましてよろしくお願いします」と喋ってみます。
●1回目「初めましてよろしくお願いします」と話す
- こえとら→「初めましてよろしくお願いします」
- ポケトークmimi→「初めましてよろしくお願いします」
- タブレットmimi→「初めましてよろしくお願いします」
画像では見えにくいですが、3つともちゃんと変換されました。
続いて、「今日の夕食は何が食べたいですか?」と喋ります。
●2回目「今日の夕食は何が食べたいですか?」と話す
- こえとら→「今日の夕食は何が食べたいです」
- ポケトークmimi→「今日の夕食は何が食べたいですか?」
- タブレットmimi→「今日の夕食は何が食べたいですか?」
ポケトークmimiとタブレットmimiは、正しく表示されています。こえとらは、最初は正確に変換できていると思ったのですが最後の「か」が抜けていますね。
ちなみに、タブレットmimiだけ2回表示されているのは、こえとらの開始ボタンを押し忘れてもう一度行ったからです。
次は「今日は寒いですね」と話してみます。
●3回目「今日は寒いですね」と話す
- こえとら→「今日は寒いです」
- ポケトークmimi→「今日は寒いですね」
- タブレットmimi→「今日は3時過ぎ」
ポケトークmimiは、細かいミスもなく正確に表示しています。こえとらも先ほどと同じで最後が抜けていますが概ね合っています。タブレットmimiは、なぜか「今日は3時過ぎ」と全然違いますね。
続いて、UDトークです。
②UDトーク+ポケトークmimi+タブレットmimiで音声入力の正確さを検証
「初めましてよろしくお願いします」「おはようございます」「こんばんは」「今日は何日ですか?」と喋ってみました。
1回目「初めましてよろしくお願いします」と話す
- UDトーク→「林に回して、牛久も2名にします」
- ポケトークmimi→「初めましてよろしくお願いします」
- タブレットmimi→「初めましてよろしくお願いします」
2回目「おはようございます」と話す
- UDトーク→「おはようございます」
- ポケトークmimi→「おはようございます」
- タブレットmimi→「おはようございます」
3回目「こんばんは」と話す
- UDトーク→「こんばんは」
- ポケトークmimi→「こんばんは」
- タブレットmimi→「こんばんは」
4回目「今日は何日ですか?」と話す
- UDトーク→「区は何日月か」
- ポケトークmimi→「今日は何日ですか?」
- タブレットmimi→「今日は何日ですか?」
UDトークの文字が小さく写真だと潰れてしまい見えなかったので、スクリーンショットを貼り付けています。ちなみに、同時に行ったポケトークmimiとタブレットmimiは、どの言葉も正確に表示されました。
「初めましてよろしくお願いします→林に回して、牛久も2名にします」と意味不明な文に変換されてますね……。UDトークはもう一度喋ったところまた意味不明な文章になってしまい、3回目でやっと正確に表示されました。
他の意味不明な文章になっているところも、同時に起動していたポケトークmimiとタブレットmimiは正確に表示できたのですがなんでだろう……。
音声を文字に変換する精度を見てみると、一番精度が良いのは「ポケトークmimi」です。続いて、こえとらとタブレットmimi、最後にUDトークとなります。
この結果から、精度を重視して選ぶなら「ポケトークmimi」がおすすめですね。
変換するスピードは「こえとら」が一番遅い
次に、音声から文字に変換するスピードを比較してみます。
音声入力の文字が表示されるまでのスピードの検証
- こえとら→表示まで3~4秒ほど。たまに5秒以上
- UDトーク→表示まで1~2秒ほど
- ポケトークmimi→表示まで1~2秒ほど
- タブレットmimi→表示まで1~2秒ほど
タブレットmimi・ポケトークmimi・UDトークは、だいたい1~2秒と高速で表示してくれます。これだけ素早いと待つ必要がないので、普通に話しているのと近い感じでコミュニケーションが取れますよ。
「こえとら」だけは3~4秒ほどで、たまに5秒以上かかることがあります。そのため、待ち時間が発生して、会話のテンポが少々崩れました。ただ、時間は掛かりますが、上でも書いたように変換の精度はなかなか良いです。
「タブレットmimiとUDトーク」は履歴が表示される
タブレットmimiとUDトークは、何かボタンを押さなくても喋った言葉が画面に残ります。これが、さっき何喋ったか確認しながら話せるので役立ちました。
こえとらでも右下にある「履歴を見る」ボタンで、履歴を見ることはできます。ただ、いちいち押さないといけないので、確認しながら話すのは無理です。
ポケトークmimiについては履歴を見る機能は無く、代わりによく使う言葉をお気に入りとして登録してすぐ出せる機能があります。
「こえとら」だけネットに繋がっていなくても使える
タブレットmimi・ポケトークmimi・UDトークは、インターネットに繋がっていないと利用することができません。これは、何と言っているのか分析する音声認識エンジンが使用できないからです。
ところが、「こえとら」だけはアプリに内蔵された音声認識エンジンに切り替わるようで、インターネットに繋がらない所でも使用することができます。
場所によっては電波状況が悪く使用できないことがあるため、ネットに繋がらなくてもOKは助かりますね。
ただし、こえとらをインターネットに繋がっていない状態で使用してみたところ、内臓された音声認識エンジンは精度があまり高くなかったので、緊急時のみの使用と考えた方が良さそうです。
日常的に使うとAIボイス筆談器の手軽さが本当に便利
それぞれを、日頃のコミュニケーションで利用してみて使い心地を比較してみました。
最初はいつも持っているスマホで使えるしアプリでいいかと思っていましたが、使ってみるとポケトークmimiのような専用機の良さが気に入り手放せなくなりました。
アプリはスマホの電源を入れてアプリを起動、設定してから開始ボタンを押す……と手順が少々長いのでもたつきがあります。
AIボイス筆談機の方は専用機だけあって、さっと使えるのが本当に便利でした。タブレットmimiなら机の上に置いておいて、誰か来たら電源ボタンを押すだけ。後は喋れば、文字として勝手に出力してくれます。
ポケトークmimiも電源を押したら、喋る時だけ下の丸いボタンを押すだけ。やっぱり手軽に使えるという点は、コミュニケーションする上で大切ですね!
また、使用していて思ったのですが、スマホやタブレットだと個人情報が入っている点が気になりました。場合によっては、これに向けて喋ってねとまったく知らない人に短時間とはいえ預けることになるので。人によっては、渡したらそのまま余計な操作をする可能性もありますからね…。
しかし、専用機なら音声→文字に変換しかできないので、個人情報が漏れる心配がなく安心です。
「こえとら」が多機能で他を圧倒!AIボイス筆談機はブラウザ機能が良い
音声から文字に変換する、音声入力以外を比較してみます。
- こえとら→音声入力・定型文の表示・仮想キーボードでチャット・指で文字を書く・地図を表示・使い方のガイド表示・読み上げ
- UDトーク→音声入力・指で文字を書く・外国語の翻訳・読み上げ
- ポケトークmimi→音声入力・ブラウザ機能
- タブレットmimi→音声入力・ブラウザ機能
こうして表にして比べてみると、「こえとら」が搭載された機能が多く他を圧倒していますね。こえとらは音声入力アプリというよりも、聴覚障害者のコミュニケーションサポートアプリ。
ですので、音声入力だけでなく、仮想キーボードを使い文字でチャット・指文字で書く・地図を表示など色々できる事が本当に多いです。
ポケトークmiiとタブレットmimiはAIボイス筆談機ですので、基本的には音声を文字に変換して画面に表示するしかできません。ところが、アップデートにより、ブラウザ表示という機能が追加されました。
このブラウザ表示は、画面に出ている文字をスマホやPCから開いたブラウザにも表示する機能。それだけ?と思うかもしれませんが、これが聴覚障害者にとってはとても便利な機能です。
このブラウザ表示により会議や朝礼などで喋る人が離れた位置にいても、喋っている人の前にポケトークmimiやタブレットmimiを置くだけでOKに。あとはスマホやノートPCで開いたブラウザに、喋ったことがどんどん表示されていきます。
これなら、耳が聞こえなくてもポケトークmimi・タブレットmimi+スマホの合わせ技で会議や朝礼に参加できるようになりますよ!
【まとめ】ポケトークmimiやタブレットmimiにこえとらを併用がベスト
AI筆談器であるポケトークmimiやタブレットmimiと、音声入力アプリのこえとらやUDトークを比較してみました。文字に変換する精度はどれも普段から利用できるレベルですが、試してみたところその中でもポケトークmimiが一番高いという結果になりました。
もう一つの「タブレットmimi」も同じ音声認識エンジンを使用しているだろう推測していたので、同様になると思ったのですが意外と差がありますね。
比較した結論としては、どれか一つだけ使うのではなく「ポケトークmimiやタブレットmimiといった専用機をメインとして使い、予備のこえとらをスマホにインストールしておく」がベストだと思います。
スマホと違って個人情報が漏れる心配もなく、何より起動までが素早いのでコミュニケーションが気軽に行えます。だからこそ、普段はポケトークmimiやタブレットmimiを使い、電波状況が悪かったりうまく音声入力できない時はこえとらを併用するのが良いですね。
昔は考えられませんでしたが、耳が聞こえなくてもご紹介したようなデバイスやアプリを使用することで気軽にコミュニケーションできる時代が来ています。
もしこれを読んでいる人が私と同様の悩みを抱えているなら、ぜひ試してみてくださいね。今まで不安で苦しかったコミュニケーションが、楽しくて仕方なくなりますよ!
AIボイス筆談器が欲しい!という方はこちらから
AIボイス筆談器が欲しいけど、どこで売っているの?と疑問に思った方は、下のリンクから行けるソースネクスト公式ショップへ飛んでみてください。そこで販売されていますよ!
なお、Amazonや楽天などでも出品されているので、そちらでも購入することができます。
公式ショップとAmazonや楽天どちらで購入すればいいの?と悩むかもしれませんが、個人的には購入ではなくレンタルもできる公式ショップがおすすめです。
なお、楽天ポイントなど目当てで公式ショップ以外で購入する場合は、出品がソースネクストになっているかチェックした方が良いでしょう。
こちらでも調査してみたところ、ソースネクスト以外の関係ない企業が出品している例がありました。高価な機器ですし何かあるといけないので、公式メーカーより購入してください。
AIボイス筆談機の記事は他にもあります
もしタブレットmimiやポケトークmimiといったAIボイス筆談機に興味があるなら、ぜひ以下の記事もご覧ください。


