初めに、管理人のことについてお伝えいたします。
私は、両耳に「感音性難聴」という病気を抱えている聴覚障害者です。聴力は、両耳とも100dBで重度に分類されます。
そんな管理人ですが、今まで補聴器を使用している時期もあれば外してまったく使わない時期もありました。
近年では、また付けるようになりましたが。そう言うと、聴覚障害者なら必須の補聴器をなぜ使わなかったの?と言われます。
その理由を、これからお伝えしますね。
感音性難聴だと補聴器だけでは生活が難しくなる
難聴になったら、補聴器を付ければ聞こえるようになる。一般的には、そう思われています。
もちろん、間違えではなく補聴器は音を増幅してくれるので聞こえるようにはなります。
ところが、管理人が抱えている感音性難聴という病気は、「補聴器を付ける=聞こえる」と簡単にはいきません。
感音性難聴の人が補聴器を付けると、環境音と言われている音。例えば、エアコンや掃除機といった家電の音、何か物を落として床にぶつけた音、人が多い所のガヤガヤといった音などは聞き取れることがあります。
しかし、補聴器を付けても肝心の人の声は、声らしきものが聞き取れても何と言っているのか聞き取れないことがほとんどです。
こう言うと、大抵の場合は「何言ってんだこいつ!?」という目で見られるか、人によっては「はあ!?」と怒り出すこともあります。
でも、ちゃんと理由がありますので、もう少しお付き合いください。
感音性難聴というのは、耳の中の鼓膜よりも奥にある蝸牛という器官や聴神経に異常が出てしまっている病気です。蝸牛という器官は、「空気の振動である音を電気信号に変えて聴神経に伝える役割」を持っています。
つまり、補聴器などで音を大きくして何とか蝸牛に伝えても、電気信号にうまく変換されないので脳が理解できなくなります。
健聴者でも相手の滑舌が悪くて、何と言っているか分からないことがないでしょうか?
そんな感じに感音性難聴の人は、誰でも滑舌が悪く聞こえてしまうフィルターがいつも掛かっていると理解してください。
このようなかなり困ったフィルターが掛かっていますので、アナウンサーのような滑舌がかなり良い人の声でも聞き取りが困難です。
聞き取れないことからコミュニケーションが難しいので、感音性難聴を抱えている人は補聴器だけでは生活が困難になります。
感音性難聴は理解されにくさが本当につらい
感音性難聴は上記のような状態ですので、補聴器だけでは生活が難しくなります。そして、特に困るのが症状が本当に理解されず、周りの人から怒られたり頭がおかしいと言われたりすることです。
ここからは、私が失聴後の数年をお話しして理解されなかったことからどう大変になったかお話します。
私は小学生の頃から原因は不明ですが聴力が下がり始め、中学生になる頃には100dBで重度の感音性難聴と診断されました。
感音性難聴になってからは周囲とコミュニケーションがますます出来なくなっていき、正直に言えばその頃は周りからは頭が異常に悪い・知能に問題がある子として扱われていました。
これは「補聴器を付ければ、聞こえるはず。付けても聞こえないなら、知能の問題で言葉が理解できていないのでは?」と思われたようです。
学校では授業を受けますが、先生の言っていることがほとんど聞き取れないので理解ができませんでした。仕方ないので、管理人の学生時代は教科書や参考書を読んで独学が中心です。
また、聞き取れないことが原因で、中学生の時に同級生からいじめを受けました。
ある時に絡んできた子がいて補聴器を付けても聞き取れないことを言ったら、本気で怒り出し暴力を振るってくるようになりました。
どうも感音性難聴が理解できなかったようで、嘘をついている・ふざけていると思われたようです。
もちろん、私自身の周囲への訴えが不足していたなど問題もありました。
ただ、周りに補聴器を付けても聞こえないことを言っても怒られるばかりでしたので次第に何も言えなくなり、当時はどうすればいいのか分からずただ耐える状態でした。
このように感音性難聴の症状が本当に理解されないため辛くて、正直に言えば学生時代はもう思い出したくもありません。
私が補聴器を外したのは理解されないためだった
私は20代に入ると、それまで付けていた補聴器を付けなくなりました。
その理由は、「まず理解されないから補聴器を付けずに、まったく聞こえないと説明した方がコミュニケーションがスムーズに進むのではないか?」と考えたからです。
実際に感音性難聴を説明しても大半の人は困惑するか怒り出すかで、そうなんだと理解を示してくれるのは少数です。
でも、「補聴器を付けてもまったく聞こえない」と言えば、ほとんどの人がまず「ああ…」と納得してくれます。ですから、使わない方がそのまま筆談に持って行きやすいし、コミュニケーション上では実際に有利でした。
なお、今考えてみれば補聴器を外した理由に、学校で理解されずに同級生から暴力を何度も受けたことのトラウマの影響もあったんだと思います。
補聴器を外したことで、環境音がまったく聞こえなくなり最初は不安でした。
というのも、私の聴力は100dBですが、これは近くに雷が落ちてやっと聞こえるレベルになります。日常的に無音で、聞こえると言ったら耳鳴りだけ。ちなみに、言うと驚かれるのですが、全くの無音ではなく起きている間はずっと何かしら耳鳴りがしています。
もともと聴力がかなり低下しているのもあり、重度の聴覚障害者用の補聴器でも車の走行音など聞き取れないことも普通です。そういった事情もあったので、補聴器なしでもすぐに慣れて気にならなくなりました。
そして、段々と補聴器を付ける機会が減っていき、ついには20代のほとんどは付けていない状態で過ごしていました。
感音性難聴を持つ人は補聴器とどう付き合うべきか?
感音性難聴を持っている人が補聴器を使うと、以下のメリット・デメリットがあります。
メリット
その人の聴力によりますが、環境音をある程度は聞き取れるようになる
デメリット
人の会話を聞き取ることが難しい
補聴器を付けても、会話を聞き取れない点が理解されにくくなる
環境音が聞こえれば、例えば何かの警告音や物音などが聞き取れて危険を避けられたなどがあるかもしれません。そういった意味で、補聴器を付けるのは無駄ではないでしょう。
デメリットとしては、会話が聞き取れない点と理解されにくくなる点ですね。
上の方で、管理人はある時期は補聴器を付けなくなったと書きました。しかし、現在では考え方が変わっていて、補聴器を付けていることも増えました。
これは困難なコミュニケーションは別の手段で補えば、補聴器を付けてもデメリットは無くなると分かったからです。
昔はコミュニケーションを補聴器以外で補う手段は、筆談くらいしかありませんでした。ところが、現在は相手の声を文字に変換してくれるスマホアプリや、話しかけるだけで自動的に文字にしてくれるAI筆談機といった便利な機械がいろいろと登場しています。
これらを補聴器と組み合わせて使うことで、各道具が持っているデメリットも打ち消せ感音性難聴でも気軽にコミュニケーションできる時代が来ています。
感音性難聴なら補聴器と他のサポート道具を組み合わせよう!
私と同じ感音性難聴の方で、同様にコミュニケーションで困っている方に具体的にどうすればいいのかお伝えします。
今までどうすればいいのか思考錯誤してきましたが、現在のところは以下の方法でうまく行っています。
感音性難聴の症状を周囲の人に理解してもらう方法とは?
まず初めにやることは、感音性難聴の理解されにくい厄介な症状を周囲の人に伝えることです。
では、どうやって伝えるべきか?
これは、医者といった医療従事者が感音性難聴を解説しているサイトを、印刷するかスマホなどで直接見せてください。
この方法が一番揉めずに、スムーズに伝わりますよ。
人間は話の内容よりも、誰が話しているのかを重視します。ですから、医療従事者ではない管理人がいくら説明したところで、本当なの?と疑われて困惑されるだけです。
専門家が書いているサイトなら医者という権威もあるので、感音性難聴の症状もまず伝わるでしょう。
ただし、注意点として医者が同業の専門家向けに書いたものは難解過ぎてまず伝わらないので、「一般の方に向けて分かりやすく書いたサイト」を見せてくださいね。
感音性難聴なら他の手段と組み合わせてコミュニケーションを!
後は補聴器を付けた上で、スマホや聴覚障害者をサポートする機器を使ってコミュニケーションを取っていきましょう。
できるだけお金を掛けたくないなら、スマホアプリがおすすめ。「UDトーク」と「こえとら」は性能が高く、無料で使えるのでぜひ試してください。
先ほどのアプリは聴覚障害者のコミュニケーションサポートアプリで、どちらも喋ったことを文字にして画面に表示してくれます。
変換する速度も早いので、慣れれば普通に話しているのとあまり変わらずコミュニケーションできますよ。
ちなみに、聴覚障害者をサポートできるアプリは、当ブログの以下の記事にまとめています。
スマホは個人情報が多いから使いたくない人や、ガラケーを使用していてそもそも持っていない方もいるでしょう。
その場合は、お金が掛かりますがポケトークmimiやタブレットmimiといったAI筆談機を使用してください。
上のバナーより、ポケトークmimi公式ショップへ移動することができます。
AI筆談機も喋ったことを機械が分析して画面に表示してくれるので、感音性難聴でも楽々とコミュニケーションできるようになりますよ。
ちなみに、スマホアプリとポケトークmimiといった専用機はどう違うのか?と気になるかもしれません。
この違いは、当ブログの以下の記事に詳しくまとめてあるので、そちらをご覧ください。
なお、簡潔に言えばポケトークmimiやタブレットmimiといったAI筆談機の方がアプリよりも変換の正確さが高く、電源を入れるだけですぐ使えると便利でした。
音声入力できるアプリや機械を使う際の注意点
先ほど紹介したスマホアプリやAI筆談機を使うなら、注意するべき点が2つあります。
一つ目が、これらのアプリや機械は標準語を元に作成されているので、方言を話す方は残念ながら正常に入力されないことが多くなるでしょう。もし方言を話す地域にお住まいなら、とりあえず無料で使えるUDトークなどのアプリで使えそうか試してみてください。
二つ目の注意点が、聴覚障害者は自身の声が聞こえないことからどうしても滑舌が悪くなり、機械の方も読み取れず表示されないことが多くなる点です。
なお、そもそも人によっては生まれつき聞き取れないので音声言語が獲得できず、喋ることが出来ない人もいますね。
滑舌が悪くなると話しても相手に伝わらなくなるため、そうなったら次の2つを試してください。
①滑舌をトレーニングして聞き取りやすくする
自分の声を聞き取りやすくするため、両耳を手で塞ぎながら発音してください。この際に、UDトークといったアプリやポケトークmimiなどを用意して、自分の声が機械にちゃんと認識されているかチェック。もし認識されていれば相手が人でも聞き取ることができますが、おかしな表示になるなら滑舌が悪く伝わらないでしょう。
コツとしては早口にならないように、ゆっくりはっきりと喋ることを心掛けること。そして、「あいうえお」とひらがなを一文字ずつ発音してみて、ちゃんと発音できていないものがないか調べて出来ていないなら重点的に繰り返して練習すると良いでしょう。
最初はきついでしょうけど、何度も繰り返すことで徐々にできるようになるのでがんばってください。
②コミュニケーション手段を筆談に切り替える
これは、相手には喋ってもらいUDトークなどで文字を可視化し、自分は筆談で返事をする方法です。
筆談するなら紙とペンがあればできますが、他にも磁気を使用した筆談器などがあります。そういった筆談器はすぐ消せて痕跡も残らないので、筆談に応じてもらいやすくなるメリットがあります。
ちなみに、どんな筆談器があるのか?や筆談のコツなどは、以下のブログ記事にまとめてあるのでご覧ください。
なお、筆談もトレーニングすることにより、素早く綺麗に書いてコミュニケーションをスムーズできるので頑張りましょう。
まとめ
感音性難聴を抱える管理人の補聴器との付き合い方を、実情から現在の具体的なコミュニケーション方法までいろいろと書いてみました。
昔から感音性難聴を調べると、やはり補聴器を付けても聞こえないという方が多く皆さんお困りのようです。実際に私もこれ経験ある!と、同情する書込みもよく見ました。
上で書いたように厄介な病気ですが、現在ではサポートしてくれる様々な道具がたくさん出ています。しかも、スマホさえあれば、無料で使用できるものまで。
感音性難聴を抱えていても、補聴器とそういった道具を使うことで快適にコミュニケーションが取れるようになっています。そういった道具は下のリンクから行ける別記事にまとめてあるので、どんどん活用して障害を抱えても楽しく生きられるようにしましょう!