私もそうですが、聴覚障害になるとコミュニケーションは筆談に頼ることがほとんどですよね。
ノートも良いですが、手軽に書けてすぐに消すことができる筆談器があると記録が残らないので、ちょっとした雑談もしやすくなります。
ただ筆談器には種類もあるし、いろいろなメーカーから販売されているのでどれを購入すればいいのか迷います。
そこで、聴覚障害者で筆談器を使い続けてきた管理人が、筆談器の種類には何があっておすすめはどれなのかを紹介します。
この記事を読むことで、あまり時間を掛けずにどの筆談器を購入すれば良いのか分かりますよ!
2024年に入って紹介していた筆談器が販売終了となっていましたので、今回全て見直し新しく記事を作り直しました。
筆談器は大きく分けて3つのタイプがある
筆談器とは、書いたら消して何度も使える物です。大きく分けると、マグネット筆談器・電子メモパッド・ホワイトボードの3タイプに分かれます。
それぞれメリット・デメリットがあるので、状況に合わせて使い分けましょう。
頑丈で周囲を汚さない「マグネット筆談器(磁気ボード)」
磁気の力を使って文字を書けるのが、マグネット筆談器(磁気ボード)です。
スクリーンの内側に鉄粉と粘度がある液体が入っていて、磁石が内蔵されたペンでなぞると鉄粉が浮いてきて黒く見える仕組み。
消すときは裏側から磁石を当てて、浮いている鉄粉を戻します。メリットとデメリットは、以下のようになっています。
選び方のコツ
マグネット筆談器の消去方法は、以下の3つがあります。
- 磁石が付いたバーをスライドさせるレバー式
- 裏側に付いた大きな磁石で一気に消すボタン式
- ペンの軸に付いた長い磁石を当てて消すペン軸式
以前はボタン式が一番手軽でおすすめとしていましたが、2024年に入ってからボタン式の磁器ボードが販売されなくなってしまいました。
そのため、現在ではレバー式のマグネット筆談器がおすすめとなります。
ボタン式の磁器ボードは、例えばパイロットの磁気式メモボードやかきポンくんといったものがありました。しかし、2024年に入って全て販売終了してしまい、管理人も調査したのですがボタン式は見つかりませんでした。
意外と安価で筆圧で線の太さを変更できる「電子メモパッド」
薄いタブレットのような電子機器で、液晶画面をペンや爪でなぞって文字を書きます。書いたものを消すときは、ボタンを押すだけと簡単。
マグネット筆談器は線が単一でしたが、電子メモパッドは筆圧に応じて線の太さを変更することができます。
ちなみに電子機器なので高価だと思いますがメーカーによっては1000円台で販売しており、大体2000~3000円と安価です。
選び方のコツ
2024年に入って電子メモパッドはより手ごろな価格になり、大サイズのものも出てきました。15インチという大サイズでも3000円前後のため、導入しやすいですね。
電池を交換できるものも増えたので、1度購入すれば他2種類の筆談器と同じように使い続けられます。
くっきりとした線で視認性が良い「ホワイトボード」
近年ではノート型のコンパクトなホワイトボードが販売されているので、筆談器としても使用できます。
購入する際は、ホワイトボード用のマーカーが付属するかどうかチェックしておきましょう。
選び方のコツ
- 持ち運ぶか自宅や会社に置いて使うかでサイズを決める
- ホワイトボードの材質をチェック(頑丈さなら鉄板性・軽さなら紙製)
ホワイトボードの材質は、一般的に大きく分けて次の2つがあります。
- 柔らかい薄めの鉄板をコーティングしたもの
- 紙をポリプロピレンでコーティング
紙の方もコーティングされた結果、マーカーで書いたらイレーサーで何度も消すことが可能です。
しかし、鉄板に比べて耐久性は落ちるため、紙製をうっかり落としたら破損してしまった…ということも。そのため、頑丈さを求めるなら鉄板製を選び、軽さなら紙製がおすすめです。
マグネット筆談器のおすすめ4選!
マグネット筆談器は、2024年に入って前におすすめしていた「かきポンくん」や「パイロット 磁気式メモボード」が販売終了になったため、別のものを紹介します。
①マグネット筆談器:QUEENBABI おえかきボード
マグネット筆談器でおすすめの一つは、性能・コスパが良い「QUEENBABI おえかきボード」。幅が40cmあるので携帯には向かず、自宅で使う際におすすめです。
お絵描きボードは子供が使うのでファンシーなデザインになっていることが多いですが、QUEENBABIのボードはシンプルで大人が使っていても違和感がありません。
大きな持ち手が付いており持ち運びやすく、価格は2980円とかきポンくんとほぼ同じです。
消去方法はレバー式で、レバーを引くだけで消すことができるため手間がありません。
注意点としてエリアが青・赤・黄・緑の4色になっており、筆談器として使う場合はエリアによって色が変わるので文字が少々見えにくい可能性があります。
②マグネット筆談器:アーテック おえかきボード
最も価格が安いものなら、アーテックのおえかきボードがおすすめです。子供向けの磁器ボードになりますが、筆談器としても問題なく使用できます。
消去方法はレバー式となっていて、性能は結構しっかりしています。
ただ、デザインが明らかに子供向けなため、外で使う場合は少々気になるかもしれません。
サイズは27.2×19.5cm(横×幅)となっており、マグネット部分は恐らく横で20cmくらいでしょう。
全体的に薄い作りで、バッグやカバンに入れて携帯することも可能です。
③マグネット筆談器:BBCクエスト 磁気ボード
価格の高さがネックですが他の磁器ボードよりも丈夫で、主に仕事先といった外で使うならおすすめです。
これは元々ダイビング用に作れられており、水中でも使えるように一般的な磁器ボードより頑丈。
もちろん、普通のマグネット筆談器としても使用できます。
ペンといった付属品を無くさないように、しっかりした紐やフックが付いているのも嬉しいポイント。
消去方法はレバー式で、下にあるレバーをスライドすれば消すことができます。
デザインもシンプルなため、仕事で使う際も問題ありません。
④マグネット筆談器:PLUS(プラス) メモパッド カイテ
大手文房具メーカーのPLUSから、カイテ(kaite)という磁気ボードが新しく販売されています。
このカイテは、一般的な磁器ボードよりも滑らかに書けるのが特徴。
マイクロカプセルに入った鉄粉を利用し、ペン先の磁石を近づけると文字が書けます。本体はシリコンゴムで出来ているため滑りにくく、柔らかいためバッグやカバンに入れて持ち運びやすくなっています。
裏側は吸着できるため、冷蔵庫に貼り付けることも可能です。
ただし、消去方法はペン軸式となっており、ペンの後ろについたフェルトで消す仕組みになっています。消去方法がレバー式ではないため消すのに時間が掛かり、その点だけがネックですね。
電子メモパッドのおすすめ4選!
続いては、筆圧で線の太さを変更できる電子メモパッドをご紹介します。今回は、筆談に使える低価格モデルを中心に選びました。
⑤電子メモパッド:キングジム ブギーボード
電子メモパッドで有名なのが、キングジムの「ブギーボード」です。サイズの種類が他メーカーと比べてかなり多いので、状況に合わせて選択できる点がメリット。
このサイズは、ちょっと大きめのふせんぐらいの3.9インチや、大画面の13.8インチモデルなどです。
ちなみに、筆談に使うなら、価格の手ごろさも考慮し8.5インチのBB-1GXがおすすめです。
電源をオン・オフする必要がなく、すぐに付いているペンで書き始められます。書いたものを消去する際は、上の丸い大きなボタンを押すだけで全消去できますよ。
⑥電子メモパッド:iMoki お絵かきボード
デザインが可愛らしい方が良いなら、iMokiが販売しているようなタイプがよいでしょう。ワンちゃんをモチーフとした電子メモパッドで、もちろん筆談にも使えます。
サイズは10インチと少々大きめ。電池一つで1年持ち、無くなったら交換して使い続けることができます。
上のワンちゃんの鼻がボタンになっており、これを押すと書いたものを全消去。ペンを失くさないように、伸縮性ロープが付きで安心です。
デザインがよくそれでいて機能もしっかりしていて、価格は2100円ほどとコスパ良い電子メモパッドになっています。
⑦電子メモパッド:OHM(オーム) 電子メモパッド
ポケットに入るサイズの電子メモパッドが欲しいなら、OHMの電子メモパッドがよいでしょう。
一般的な電子メモパッドは8インチ前後ですが、こちらは4.5インチしかありません。
ポケットに入れておき、コミュニケーション時にさっと出すといった使い方ならおすすめ。
専用のスタイラスペンは収納ホルダーがあり、そこに入れて置けるので安心です。
もう一つ大画面の筆談器も用意しておき、ちょっとしたことはOHMの方を使い、じっくりコミュニケーションを取るときは大画面を使うと使い分けましょう。
⑧電子メモパッド:TUGAU 大画面電子メモパッド
じっくりとコミュニケーションする場合は、画面が小さいと書ききれない場合もあります。
その際は、TUGAUのような15インチと大画面の電子メモパッドを使いましょう。
TUGAUは15インチといった大画面の電子メモパッドでは、特に人気になっているメーカー。
書いた内容は中央下のボタンを押すだけで全消去でき、電池は交換可能なため無くなったら入れ替えて使っていけます。
かなりサイズが大きいですが、価格は3000円ほどとリーズナブル。筆談用だけでなく、ホワイトボードのような形でも使用できます。
ホワイトボードのおすすめ4選!
続いては、ホワイトボード型の筆談器をご紹介します。手ごろな価格で携帯もできるコンパクトなサイズが登場しているので、筆談も問題なくできますよ。
⑨ホワイトボード:欧文印刷 筆談ボード
紙をポリプロピレンでコーティングした、ノート型のホワイトボード筆談器です。
聴覚障害者が来たときのために、お店に筆談器を置いておきたい時にぴったり。
表紙に大きく筆談ボードと表記があり、下に「耳や言葉の不自由な方はお申し出ください。ご用件は筆談でも承ります。」と書かれています。
そのため、お店の見やすい位置に置いておくだけで、筆談できますよというメッセージになります。
ホワイトボードは、2枚(両面が使えるので4ページ分)入っています。また、書いた文字が消えないように保護する、透明シートも付属。
なお、言葉が不自由な人もコミュニケーションできるように、指で挿して言葉を伝えられる指さしシート付です。
⑩ホワイトボード:nu board (ヌーボード)
ノート型のホワイトボードで、特に有名なのがnu board (ヌーボード)になります。
筆談器としても使えて、サイズ・枚数の割に低価格なのでおすすめですよ。
ホワイトボードの枚数が4枚(両面が使えるので8ページ分)と多め。サイズのバリエーションが豊富にあるため、状況に合わせて使い分けることが可能です。
サイズは、A2判・A3判・A4判・新書判・FMEの5つ。FMEは新書判と同サイズですが横綴じが上綴じに変更され、さらにドイツ製のマーカーも付属するモデルです。
⑪ホワイトボード:アスミックス モバイルホワイトボード
軽さではなく頑丈さを求めるなら、薄い鉄板をコーティングしてあるモバイルホワイトボードがおすすめです。
よくあるホワイトボードをコンパクトにし、包めるカバーを取り付けたモデル。このカバーはスタンド機能も付いていて、ホワイトボードを立たせることも可能です。
サイズは、SサイズとMサイズの2種類。SサイズでA4クリアファイルと同サイズとなります。
Mサイズは持ち運ぶには少し大き過ぎるので、筆談用に買うならSサイズが良いでしょう。
イレーサーが付いた、ホワイトボードマーカーも付属しています。
⑫ホワイトボード:バタフライボード2
紙では耐久性に困るけど、かと言って鉄板製だと重くかさばる…。それなら、バタフライボード2がおすすめです。
鉄でも紙でもなく、軽い特殊な素材を使用したホワイトボード。完全防水なので、水で洗うこともできますよ。
サイズと枚数は、A4サイズのホワイトボード4枚セットとなっています。
より小さいA5サイズもありますが、筆談器として使うなら大きく書きやすいA4サイズが良いでしょう。
ホワイトボードのヒンジ部分に磁石が付いていて、全部のホワイトボードをくっつけてノートのように使うこともできます。
なお、ホワイトボードマーカー付きです。
筆談でコミュニケーションするコツは?
筆談を提案してもなぜか断られることが多かったり、言いたいことが伝わらなかったりすることがありますよね。
コツとしては、「できるだけ簡潔に必要なことだけ書く!」ことです。
例えば、「明日の午前10時に新しいプロジェクトについて、第3会議室で会議を行います」と筆談で伝えるとしましょう。
こういう時は、「明日 午前10時 新プロジェクトの会議 第3会議室」とだけ書けばOKです。
つまりは、全部書こうとせずに、必要な単語だけ書くようにします。
そうやって手間を出来るだけ減らしていくことで、気楽に筆談できるようになりますし断れることも減るでしょう。
なお、筆談でコミュニケーションする際のコツは、下のリンクより行ける別記事に詳しくまとめてあります。
記事に書いてあるコツを踏まえるだけで、断られることが減りしっかりと伝わるようになりますよ!
別記事へのリンク:筆談でコミュニケーションするならコツを知れば何倍も伝わりやすくなる!
アプリを使用すれば音声で筆談もできる!
当たり前ですが、筆談器は自分の手で文字や絵を書いて伝える物です。しかし、手書きはどうしても手間が掛かるので煩わしさがあるばかりか、字が汚いので書くのが恥ずかしいなどの理由で筆談を断られることもあります。
そういう時は、無料で喋ったことを自動的に文字にして表示してくれるアプリ「UDトーク」を使用すれば解決します。
中途失聴で自身が喋れるなら、UDトークを使い相手の言葉を文字にして見ながら話すことが可能です。生まれつき聞こえず話すことができない人も、相手の言葉は文字にして見て理解し、自身は筆談で伝えていくことができます。
これなら、相手に負担があまりないので、より気軽にコミュニケーションができるようになりますよ!
まとめ:おすすめの筆談器でコミュニケーションを豊かに!
聴覚障害者はコミュニケーションをどうしても筆談に頼る必要があるため、筆談器は無くてはならないものです。音声入力アプリでも、活舌や方言などの問題で認識できないことがあるため、必ず1つは持っておきましょう。
紙と違って書いたら消して何度も使えるので、余計なゴミもでません。
2024年になって、以前はあった筆談器が販売終了になってしまいました。しかし、より進化した筆談器も登場しています。
耳が聞こえないのは仕方ないので、筆談器やアプリなどを使い、恐れずに筆談でどんどんコミュニケーションを取っていきましょう!