2021年になっても、新型コロナウイルス(COVID-19)は収束しませんね。
管理人は、両耳とも感音性難聴の聴覚障害者です。日々のニュースを見ていて思ったのですが、もし聴覚障害者が感染したらどんな困難があるのでしょうか。
「もしかしたら感染したかも…。医療機関や国の機関などに電話を掛けまくって、やっと検査を受けられるようになった」
そんな話を聞きましたが、そもそも電話が使えない聴覚障害者はどうすれば?
幸い管理人や周りで感染した人はいませんが、今後どうなるかは分かりません。そこで、実際に聴覚障害者が感染したら何が困って、どう行動すればいいのか調べてみました。
新型コロナウイルスに感染した時の治療までの流れ
まず、健聴者の方が新型コロナウイルスに感染した時、どういう流れで医師の診察を受ければいいのか解説します。
ちなみに、厚生労働省のサイトと東京都福祉保健局のサイトを参考に作成しました。
- 感染した疑いがある場合は、まずかかりつけ医か受診・相談センター(地域によって名称が異なる)などへ電話で相談する
- 医師が診察して感染が疑われたら、PCR検査を受けて感染しているか調べる
- PCR検査が陽性だったなら、検査を受けた病院か保健所から検査結果の連絡が来る。この連絡は、療養についての案内と発症日の特定のため行動状況などを聞く電話もある。
- 治るまで病院か宿泊療養施設で過ごす。 ※無症状や軽症、病院や施設がいっぱいの時は自宅療養になるケースも。
- 退院基準については主治医の判断+発症日から10日が経過し、かつ症状軽快後72時間経過とのこと。
新型コロナウイルスに感染している可能性があるなら、他人に移さないように行動する必要がありますね。
そのため、直接訪れずに、まず電話で相談して医療機関や受診・相談センターの指示を仰ぐようにしましょう。
後は医師の診察を受けて、感染の疑いがあるならPCR検査を行い、陽性だったら治るまで入院や宿泊療養施設に入所、自宅療養などの流れになります。
参考サイト①:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q※5-1厚生労働省の新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)より
参考サイト②:https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/smph/minamitama/gyoumu/covid19/yoseshindan.html※東京都福祉保健局の陽性と診断された方へより
聴覚障害者が新型コロナウイルスにかかると困ること
続いて上で挙げた治療までの流れから、聴覚障害者だとどのような困りごとが出てくるか考えてみましょう。列挙してみると、以下のようになりました。
- 電話が使えないので、かかりつけ医や受診・相談センターなどへの電話相談ができない
- 新型コロナウイルスを移す可能性があるので、手話通訳者に同行してもらうことが困難
- 手話通訳者がいないことで、医師の診察の際にコミュニケーションが難しくなる
- 同様に病院や宿泊療養施設の方とのコミュニケーションに問題が出る
- 皆マスクをしているので、口の動きで読み取ることができずコミュニケーション能力が低下する
感染が疑われる場合、まず電話で医療機関や受診・相談センターなどへ相談します。しかし、電話が使えない聴覚障害者は、この時点で積みますね…。
移す可能性から手話通訳者を派遣してもらう事が難しくなるため、医師とのコミュニケーションが難しく症状が正確に伝わらない可能性もあります。
マスクについては、聴覚障害者なら新型コロナウイルスが出てきてからみんな感じていることだと思います。
このように、ざっと考えただけでも色々な困難が出てきてしまいます。ただし、この後にご紹介しますが、国や医療機関でもちゃんと対策しているので安心してくださいね。
新型コロナウイルスかもしれない時の電話連絡はどうすればいいか?
電話が使えない聴覚障害者が、かかりつけ医や受診・相談センターなどへの電話相談するには以下の方法があります。
- 電話リレーサービスを使って、代理で電話をかけてもらう
- FAXを使って文字でやり取りする
まず、受診・相談センターの連絡先については、以下のリンクから厚生労働省のサイトをご覧ください。全国の受診・相談センターの連絡先が載っています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-kikokusyasessyokusya.html ※厚生労働省 新型コロナウイルに関する相談・医療の情報や受診・相談センターの連絡先
電話リレーサービスとは通訳オペレーターを挟むことで、電話を使えない聴覚障害者でも電話を掛けられるサービス。通訳オペレーターとの通話は、手話か文字を使って行うので聞こえなくても大丈夫ですよ!
電話リレーサービスの詳細や使い方は別記事にまとめてあるので、興味があれば下のリンクからご覧ください。
FAXについては、例えば上の厚生労働省の受診・相談センターの連絡先ページにある東京をクリックしてください。
「東京都発熱相談センター」の項目に「聴覚に障害のある方等、電話での相談が難しい方はこちら」とありますね。
「こちら」の部分をクリックすると別ぺージに飛び、ファクシミリでの相談を受け付けるとあるので手順をよく読んで連絡してください。
このように、受診・相談センターの中にはFAXでも受け付けているところがあるので、お住まいの地域にもないか探してみましょう。
また、他にも全日本難聴者・中途失聴者団体連合会のサイトに、厚生労働省の新型コロナウイルス感染の相談窓口が載っています。そこに、聴覚障害者など電話での相談が難しい方向けにFAXとメールアドレスがありますよ。
https://www.zennancho.or.jp/2830/ ※全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」を踏まえた対応について
医療関係者とのコミュニケーションはどうすればいいか?
新型コロナウイルスを移してしまう可能性があるので、手話通訳者は同行できません。しかし、スマホやタブレットを使った、オンラインでの手話通訳サービスが始まっていますので安心してくださいね。
例えば東京手話通訳等派遣センターでは、スマホやタブレットを使い遠隔で手話通訳をするサービスを行っています。これなら、手話通訳者に移してしまう心配をせずに、安心して診察を受けることができますよ。
他の地域でも同様のサービスを行っているのかは不明なので、いつも使っている手話通訳者の派遣センターに問い合わせてみてください。
手話が使えない場合は、スマホやタブレットから音声入力アプリを使いましょう。細かい使い方は、当ブログの別記事で解説していますので下のリンクから覧ください。
聴覚障害のコミュニケーション困難さをサポートできるアプリまとめ ※サイト内の別記事に飛びます
なお、大分の医療機関で徹底的に消毒したにもかかわらず、新型コロナウイルスのクラスターが発生してしまったことがありました。その時に浮かび上がったクラスターの原因の一つが、職員間で共用していたタブレット端末です。
このクラスター例からも、スマホやタブレットに新型コロナウイルスが付着し別の方に感染する可能性があるので注意してください。ちなみに、スマホやタブレットの液晶画面は、アルコールで拭くと塗装が剥がれて故障する可能性があります。
消毒の方法はメーカーにより異なるので、お持ちのスマホやタブレットのメーカー名+消毒で検索してみてくださいね。
まとめ
最初は電話相談が難しく、どうすればいいんだろうと不安でした。しかし、聴覚障害者向けに、FAXなどの手段もちゃんと用意されていることが分かり安心しました。
聴覚障害者がもし新型コロナウイルスに感染しても、問題なく受診できるように国の方でも考えてくれているのはありがたいですね。
感染しないことが一番ですが、人生何があるか分かりません。もし感染してしまっても、上で挙げたような方法を使って対応できるので大丈夫ですよ!