管理人もそうですが、聴覚障害者は声が聞き取れないことから電話を使うことができません。
電話が使えないことが、現代を生きるうえで結構大変なんです。例えば、病院への予約や宅配物の再配達の依頼、故障したときのメーカーへのサポートの電話すべて困難になります。
しかし、電話リレーサービスが登場してから、耳が聞こえなくても電話を掛けられるようになり、今まで不可能だったことができるようになりました!
今回は、この電話リレーサービスとはどんなサービスなのか解説しつつ、使い方をご紹介します。
聴覚障害者が日常生活を送るなら、活動できる範囲がかなり広がるのでぜひ使い方を覚えておきましょう!
電話リレーサービスなら耳が聞こえない人でも電話ができる!
電話リレーサービスとはどのようなものか分かりやすいように、図解を作成してみましたのでご覧ください。
通訳オペレーターが間に入り、手話や文字に翻訳してくれることで聴覚障害者でも電話ができるサービスです。
音声を目で見える形にしてくれるので、これなら耳が聞こえなくても電話することができますね!
なお、わざわざそこまでして電話を使わなくても、メールやFAXを使えばいいのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、何度もやり取りする必要があり時間も掛かるメールやFAXと違って、即時に伝えられる電話は本当に便利で相手にも負担を掛けません。
例えば、歯医者で予約をしたいとします。
聴覚障害者「2月15日の午前10時に予約したいのですが大丈夫ですか?」
お店(オペレーター)「午前中は予約が埋まってしまっているのですが、午後なら大丈夫ですよ」
聴覚障害者「それでは、午後1時にお願い致します」
お店(オペレーター)「分かりました。それでは午後1時で予約しておきます」
これをメールやFAXで行うと何度もやり取りするので、時間が掛かるだけでなく相手にとっても負担になるでしょう。でも電話を使えれば、返事や変更点も即時に伝えられるのですぐに済みますね。
とても便利ですので、せっかくサービスもあるのですから聴覚障害者ならぜひ使ってみてください!
電話リレーサービスを実際に使ってみよう!
それでは、実際に電話リレーサービスを利用してみましょう。分かりやすいように、①準備編②登録編③使い方編の3つに分けてみました。
特に難しいことはないので、上から順番に読んでいけばどなたでもすぐ使えるようになりますよ。
利用するなら知っておくべき事と準備する物
初めに準備編として、利用に関して知っておくべき事と準備する物をご紹介します。
電話リレーサービスを利用できる人:障害者手帳を持っている聴覚障害者・言語障害者
電話リレーサービスの料金:無料(通信費は利用者の負担)
電話のかけ先:日本国内のみ・110番など3桁の番号はできない
準備する物:インターネットに繋がるスマホ・タブレット・パソコンのどれか
無料で使えるという事で、ちょっと怪しいと思うかもしれません。無料なのは国から補助金が出ており、公益財団法人である日本財団が無償提供プロジェクトを行っているためです。
ちなみに、通信費は利用者の負担ですが、オペレーターからかけ先までの通信費は日本財団が負担してくれるので倍かかるようなこともありません。
電話のかけ先は国内のみとなっていて、110番のようなフリーダイヤルは残念ながら無理です。なお、緊急時の通報は、警察が聴覚障害者でも使える「110番アプリシステム」を運用しているのでそちらを使いましょう。
「110番アプリシステム」の詳細は別記事に載せていますので、以下のリンクからご覧ください。

電話リレーサービスを使うには電話機ではなく、インターネットに繋がる機器(スマホ・タブレット・パソコン)が必要です。
最後に、テレビ電話を使うので、身だしなみや背景に映るところは整えておきましょう!
初めに登録をして利用許可を得よう
電話リレーサービスを使うなら、初めに日本財団のホームページから登録が必要です。
https://trs-nippon.jp ※日本財団電話リレーサービスのホームページ
上のリンクから日本財団電話リレーサービスのホームページを開いたら、「新規利用者募集はこちら」のところから申請に進んでください。
障害者手帳の確認や利用者ガイドラインがあるので、よく読んでからそれぞれチェックを入れて下の「申請する」を選びます。
次に利用者の情報を登録するページに、ログインID・パスワード・利用者名・郵便番号・生年月日をそれぞれ入力。
終わったら確認を押して、入力した情報に間違えがないかチェックしてください。ちなみに、ログインIDとパスワードは後で使うので、忘れないようにしましょう。
終われば後は申請して、許可が下りるまで待つだけです。
利用許可は申請してから大体1週間~10日くらい経ってから、メールかSMSで連絡が来ます。
許可が下りれば、電話リレーサービスが使えるようになりますよ!
電話リレーサービスの使い方はとても簡単!
それでは電話リレーサービスを、実際に使ってみましょう。手順は以下のようになります。
①ログイン画面から、ログインIDとパスワードを入力してログインする
②かけたい電話番号を入力する
③通話方法を手話と文字のどちらか選択する
④利用可能になっている事業所を選択(オペレーターを決める)
⑤オペレーターと手話か文字で通話する
⑥通話が終わったら右上のマークから出る終了ボタンで通話を切る
ログインするには、以下のリンクからログインIDとパスワードを入力してください。
https://nf.denwa-relay.jp/member/index.php ※電話リレーサービスのログインページ
もしパスワードを忘れた場合は、再申請はせず「パスワードを忘れた方は」のところからログインID・郵便番号・生年月日を入力することで教えてもらうことが可能です。
ログインすると、数字と電話のマークが書かれた画面になります。ここから、かけたい所の電話番号を入力しましょう。
続いて、通話の方法は手話と文字どちらがよいのか選択する画面が出てくるので、好きな方を選んでください。
次に色々な事業所が出てくるので、利用可能になっているところを選択します。この事業所は、営業時間や定休日が異なるためよく見て選びましょう。
通話の方法で手話を選んだ場合、画面にオペレーターの方と下に自分が映るので相手の手話を見て通話します。
逆に文字の場合は、入力欄が出てくるのでそこに入力します。入力した文字は上の方に出て、相手からの返答は反対側に表示されチャットのような感じで進んでいきます。
終わる時は、オペレーターに電話を切る旨を伝えてお礼を言いましょう。
いかがでしたか?難しい所はまったくないので簡単に電話がかけられますよ!
電話リレーサービスを使っていて疑問に思ったこと
日本財団の公式ホームページには、電話リレーサービスへの疑問とその回答が載っています。
しかし、使っているうちに出て来た疑問を調べたところ載っておらず、不明だったのがいくつかありました。
そこで、独自に調べた結果を、こちらに載せておきます。
電話リレーサービスのアプリはあるの?
疑問:スマホやタブレットで使える、電話リレーサービスのアプリはあるのか?
調査結果:以前(2016年)はありましたが、現在(2021年1月)は配布されていないようです。ウェブブラウザを使い、電話リレーサービスのログイン画面から使用してください。
日本財団の電話リレーサービスの説明書(2016年版)を読むと、まずGoogle PlayやAPP Storeからアプリをダウンロードするとあります。しかし、実際に各ストアで検索してみると、電話リレーサービスのアプリが見当たりません…。
調べたところ、現在(2021年1月)は配布されていないようです。アプリは使わずに、ウェブブラウザからサイトを開いてログインするしかないようですね。
折り返し電話はかけることができる?
疑問:折り返し電話はかけることができるか?
調査結果:現在の電話リレーサービスはこちらから一方向のみなので、折り返し電話はかけることができません。
現在の電話リレーサービスは聴覚障害者側のみからかけることを想定しているので、折り返し電話には対応していません。
ただし、かけ先に協力してもらう形になりますが、相手に電話番号やメールアドレスを伝えることで折り返し電話のようなことは可能です。
例えば、相手に「聞こえないので出る事はできませんが、着信があれば後から電話リレーサービスを使ってこちらからかけ直します。」と伝えて電話番号を教えるといった感じですね。
急病などで深夜に電話リレーサービスを使うことはできる?
疑問:急病などで深夜に電話リレーサービスを使うことはできる?
調査結果:事業所によって変わりますが、だいたい8時~20時までとなっているので無理です。
ヨーロッパやアメリカなどでも電話リレーサービスはあり、そちらでは24時間使えるようになっています。しかし、日本では残念ながら、最長で20時までとなっているので深夜には使えません。
ただ、2020年6月に電話リレーサービス法律案が可決され、今後24時間体制になるなどが可能になりました。
実際にそうなるのはまだ先になると思いますが、もしそうなったら本当にありがたいですね。
まとめ
管理人は幼いころに耳が聞こえなくなったため、電話を使用したことはありません。
今後もずっと使う機会はないだろうと思っていたところに、電話リレーサービスの存在を知りました。
このサービスを使えば自分で病院に予約することもでき、エアコンなどが故障して業者と連絡を取りたい時も気軽にできます。
耳が聞こえなくなると不便さから閉じこもりがちになると思いますが、サービスを利用して活動範囲を広げましょう!