日常的にストレスを抱えどうにかなりそうな人は、ぜひマインドフルネス瞑想を正しいやり方で行ってください。
ただそれだけで、ストレスが減り冷静さを取り戻すことができます。
管理人も聴覚障害や就職失敗などで非常に辛い時期がありましたが、マインドフルネス瞑想を行うことで乗り越えることができました。
マインドフルネス記事で心がけていることは、「読んだ方が迷わずに実際に挑戦できるようにする」です。そこで、分かりやすく具体的にやり方を紹介するように心掛けました。
今回は、意外と色々あるマインドフルネス瞑想の中から7つのやり方をまとめています。そのため、かなりの分量がある記事になりました。ただ、全て読む必要はなく、心構えとサマタ瞑想・ヴィパッサナー瞑想のそれぞれ気になったもの1つずつでOKです。
人によってどの瞑想法が向いているのか異なるため、それぞれ挑戦してみてベストな方法を見つけましょう!
サマタ瞑想とヴィパッサナー瞑想の違いとは?
マインドフルネス瞑想に限らず瞑想法は、サマタ瞑想(集中瞑想)とヴィパッサナー瞑想(観察瞑想)の2種類に分かれます。
それぞれ違いがあるため、実際にご紹介する前に解説しておきますね。
マインドフルネスの第一人者で早稲田大学の熊野宏昭先生は、著作の「実践!マインドフルネス: 今この瞬間に気づき青空を感じるレッスン注意訓練CD付」でこの違いを分かりやすく説明しています。
先 ほどの サマタ 瞑想 では、 ラベリング を 使っ て 呼吸 に ともなう 身体 感覚 に 戻り まし た。 そうして 注意 の 持続 と 転換 が 安定 し て 維持 できる よう に なっ たら、 注意 の 範囲 を パノラマ 的 に 広げ て、 視界 に 入っ て くる もの すべて に 同時に 気 を 配る ヴィパッサナー 瞑想 に 移り ます。 これ は 注意 の 分割 です。 ですから 注意 の 観点 から 言え ば、 サマタ 瞑想 は 注意 の 持続 と 転換 を 繰り返す 方法 です。 対し て ヴィパッサナー 瞑想 は、 注意 の 分割 を 活用 し て いる 方法 だ と、 そんなふうに 考え て いただけれ ば いい です ね。
熊野宏昭. 実践!マインドフルネス: 今この瞬間に気づき青空を感じるレッスン (Kindle の位置No.900-905). samgha. Kindle 版より一部引用
注意力という観点からマインドフルネス瞑想を見ると、熊野先生は注意の持続・転換・分割の3つがあると言うのです。
このうち、転換は注意が逸れた時に戻す力で、分割は複数の物事に注意を分けることになります。
●サマタ瞑想=注意力の持続と転換を鍛える。鍛えるのは持続と転換なので、何か一つのことに集中する
●ヴィパッサナー瞑想=注意力の分割を鍛える。サマタと違い何か一つのことに集中するのではなく、体の感覚や周囲にある物、音などにも同時に注意を向ける
サマタ瞑想とヴィパッサナー瞑想の違いは、上記のような感じです。
ただ、注意の分割と言っても、身に付けたところで何のメリットがあるのかよく分からない人が大半でしょう。
実はこの注意の分割がマインドフルネスの中で、特に重要な要素なんです。
注意を分割することで注意資源がより多く使われるため、余計なことを考えにくくなります。つまり、物事に集中しやすくなるんですね。
また、何か感情を伴うような記憶や考えが浮かんでも、注意を分割していると辛い感情の強さが減るので受け止めやすくなって冷静に対処できます。
最後に、よくある質問の「サマタ瞑想とヴィパッサナー瞑想のどちらをやればよいのか?」を回答します。
上記のように鍛える能力が違うので、熊野先生はまずサマタ瞑想だけ2~3週間やって注意の持続と転換を鍛えることをおすすめしています。
注意の持続と転換がある程度身に付いたら、今度は注意の分割を鍛えるためにヴィパッサナー瞑想をやりましょう。そして、ヴィパッサナー瞑想で身に付けたことを、日常生活でも活用していきます。
マインドフルネス瞑想を行う前の大切な心構え
瞑想をご紹介する前に、大切な心構えを解説します。この心構えを知らないばかりに、効果を感じられないどころか余計にストレスを増大してしまうケースもあるので、必ず知っておきましょう。
なお、そもそもマインドフルネスとは何なのか知らない場合は、先に別記事の「マインドフルネスとは何か?初心者にも分かりやすく経験者が解説します」をご覧ください。
瞑想を気そらしの道具として行わない
瞑想を、気そらしの道具として使わないようにしましょう。
具体的には何か嫌な事があったり恐怖や不快感など辛い感情を感じたりした時に、瞑想に無理やり集中することで感じないようにすることです。
最初は辛い事を感じなくなるので、ほとんどの人は良い事だと思ってついついやってしまいます。しかし、後になって感じないようにしていた嫌な事を何度も思い出したり、感情を感じなくなったりする問題が起きます。
これは、「マインドフルネスとは何か?初心者にも分かりやすく経験者が解説します」記事でご紹介したように、体験の回避になっているためです。
瞑想を行ったのになぜか余計にストレスを抱えて辛くなる方を、近年では瞑想難民と呼んでいます。瞑想を気そらしとして使ってしまうことも、瞑想難民になってしまうポイントなのでやめましょう。
基本的に瞑想は時間を決めて行い、落ち込んでいる時や何か辛い事があった時にやるのは避けてくださいね。
効果を感じるには1日20分を2~3週間続ける必要がある
マインドフルネス瞑想を、1日いつ何分どのくらいの期間やればいいのでしょうか?
自身の体験や様々な本からの情報を合わせると、効果を感じるには最低でも1日20分を2~3週間続ける必要があります。
町草は一時期1日10分でもいいからとにかく続けると効果があるという情報を見かけて、3週間ほどマインドフルネス瞑想を1日10分だけで過ごしたことがあります。
結果は、「1日10分だと短すぎてあまり効果を感じることはできない」でした。
そこから最低でも20分は必要で、できれば朝と夜の2回やると習得が早くなるでしょう。
なぜ短いとダメなのかは上で説明したように、マインドフルネス瞑想を行っても①注意の持続②注意の転換(戻す)③注意の分割が効率的に鍛えられないからです。
サマタ瞑想で考えれば、「ずっと対象を観察(持続)→別の事を考えたら気づき戻す(転換)」を繰り返すことで注意の持続と転換を鍛えます。
ところが、マインドフルネス瞑想の時間が短すぎると別の事を考えるがあまり起きないときがあるため、注意の転換を鍛えることができません。
勉強も車の運転など何事も身に付けるには、ある程度の練習が必要です。マインドフルネスも同様なので、ある程度は時間を取ってやりましょう。
注意の持続と転換を鍛えられる「サマタ瞑想(集中瞑想)」のやり方
それでは、まずはサマタ瞑想をご紹介します。サマタ瞑想は何に集中するかによって、色々なバリエーションのやり方があります。
どれに集中するかは、人によってやりやすいものを選択してください。
ちなみに、管理人は呼吸に集中する方法がやりやすく、いつも鼻腔あたりに意識を向けてサマタ瞑想を行っています。
「呼吸に集中するサマタ瞑想」のやり方
瞑想の中でもよく行われているのが、呼吸に集中する方法です。
まず、椅子でも座布団でも良いので、背筋を真っすぐに伸ばした状態で座りましょう。背筋を伸ばしていないと、呼吸が浅くなり短くなるので観察しにくくなってしまいます。
座り方は、胡坐でも正座でも構いません。正式には胡坐の状態から片方の足を太ももの上に載せる「半跏趺坐(はんかふざ)」、両足とも反対側の太ももに載せる「結跏趺坐(けっかふざ)」という座り方をします。
ただ、座り方にこだわるよりは、背筋を伸ばした状態でとにかく瞑想をやった方が何倍も良いです。
目は集中しやすいように閉じて行いますが、あまりにも雑念が多くて集中できない時があります。もし集中できないなら、目を開けるか座禅のように半眼といって半分だけ開けるやり方を試してみてください。
今起きている事を声に出さず頭の中で呟くラベリングは、ここでは3回としていますが何回でも構いません。1回の方がやりやすいなら、1回だけ呟くでも大丈夫です。
なお、注意の持続と転換を鍛えるには、呼吸に集中する→雑念などに反応して注意が逸れる→逸れたことに気づいて呼吸の集中に戻るという一連の動作が必要です。
ずっと雑念を考え続けて戻ってこないと、注意の持続と転換どちらも鍛えられません。
そのため、どのマインドフルネス瞑想でも何か雑念が出てきたら転換を鍛えるチャンス!ととらえ、集中対象に必ず戻るようにしてくださいね。
■呼吸を使ったサマタ瞑想のやり方■
- 座ったら目を閉じて鼻から息をゆっくり長く吸って吐くを、繰り返しましょう。呼吸をしている最中は、意識を鼻腔内か鼻のすぐ下あたりに向けて呼吸を感じてください。
- もし鼻周辺で呼吸が感じにくいなら、呼吸に従って膨らむ・縮むを繰り返すお腹や胸のあたりに意識を向けても構いません。
- 呼吸の際に、息に合わせて声に出さず頭の中で「吸っている・吸っている・吸っている」「吐いている・吐いている・吐いている」と呟くラベリングをします。
- お腹や胸のあたりに意識を向けているなら、吸って膨らむ様子を感じながら「膨らみ・膨らみ・膨らみ」吐いて「縮み・縮み・縮み」とします。
- 呼吸の観察に集中していると、段々と関係のないことを考えたり思い出したりするでしょう。その雑念に気づいたら、「雑念・雑念・雑念」とラベリングし「戻ります・戻ります・戻ります」と再度ラべリングして呼吸の観察に戻ってください。
- もしイライラしていることに気づいたら、ラベリングは雑念ではなく「怒り」もしくは「イライラ」。テレビを見たいなら、「欲望」という感じに適切な言葉を呟きましょう。
- 呼吸をラベリングしながら観察→雑念に気づいたらラベリングして戻すを、時間までひたすら繰り返します。
■呼吸を使ったサマタ瞑想のメリット■
- 呼吸はいつもしているので、どこでも瞑想をすることができる
- ゆっくりと呼吸することで深い落ち着きが得られる
「歩行に集中するサマタ瞑想」のやり方
ずっと座って呼吸を観察していると、眠くなったり足が痛くなってきたりします。
そういった座り続けるのが難しくなった時におすすめなのが、「歩行に集中するサマタ瞑想」です。
まず、部屋を片付けて歩くスペースを確保しましょう。集中して歩くため、人通りの多い所や障害物が多い所だとく気づかずにぶつかる危険性があります。
歩行瞑想のサマタ瞑想バージョンは壁から反対側の壁まで、普段よりもゆっくりと歩くのが特徴です。
やり方は、速度に応じて2パターンあります。ちなみに、サマタ瞑想ですので、どちらのパターンでも足の動きに集中してくださいね。
■①普段より少しゆっくりと歩き、右足・左足とラベリングするやり方■
歩行瞑想は、動かす足に合わせてラベリングしていくやり方の瞑想です。普段よりも少しだけゆっくり歩くだけなのでやりやすく、最初はこちらから行うと良いでしょう。
- 壁を背に立ち、普段より少しゆっくりとした速度で歩き始める
- 右足を動かしたら、「右足・右足・右足」として左足を動かしたら「左足・左足・左足」とラベリングします。
- 反対側の壁まで歩いたら「回ります・回ります・回ります」と反転し、再び歩いてラベリングを繰り返しましょう。
- 途中で関係のない事を考えたり思い出したりしたら、止まって「雑念・雑念・雑念」とラベリングして「戻ります・戻ります・戻ります」と再度ラベリングし歩くのを再開してください。
- 後は時間が来るまで、ずっとラベリングしながら歩いて行きます。
■②かなりスローモーションで動き、詳細にラベリングするやり方■
続いて、先ほどよりもかなりスローモーションで動きながら行うやり方をご紹介します。
中国で行われている健康法で、かなりゆっくりと動く太極拳をテレビで見たことがありませんか?もし見たことがないなら、Youtubeにたくさんアップされているので見てみてください。
こちらのやり方は、太極拳のようなスローモーションで動くのが特徴です。ゆっくり動くことで、かなりの集中力が発揮されますよ!
歩くという動作はよく見てみると、まず足が持ち上がる→前に運ぶ→かかとから着地する→足の裏全体が床に付く→軸足が反対に移ると段階があります。
この段階ごとに、細かくラベリングしていきましょう。
- 壁から反対側の壁まで、太極拳のようなスローモーションで歩きましょう
- 右足が持ちあがったら「持ち上がっている」、前に運んだら「運んでいる」、かかとから着地「触れた」、足の裏全体が付いたら「ふみしめ」、軸足が移ったら「移った」とラベリングしましょう。
- 一つの動作ごと一旦止まってラベリングすると良いでしょう。右足持ち上げる→一旦停止→「持ち上がっている」→前に運ぶ……という感じです。
- 左足も、右足と同様に詳しくラベリングしながら見ていきます。
- 反対側の壁まで来たら先ほどの歩行瞑想と同じく「回ります・回ります・回ります」とラベリングしてゆっくりと反転し、そのまま歩行瞑想を続けてください。
- 途中で雑念が浮かんで来たら一旦止まり、「雑念・雑念・雑念」とラベリングしてから戻ります。
- 時間が来るまでスローモーションで歩き続けましょう。
やってみると分かりますが、スローモーションで歩行瞑想を行うとかなり集中できます。雑念が多すぎて普通の瞑想が難しい時は、こちらのスローモーション歩行瞑想がおすすめです。
「言葉(マントラ)に集中するサマタ瞑想」のやり方
呼吸と歩行と来て、こちらで集中するのはマントラです。マントラとは言葉のことで、つまりずっと声に出さず頭の中で言葉を呟き続ける瞑想法。
この言葉を呟き続ける瞑想法は、マントラ瞑想という名前で知られています。
呟く言葉は、例えばキーボードの下キー配列を左から読んで「つさそひ」みたいに意味がなければ何でもOKです。意味がある言葉を呟くと、それに関係することが連想されて雑念だらけになるので避けましょう。
ここでは真言宗で行われている、虚空蔵菩薩求聞持法をマントラとして使用してみます。虚空蔵菩薩求聞持法は、1日1万回「ノウボウアキャシャギャラバヤオンアリキヤマリボリソワカ」というマントラを唱えるというものです。
■マントラ瞑想のやり方■
- 椅子でも座布団でも良いので、背筋を伸ばして座る。
- タイマーをセットし声に出さずに「ノウボウアキャシャギャラバヤオンアリキヤマリボリソワカ」と頭の中でひたすらつぶやき続ける。(注意の持続)
- 呟く速度はあまり早くし過ぎず、ゆっくりの方が集中できます。
- 余計なことを考え出したら、ラベリングはせずにマントラに注意を戻す。(注意の転換)
- タイマーが鳴るまで続ける。
■マントラ瞑想のメリット■
- ずっと頭の中でマントラを呟くので眠くなりにくい
- どこでも出来る
- 雑念が少なく初心者でも集中しやすい
ヴィパッサナー瞑想のやり方
続いては、ヴィパッサナー瞑想のやり方をご紹介します。
サマタ瞑想と似たようなやり方もありますが、ヴィパッサナー瞑想は集中対象だけでなく色々な感覚にも注意を向けるのが特徴です。
瞑想を繰り返し注意の分割ができるようになったら、日常生活でも実行するとストレスが溜まりません。
例えばPCを使って書類を作っているなら、今見ているPC画面だけに注意を向けるのではなくキーボードを打っている手の感覚や足の感覚などにも注意を分散します。
それだけで雑念が減るので、集中できるようになりますよ。
「呼吸を使ったヴィパッサナー瞑想」のやり方
マインドフルネス瞑想としてよく紹介されているのが、この「呼吸を使ったヴィパッサナー瞑想」です。
呼吸を使ったサマタ瞑想とかなり似ているものの大きな違いは2つあって、①呼吸をコントロールしない②呼吸以外にも意識を向けるとなっています。
観察対象は呼吸で、自然に吸って吐くという一連の動作を見ます。この際に自然に息をしようとして、逆にコントロールしてしまうことがよくあります。コントロールのコントロールですね。
コントロールしないように、呼吸が落ち着くまでしばらく待ってから瞑想に入ると良いでしょう。
ヴィパッサナー瞑想の時はサマタ瞑想の時と違い、目を開けたまま行います。これは、周囲に見える物にも気を配って注意の分割を鍛えるためです。
続いて呼吸以外にも意識を向けるですが、これは例えば手足といった体の感覚や音、周囲の景色などです。ちなみに、本によっては全身で呼吸するようにと指導しているものもあります。
ヴィパッサナー瞑想を行っている最中も、当然ながら雑念が浮かんでくるでしょう。呼吸を観察しつつ、雑念も同時に見てください。ただし、雑念にとらわれてはいけません。しばらく観察していれば、雑念はそのうち消えるので大丈夫です。
ずっと座っていて足が痛くなったり痺れたりしたら、その感覚も見ていきます。なお、痛みや痺れはしばらく感覚を見たら、後は少し動かすなり掻いたりしてOKです。
■呼吸を使ったヴィパッサナー瞑想のやり方■
- 目は開けたまま背筋を延ばして座る。座り方は背筋が伸びていれば椅子でも胡坐でも構いません。
- サマタ瞑想とは違い、呼吸をコントロールせず自然に行います。
- 鼻から吸って吐くという一連の動作を、鼻の周りか呼吸に合わせて動くお腹や胸で感じとりましょう。
- ラベリングはしてもしなくてもどちらでも構いません。意識を向けて、何が起きているかダイレクトに感じてみてください。
- しばらく感じ取ったら、呼吸以外にも意識を向けていきましょう。
- 手足や胸、お腹など体全体を意識します。体全体で呼吸を行っていきましょう。
- 続いて、周囲にあるものにも意識を向けていきます。
- 雑念が浮かんで来たら、何が来てもOK!という感じでとらわれず呼吸と一緒に見ましょう。
- 時間になるまで、呼吸と体全体の感覚を同時に観察していきます。
■呼吸を使ったヴィパッサナー瞑想のメリット■
- どこでも行うことが出来る
- 呼吸はいつもしていることなので日常生活でも活用しやすい
「歩行を使ったヴィパッサナー瞑想」のやり方
通勤の途中でも出来る瞑想法が、「歩行を使ったヴィパッサナー瞑想」です。
サマタ瞑想の時と違って周囲に気を配るため何かにぶつかる可能性は低く、外でもできるのがメリット。
それに、ゆっくりではなく普通の速度で歩くので、周囲の人から奇妙に思われることもありません。
やり方は普通の速度で歩きながら、一歩一歩と足の感覚を感じるだけ。今動かしているのはどちらの足で今どうなっているのか、つまり位置確認を一歩ごと行います。
そして、足の感覚だけでなく、目から入ってくる周囲の景色や手など体全体の感覚も一緒に感じましょう。
■歩行を使ったヴィパッサナー瞑想のやり方■
- スタート地点に立ち、普通の速度で歩いてください。
- 右足を出したら今右足がどこにあってどうなっているのか、ラベリングはせずダイレクトに感じましょう。
- 左足も同様です。なお、歩行を使ったサマタ瞑想で紹介したように、歩行を細かく分けて感じるようなことはしなくて構いません。右足・左足と交互に感じましょう。
- 足の感覚を感じたら、一緒に手の感覚も感じましょう。一歩歩くごとに、手も動いている事に気づいていますか?
- 続いて体全体の感覚も感じましょう。
- 目から入ってくる周りにある物にも、しっかりと意識を向けてくださいね。
- 雑念が浮かんで来たら否定せずにただ感じつつ、歩行の感覚と一緒に自然に消えるまで注意を向け続けましょう。
- 後は決めた時間まで、色々な感覚を感じながら歩きます。
■歩行を使ったヴィパッサナー瞑想のメリット■
- 通勤などの時間を、ヴィパッサナー瞑想の時間にできる
- 眠くなりにくい
- 運動不足を解消できる
「手の動きを使ったヴィパッサナー瞑想」のやり方
この瞑想は、一般的に「手動瞑想」と呼ばれるやり方です。タイにあるスカトー寺で、僧侶のルアンポー・ティアンさんが編み出した瞑想法。
スカトー寺で出家した日本人僧侶のプラユキ・ナラテボーさんが日本にも伝えてくださり、近年では色々な本やサイトで紹介されるようになりました。
手動瞑想の特徴は日常生活に近い方法を取ることで、マインドフルネスを日常的に取り入れやすくした点です。
繰り返して習慣にすることで瞑想をしていない時も、何か考えたり記憶が浮かんで来たら手に意識を向けて今ここに戻ることができるようになります。
さて、この「手の動きを使ったヴィパッサナー瞑想」は、文字通り手を一定の順番で動かしていくというものです。
ただ動かすのではなく、一手動かすごとに少し止まって今どこにあってどういう形にしているのか位置確認します。
動かす順番を覚えたら、次は手だけを見るのではなく体の感覚や周囲の感覚も見ていきましょう。途中で雑念が浮かんで来たら、まずその雑念を確認してから手の動きの観察に戻ります。
ちなみに、管理人は毎日マインドフルネス瞑想を行っていますが、現在はこの手動瞑想が中心になっています。
■手の動きを使ったヴィパッサナー瞑想のやり方■
- 目は、開けたまま行います。背筋を伸ばした状態なら座り方は自由で、椅子に座っていても構いません。
- 手を動かす速度は一手ごとに1秒くらい。あまりゆっくりやると手に集中してしまい、サマタ瞑想になります。逆に速すぎると手の感覚が感じにくくなり、注意散漫になってしまいます。
- 一手ごとに止まって、今手はどういう形をしてどこにあるのか位置確認してください。
- まず、両手をそれぞれの太ももの上に伏せたまま載せましょう。ここがスタートです。
- 右手を、太ももの上で立ててください。挙手のような形ではなく、親指が上で小指が下になる形です。
- 立てた右手を肩ぐらいの高さまで、そのまま持ち上げましょう。
- 持ち上げた右手のひらを、へその下あたりに当ててください。右手はそのままにして、次に左手に移ります。
- 次は左手を、先ほどやった右手のように立てます。
- 立てた左手を、肩ぐらいの高さまで持ち上げましょう。
- 持ち上げた手のひらを、へその下に当てている右手の上に添えます。
- 右手を、胸のあたりまでスライドさせてください。
- そのまま右手を開き、肩ぐらいの位置で止めます。
- 空中で止めた右手をおろし、太ももの上に着地させましょう。着地する時の形は、親指が上で小指が下の形です。4でやった時と同じですね。
- 太ももの上に着地させた立ったままの右手を、パタンと閉じて伏せましょう。これで右手はスタート地点に戻りました。
- 続いてへその下にある左手を、胸のあたりまでスライドさせます。
- 胸のあたりまでスライドさせたら開いて、肩ぐらいの位置で止めます。
- 開いた左手をおろし、太ももの上に着地させましょう。着地する形は、右手と一緒です。
- 立たせたままの左手を、パタンと閉じれば一巡したことになります。
- 決めた時間が来るまで、4から18を繰り返しましょう。
■手の動きを使ったヴィパッサナー瞑想のメリット■
- 手をずっと動かし続けるので、眠くならない
- 初心者も続けやすい
- 雑念が浮かびにくい
「注意の持続・転換・分割の全てを鍛えられる注意訓練方法」のやり方
管理人は耳が聞こえないので行えないのですが、最後に音を使った瞑想をご紹介します。
この瞑想法は注意訓練方法と呼ばれていて、病院で心の病気の治療に使われているもの。サマタ瞑想とヴィパッサナー瞑想の両方の要素が含まれていて、注意の持続・転換・分割の全てをトレーニングすることができます。
注意訓練は①注意の持続②注意の転換③注意の分割の3パートに分かれており、1から3まで順番に行っていきます。このうち①と②はサマタ瞑想に相当し、③がヴィパッサナー瞑想です。
①注意の持続=ピアノや波、風鈴の音などから好きなものを選んで、1分間ずっと聞き続ける。1分間経ったら別の音を選んで、また1分間聞く。これを5~6分ほど続ける。
②注意の転換=やることは①と同じですが、1分ではなく30秒など短い時間で切り替えていきます。慣れてきたら、どんどん短くしていきましょう。
③注意の分割=全ての音を、同時に聞くだけです。ただし、最初は難しいので、何度か繰り返して慣れましょう。
実際に行うには、注意訓練方法が収録された音源が必要になります。おすすめは、下記の「実践! マインドフルネス―今この瞬間に気づき青空を感じるレッスン[注意訓練CD付]」というCD付きの本です。
著者の熊野宏昭さんは早稲田大学の先生で、マインドフルネスの第一人者。医学的な解説もしっかりあり、何より分かりやすく書かれているので初心者も読みやすい本です。
マインドフルネス瞑想を日常に活かす
マインドフルネス瞑想で身に付けたことを、日常生活に活かすことでよりストレスフリーな生活を送ることができるようになります。
サマタ瞑想では、注意の持続と転換をトレーニングしました。これはそのまま集中力に繋がるので、仕事や勉強にも役立つスキルですね。
瞑想で呼吸や歩行などでしたが、やることに合わせて本やPC画面を集中対象にしましょう。しばらく勉強や仕事をしていると、必ず余計なことを考え出したり思い出したりします。
この注意が逸れた時が注意の転換の出番で、瞑想と同じくラベリングを使用して今やるべき勉強や仕事に戻りましょう。
ヴィパッサナー瞑想の注意の分割は少々難しいですが、極めるとよりストレスを減らす効果があります。日常的に、自身の体の感覚や周囲に見える物に気を配る。そうすることで、注意資源が使われ雑念が減っていきます。
また、ずっと気を配っていくと、段々と自分の中に生じた思考や記憶なども客観的に見られるようになっていきます。
我々は他人の事は冷静に見ることができますが、自分自身のことになると冷静に見ることが出来ません。客観的に見ることが出来ず、どうしても希望などが入って主観的になるからです。
しかし、マインドフルネス瞑想を繰り返していくと、自分自身のことを客観的に見られるようになるので何があってもパニックにならず冷静に行動できます。
最後に日常生活の中で、怒りや不快感など強い感情に襲われた場合の対処法をご紹介します。
こういった強い感情は手ごわいので、注意の持続・転換・分割すべて使って対処しましょう。
具体的には、感情が発生したら気づいてまずどこで起きていてどうなっているのか位置確認をします。
続いて、注意の転換を使い手や呼吸の感覚など、どれか一つ慣れているものを感じるようにしてください。どれを感じるかは、呼吸を使うタイプの瞑想をメインでやっていれば呼吸ですし、手動瞑想なら手という感じです。
そして、今度は注意の分割を使って呼吸や手など感じつつ、強い感情も同時に感じるようにしましょう。
強い感情はとても辛いのでついつい回避しようとしてしまうことがよくありますが、感じ続けても別に死んだりはしませんので大丈夫です。
コツとしては同時に感じるのが例えば手なら、握ったり開いたり動きを加えてみてください。それだけで、より強い感情を受け止めやすくなりますよ。
そうやって注意の持続を使い、強い感情が自然に消えるまで他の感覚と一緒に感じ続けることが大切です。
生きているならどうしても雑念は次々と浮かんできますし、怒りや不快感を感じるのは当たり前のことです。ですので、そういった雑念や怒り、不快感などを敵視せずに、マインドフルネスを使ってダイレクトに受け止めましょう。
それが、ストレスを減らし、気楽に生きて行くコツです。
ちなみに、失敗しても自分を責めずに、またチャレンジしてくださいね。マインドフルネス瞑想を繰り返して技術が上がれば、段々とできるようになっていきます。
他のマインドフルネス記事も一緒に読むことでより理解が深まる!
マインドフルネスをより詳しく知りたい・上達したいなら、以下の記事も一緒に読んでみてくださいね。
マインドフルネスとは何か?初心者にも分かりやすく経験者が解説します
→マインドフルネスとは、そもそもどういうものなのか?を詳しく解説した記事です。今回のマインドフルネス瞑想の前提などは、この記事に書かれているのでまずそちらをご覧ください。
→できるだけ簡単にマインドフルネスを学べるように、エクササイズと基本的なマインドフルネス瞑想を紹介した記事です。
まとめ
7つのマインドフルネス瞑想のやり方を、それぞれご紹介しました。
かなり長くなりましたが基本的に注意の持続・転換・分割を鍛えるのが目的なので、サマタ瞑想とヴィパッサナー瞑想それぞれから1つずつ選んで実行するだけでOKです。
もし実行してみて合わなかったら、別のやり方を試しましょう。
管理人も最後の注意訓練を除いた、全ての方法を試しました。その結果、一番自分に合っていた呼吸を使ったサマタ瞑想と手の動きを使ったヴィパッサナー瞑想の2つを毎日続けています。
生きていく上で、何かしら嫌な事があるのは避けられません。マインドフルネス瞑想にチャレンジして、嫌な事があっても受けるダメージを減らし引きずらないようにすることが可能です。
最初は雑念だらけで流されてしまうなど大変ですが、その分だけメリットが大きいのでがんばりましょう!
参考文献の紹介
最後に、この記事を書くにあたって参考にした本をご紹介します。どの本も読みやすく瞑想法のやり方が詳細に書かれているので、ぜひ読んでみてくださいね。